【現地の動画あり】軽石漂着で深刻な被害、沖縄本島のビーチをレポート
10月後半から報じられている、沖縄への軽石漂着のニュース。日が経つにつれて、軽石が漂着した範囲の広さ、状況の深刻さが明らかになってきている。日本を代表するビーチリゾートである沖縄本島・西海岸にも大量の軽石が漂着し、海辺の景観は大きく変化してしまっている。
海岸線一帯が軽石まみれに! 予測不能な漂着状況
沖縄に流れ着いてくる軽石は、約1400km離れた小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の8月の噴火で発生したもの。2カ月以上の時間をかけて、膨大な軽石が沖縄まで流れ着くことにも驚くが、それまで何もなかった海岸や港が、いきなり軽石まみれになるという予測のつかなさも驚異的だ。以下の動画は、軽石が大量に流れ着いた10月29日撮影のもの。
この動画は、沖縄本島の西海岸・マリブビーチで撮影されたもの。大量の軽石が、海岸線沿いに押し寄せている様子がわかる。
軽石が積もった表面には、魚の死骸が。手を入れてみると、このように軽石がかなりの深さで沈殿している。
潜ってみると、水中も軽石だらけだ。水面に積もった軽石が太陽光を遮ってしまい、昼間でも海の中は薄暗い。サンゴなどの生物への影響が心配だ。
軽石は海面にも溜まり、水中生物への影響も懸念される
現地の方はどのようにこの事態を受け止めているのだろうか。マリブビーチにあるダイビングサービス《海先案内人SeaTrust》の江洌友博さんと金良唯之氏にお話を伺った(取材日/10月29日)。
「軽石は昨日までは岩のあたりまでしかなかったのに、北風の影響なのか一気に広がっていきました。もともとマリブビーチは、北風が吹くと漂着ごみがかなり流れ着くような場所ではあるのですが…。また、有機物のにおいに、錆びた鉄のにおいが混じったような、嗅いだことのないにおいが漂っています」(江洌さん)。
「軽石が押し寄せている海の中は真っ暗で、ライトがないと何も見えない状況です。沖でも軽石がところどころ浮いていて、そこは影になっています。影の部分にあるサンゴには光が当たらないので、光合成ができないのではと心配。赤土よりもひどい状況です」(金良さん)。
ちょうどお話を伺った日、役場の職員を中心にマリブビーチの軽石清掃を人海戦術で行う予定だったという。しかし当日集まってみたら前日よりも軽石の量が増えてしまい、人海戦術では清掃しきれないことの判断から、業者へ依頼することになったそうだ。ビーチにショベルカーを入れて、軽石をさらう作業を繰り返すという。
ショベルカーで軽石をさらって除去しているが、漂着している範囲の広さ、また新たに軽石が増えることもあり、作業は時間と労力を莫大に要することになりそうだ。
突然、消えた⁉ 急変する軽石の動向からも目が離せない
ここまでのレポート記事を制作し、《海先案内人SeaTrust》に最新の軽石の状態を確認したところ、なんと「マリブビーチからは軽石がなくなった」との情報が急遽舞い込んだのだ!
先に紹介したものと、こちらの動画を比べてみていただきたい。
水面に浮遊する軽石もなく、水中もクリアな状態に! 風向き、潮の流れなどで、軽石は突然消えてくれることがあるとは驚くばかりだ。
しかし今後、再び軽石が流れ着いてくる可能性は強く、手放しで喜べないのも歯がゆい。今まで経験がなかった「軽石漂着」は、どのように収まっていくのか? 今後も被害が拡大していってしまうのか? まったく予測不可能だ。
オーシャナ編集部で沖縄赴任中のスイカが現在のマリブビーチの様子を視察してきたが、
流れ着く軽石が減っても海岸に打ち寄せられた軽石は、まだ回収しきれていない様子。
四国、本州への影響も。これからどうなる?軽石の動向
沖縄県は11月5日、全41市町村のうち、国頭村や糸満市など27市町村の少なくとも115海岸(4日時点)で軽石の漂着を確認したと発表した。本島のほとんどの自治体で確認され、定期船の運航や漁業、観光などへの影響が広がっている。
また奄美大島や与論島などの薩南諸島、四国沿岸などでも漂着が報告されており、これから黒潮に乗って本州沿岸にたどり着くことも懸念されている。11月12日には、伊豆諸島の式根島にも軽石が漂着したとのニュースが入ってきている。
ダイビングポイントなどへの影響も心配だが、オーシャナ編集部では各地からの情報を集めて、続報をお伝えしていく。
取材協力:海先案内人SeaTrust
アルガイド沖縄