豊後水道と黒潮がぶつかり合う海・愛南。-18mにピグミーも出現中でマクロ&サンゴ満喫ダイビング!
こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。
秋も終盤へと近づいて来ましたね。今回私は、5月にもご紹介した愛媛県の「愛南(あいなん)」の海へと撮影に行ってきました。
西には豊後水道、南は黒潮が流れる愛南町。瀬戸内海と太平洋がぶつかり合う海域で、プランクトンがとても多く、魚影が非常に濃いのが特徴です。
そんな自然の恵み豊かな愛南の海は、見られる生き物も変わっており、5月とはまた雰囲気が違う海となりました。
また、DIVE愛南の田中翔さんが、ここでしか見られないシュチュエーションの生き物を見せてくれたので、ご紹介していきたいと思います。
水深18mにピグミーが!
今の時期はマクロが楽しい
まずはマクロ生物から。前述した通り、豊後水道と黒潮の影響を色濃く受ける愛南の海は、秋は特に生き物が多く、アレもコレもと被写体尽くしとなり、撮影中は休む暇がありませんでした。
田中さんに「今のイチ押しは?」と聞くと、宇和海の沖にあるダイビングポイント「横島」の水深18mに、ピグミーシーホースがいるとのこと。
ピグミーシーホースといえば、水深30m前後に生息することが多く、その体のサイズが小さいことからも探すのに一苦労な生き物です。
撮影していると、気づけばダイブコンピュータのデコタイムが残り数分!なんてことも多々あります。
そんな、撮影が難しいタツノオトシゴの仲間ですが、「横島」では水深18mと浅めなので、慌てずにじっくり観察や撮影をすることができました。
ウミウチワの色に擬態している、濃い紫色のピグミーシーホースは鮮やかですね。
しかし、それに負けないぐらい色彩豊かな生き物がほかにもたくさんいました。
水色のコバルトツツボヤや黄色いイソギンチャクの仲間が岩一面にびっしり付いており、そこにヒメギンポやイチモンジハゼなどの生き物がいます。
フレームに入れば、美しい作品のような瞬間に変わります。
もう1つ「横島」でご紹介したいのが、チョウチョウウオの仲間のツキチョウチョウウオです。
浅場のソフトコーラルの周りをゆったりと泳ぎ、数個体確認できました。
伊豆などでは黒潮などの流れによって運ばれてくる魚で、特定のポイントに居ついているのを見ることができないのですが、「横島」ではほぼ確実に見ることができるそうです。
南方の生き物が好きなダイバーは、要チェックですね。
鹿島にはスジクロユリハゼや
かわいいウミウシたちも
「横島」は天候にもよりますが、港からボートで20分以内で行ける場所にあるのですが、そこから少し港寄りのポイント「鹿島東の根」も、マクロ好きにはたまらない生き物が数多くいました。
水深35mと少し深場ですが、珍しいハゼの仲間のスジクロユリハゼが数個体、巣穴の周りをウロウロと泳いでいたり。
浅場に上がってくれば、餌のコケムシを食べているツノザヤウミウシなどのウミウシも、狭い範囲でポツポツと見ることができました。
さらに甲殻類も各種類見られ、カイメンにつくアカゲカイカムリや、ムチカラマツにはキミシグレカクレエビなど、今が旬な生き物だらけでした。
サンゴと魚影!
ワイドも狙える愛南
「横島」は前回のヘッドラインでも紹介しましたが、壮大なサンゴの群生や一面に広がるソフトコーラルがきれいな場所が多く、癒されるポイントでもあります。
その花畑のようなきれいな場所にソラスズメダイやコガネスズメダイが群れて泳いでいるので、黄色と青色の花吹雪が舞うようにも見えてきます。
そんな光景だけでも美しいのですが、運が良ければその上をイサキの群れが通過していく瞬間にも遭遇できるかもしれないのです。
メジロザメやハンマーヘッドシャークなどのサメも周辺には多いようで、遭遇率も高めだそう!
いつ何時、シャッターチャンスが来るわからないのが「横島」のおもしろいところかもしれません。
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こんな素晴らしい愛南の海ですが、秋から冬にかけては北西の風が強く吹くと荒れてしまい、船を鹿島や横島まで移動することが困難な場合もあるそうです。
とは言っても、風が弱いときに潜れたり別のポイントでは潜ることも可能。
海況がいいタイミングを狙って、秋~冬の愛南にぜひ潜りに行っていただきたいと思います。
撮影協力/DIVE愛南
堀口和重さん
プロフィール
伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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