水中カメラマン・中村卓哉が撮る! 旬の熱海 ~撮影ワンポイント・アドバイス~
ただいま募集中の「2017熱海水中写真コンテスト」。
期間中、熱海や初島で撮った写真が対象で、締め切りは2017年11月5日まで。
賞品はグランプリの熱海温泉平日ペア宿泊券ほか、ダイビングペア招待・食事券、名産品など盛りだくさん!
そこで、フィールドとなる熱海と初島の魅力や撮影のポイントを紹介すべく、審査員の水中カメラマン・中村卓哉さんが熱海・初島を潜入取材。
まずは、熱海のオススメシーンや撮影のワンポイントアドバイスを紹介します!
すべてが近い海
昔の伊豆を思い出せてくれた
中村
熱海は、すべてが近い海。
東京からの距離も近いし、ポイントもボートに乗って5〜10分で行ける。
大きくて人もたくさん住んでいる街で、今までの経験からすると街に近い海はやはり濁っていたり、あまりいい海ではない印象が強かった。
だが、今回はいい意味で予想を裏切られた。
手付かずのソフトコーラルや、ちょうどシーズンだった婚姻色のサクラダイたちの乱舞に、タカベやイサキの群れ。
そういう意味では魚との距離もまた近いなと思わせてくれる。
中村
伊豆は今でも魅力的なポイントが多いが、昔はどこももっとたくさんのソフトコーラルが生えていた。
人がたくさん入って、生物などが減ってしまったポイントをいくつも見てきたので、昔の伊豆を思い出させてくれた。
サクラダイの群れは
伊豆の中でもトップクラス
中村
一番お気に入りのシーンは、やはりサクラダイの群れ。
今回初めて熱海を潜り、「沈船」、「ソーダイ根」、「ビタガ根」に行ったが、どのポイントも多く、これだけ浅い水深で、しかも結構な数が群れているのは見たことがなく、なかなか珍しいのでは。
密度が濃く、伊豆の中でもトップクラスだと思う。
中村
水深が浅いことにより周りが明るく、また、ソフトコーラルも多いので、撮影時に取り入れるとさまざまなシーンの写真撮れる。
時間も粘れるので、いろいろなシチュエーションで試すことができるのは、撮影する側からするととても魅力的。
撮影時のワンポイントアドバイス
大事なのは“アプローチ”
中村
どんな生物でもそうだが、アプローチの仕方が大切。
まずはよく観察し、どこに数多く溜まっているのかを確認する。
ハナダイ系は、地形がV字になっているところに溜まることが多い。
潮が流れてくる方向に向かって泳いでいるので、潮の流れを確認し、流れの上手のほうから攻めていく。
何回かアプローチして動きや場所を把握すると、サクラダイにギリギリまで寄ることができ、迫力のあるシーンを撮ることができる。
その際、ストロボの位置に注意。
2灯あるとき、両方とも横に伸ばしていると、光が後ろの背景に当たってしまい、せっかく手前まで寄れたサクラダイが暗くなってしまう。
1灯はコンパクトに折って真ん中に持ってくると、手前と奥の両方に当てることができるので、工夫して撮影しよう。
ガイドさんに聞く!
これからの時期の注目ポイント
ダイビングサービス熱海の豊嶋康志さんにお話をお伺いしました。
豊嶋
秋に入ると、魚影がさらに濃くなってきます。
中でも、注目は、イナダやワラサなど、回遊魚の群れ。
そこで起こる狩りがとても面白く、捕食のため、小魚に突っ込む様子は迫力満点です。
特にカツオは泳ぎがとても速いため、エキサイティングで興奮すること間違いなしですよ。
逆にサバなんかは結構遅くて、逃げられたりすることもあるので、「もうちょっと頑張れよ!」と思ったり(笑)。
そういった目で見るとまた違った面白さもありますので、ぜひ、注目してみてください。
【取材協力】
ダイビングサービス熱海
個人ゲストのガイドはもちろん、ダイビングショップの申し込みも受け付けている。
更衣室や器材洗い場が広々としていて使いやすく、ボートまで歩いてすぐの距離なので、移動も楽々。
ダイビング用に改良されている漁船で、ダイバーにとって使いやすくなっている。
ボートを出してくれる船長の方々もとても気さくで、アットホームな雰囲気。
店長の豊嶋康志さんは、熱海を知り尽くしたベテランガイド。
魅力的なワイドシーンはもちろん、マクロ系も得意。
また、写真の写り込みのプロでもあるので、フォト派の方はぜひ潜る前に相談を。
メインのポイントは、全長約81mの「沈船」、「ビタガ根」、「ソーダイ根」、11月〜3月限定オープンとなる「小曽我洞窟」など。
どこのポイントも、ボートに乗り5〜10分ほどで行くことができる。
特に、オスの派手な婚姻色が美しいサクラダイの乱舞は、水深10〜20mという比較的浅い場所でも確認できる稀なポイント。