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潜水事故が起こった時のバディやダイビングサークルの責任はどうなる?閲覧無制限

バディを撮影するダイバー(撮影:越智隆治)

まずガイドやインストラクターの契約関係に基づく責任について

ガイドやインストラクター(あるいはガイドやインストラクターが所属するショップ)とゲストとの間では、ダイビングガイド契約や講習契約などが成立しています。

そこでは、ゲストは対価を支払う義務を負い、ガイドやインストラクターはガイドや講習を行う義務を負います。

また、ガイドやインストラクターは、これらの義務に付随して、安全配慮義務も負担しているとされています。
安全配慮義務とは、契約関係に入った相手方に対し、その生命・身体に危難が生じることのないよう、安全に配慮するという義務です。

契約に基づいて負っている債務(義務)を履行しない場合、民法415条に基づく損害賠償義務の問題になります。
民法415条では「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」とされています。

前述の対価を支払う義務ではゲストが債務者でガイドが債権者となり、ガイドを行う義務ではガイドが債務者でゲストが債権者になります。

ファンダイビングや講習中に事故が発生すると、ガイドやインストラクターが安全配慮義務を怠って(債務不履行)、事故(損害)が発生したのではないかなどとして、損害賠償請求を受ける可能性が生じることになります。

バディとしての責任は?
~契約関係がない場合~

バディ潜水における事故の場合

それでは、ガイドなしのバディ潜水など、事故の関係者間に契約関係がない場合にはどうなるのでしょうか。
この場合は民法709条の問題となります。

民法709条は、契約関係がない場合の損害賠償請求を規定した条文で、例えば交通事故(交通事故は全く関係のない者との間に起こることが一般的ですから)などの賠償請求の際に根拠となる条文です。

民法709条では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されています。
ここで「故意」とは「わざと」という意味です。
悪戯でバルブを閉めるなどして事故が発生した場合、損害賠償義務が発生する可能性があります。

それでは「過失」はどうでしょうか。
バディ潜水をしていたのに、お互いを見失って事故が起きた、あるいは器材のセッティングなどにミスがあったにもかかわらずバディチェックで見落としたなどがあった場合、バディの「過失」で事故が生じたとして、賠償請求をすることができるのでしょうか。

この点、ダイビングにおいてバディは「お互い助け合う」ということにはなっていますが、これは法的な義務というものではありません。
バディは無償で、対価を受け取っているガイドやインストラクターと同程度の責任を有しているとは考えられません。

Cカードを有しているダイバーは危険を回避できるだけの最低限の知識と能力を有していると判断されているのであり、事故はむしろ自分の責任(自己責任の原則)と考えられ、バディに「過失」があったとして賠償請求をすることはなかなか困難ではないかと思います。

ただし、バディのどちらかが相手方に比して明らかに経験やスキルがあって、相手方を先導していたなどの事情があり、ダイビングに明らかに適さない場所に誘導した、あるいは明らかに不適切な行為をさせたなどして事故が発生した場合には、無償のバディであっても「過失」が認められ、賠償責任を負う可能性はあると考えられます。

ダイビングサークルなどにおける事故の場合

大学のダイビングサークルなどで事故が発生した場合でも、ガイドなしのバディ潜水と同様に考えられます。
基本的には自己責任の原則が働き、バディやサークルのメンバーなどに責任を問うことは困難ではないかと思います。

ただし、サークル内でダイビング経験や能力などに差があり、上級者が初心者を引率していたなどの場合、グループを引率していたリーダーや計画立案者に「過失」が認められる可能性はあります。

なお、子供会などで川遊びに行って子供が溺れた事故で、ボランティアで引率していた父兄などに過失が認定され、賠償責任を負うとした判例もあります。
判断力も十分ではない子供と大学生では必ずしも裁判所の判断が同じくなるとは限りませんが、初心者を引率している場合には、無償であったとしても、通常のバディ以上の気配りが必要になり、それを怠って事故が発生した場合には、過失が認められる可能性があると考えられます。

また、大学などのダイビングサークルでの事故の場合、事故者と大学には在学契約など契約関係があるため、サークルのメンバーが責任を問われなくても、学校側が安全配慮義務に問われる可能性はあります(大学の部活動などの事故で、学校側が責任を負うとした判例は複数あります)。

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