明日は我が身のダイビング事故1
プロのダイバー向けのセミナーを聞いてきました。
内容を踏まえた上で、数回に分けて、
業界側とダイバー側の両視点から要点や私見を述べさせていただきます。
※議事録ではありません。
今回は、まずセミナーの概要と弁護士の業界に対する指摘を紹介します。
【セミナー概要】
JCUE FORUM2010 4月3日(土) 13:00〜14:15
「ダイビングリーダーの判例からみたリスクマネジメント」
講師:早川総合法律事務所弁護士 早川修
→アウトドア事業における事故の指導者側・運営者側の弁護活動で活躍
【大まかな流れ】
まず、早川弁護士が自己紹介をしつつ、
ダイビング業界に対する印象やリスクマネジメントに関する要点を話す。
その後、実際に起きた事故の判例2つをもとにリスクマネジメントについての考察。
最後にリスクマネジメントの業界として在り方と事故が起きたときの対応のポイント。
【前フリ段階における早川弁護士からの印象的な言葉】
■ダイビング判例多い→ひょっとしたら山岳事故より多いかも?
■被告のほとんどが裁判所の法廷へ行く途中、「まさか自分が」と言う。
■事故の原因の多くが営利主義。
■ひとつの訴訟対策として、こうした安全対策のセミナーへ出席することも有効な手段。
出席したことがわかる証明書などがあるといい。
■被害者はもちろんだが、加害者も辛い。
■リスクマネジメントより、リスクを知ることが大事。
つまり、事故判例を知り、分析することが大事。
【最終的な早川弁護士からの業界に対する提言等】
「リスクマネジメントの業界としての在り方」
■業界として、過失論・自己責任論を統一する必要がある。
→裏を返せば足並みがそろっていない。
ダイビングの世界では悪しき先例が作られている。
川の世界では、悪しき先例を作らないよう、
早川弁護士のところで、ほぼすべての案件に対応している。
今後、事故の際の自己責任論、過失論を精緻に行わないと判例が業界をつぶしかねない。
■事故調査委員会の設置。
→事故調査委員会を設置し、グレーな事件は業界を上げて、
過失無しの意見書を捜査機関に提出し、業界を守る(明日は我が身)。
「事故が起きたときの対応のポイント」
■謝罪する
→車の保険の話をイメージするためか、
「謝罪すると罪が重くなる」と勘違いしている人が多い。
謝ることと訴訟は別物で、道義的に謝ることが大事。
また、遺族の処罰感情が高い時は刑事罰となる点からも、
まずは真摯に謝ることが大事。
■弁護士にすぐ相談する&被害者側と頻繁な連絡
→その分野に詳しい弁護士にすぐに相談する。
また、例えば必ずお通夜に行くなど、逃げないことが大事。
ただし、弁護士が表に出ると「弁護士たてやがって」となることもあるので、
弁護士が表に立たないほうが心情的にはよい場合も。
以上は、あくまで「ダイビングリーダーのため」という視点が主の話。
※「悪しき先例」も視点を変えれば、
一般ダイバーにとっては良き先例となりうる可能性も忘れてはならないだろう。
次回は、具体的な判例から、プロのダイバー(業界側)からだけでなく、
一般ダイバーの視点からも考えていきたいと思います。