バディ潜水


僕が伊豆海洋公園でバディ潜水(セルフダイビング)をするために、
事前に友人と打ち合わせをしていたときのこと。

それを横で聞いていた、やはりバディ潜水を始めたばかりの方が、
妙に納得顔で話しかけてくる。


「前のサークルでは、あれを決めろこれを決めろとうるさい人がいて、
潜る前に計画書まで書かされたんですよ。
でも、和尚さんが最低限のことしか話していなくて安心しました。
制限し過ぎたら楽しくないですものね〜」

ちょっと待った。

いや、実際、その場では最低限のことしか決めていないが、それは、
伊豆海洋公園でのバカバカしいほどの練習と計画の日々があったから。

最初はこんなお手製の計画書を作ってダイブテーブルで潜っていた。
この計画書のほかに〝緊急手順計画書〟なんてのも作成

ダイビングの計画とは極端な言い方をすれば〝減圧症にならないため〟の計画。
むろん、テーブルを使うのは、この減圧症にならないための計画をマスターするため。

テーブルとダイコンは、暗算と計算機のような関係。
計算機は数字を押せばすぐに答えが出るが、
暗算をするには九九を知らなければならないし、公式を知らなければならない。
暗算ができる人は計算機も使えるし理解もできるが、
計算機の操作方法しか知らない人は暗算ができないという理屈と同じこと。

もちろん、今では紙にすることはないし、ダイコンで潜っているが、
伊豆海洋公園に限って言えば、安全なコースや時間は染み付いているし、
何も言わなくても緊急手順はお互い了解済み。

結果だけ見てマネされても困るので、やんわりと説明してみたが、
言い訳のように聞こえてしまったようで、
「いやいや、ちゃんと計画していないなんて思っていませんから〜」とニヤニヤされてしまった。
困るなぁ……。

そんなことを思い出し、次号の連載では、
ナビとバディ潜水の基本的な考え方を紹介していますので、
特にビギナーの皆様、読んでみてください。
読み飛ばされるネタなんですが……(泣)。

本当は雑誌ではなく、これらのノウハウを生かして、
実際に〝バディ潜水〟スペシャリティを作って、講習したいんだよなぁ。

あぁ、書くより潜りたい……。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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