【協力者募集】水中ドローンで日本に眠る「遣唐使船」を探査。360°VR制作への挑戦
海底でひっそりと眠る沈没船。これらは人間の活動痕跡が残る文化的・歴史的に貴重な史料として“水中遺跡”と呼ばれている。ダイバーなら実際に見たことがある人もいるかもしれない。しかし一方で、水面下にあるが故に陸の遺跡と比べ、発見されづらいこともあり、壊れても誰も気がつかず、注目されることが少ない。ましてやその存在に触れる機会すらなく、存在自体を知らない人も多い。
そこで、水中遺跡をより多くの人に知ってもらうため、水中ドローンによる撮影を行う「トライワース株式会社」が、360°VRの制作を目的に、長崎・五島列島で沈没船・水中遺跡の調査実施を発表した。
万単位の水中遺跡が未発見の日本
海岸線の長さと海の広さも世界6位という海洋国家の島国・日本は、他国との交流は海を渡って行われてきた歴史をもつ。そのためもあり、日本には万単位で水中遺跡が眠っている可能性があると言われている。しかし、現在登録されている水中遺跡はわずか600件ほどしかなく、鎌倉時代の海底遺跡など、ほんの一握りの遺跡しか知られていない。すなわち日本全国に存在しているはずの水中遺跡は未だ発見されずに、海や湖の底に眠ったままの状態なのだ。
多くの人に水中遺跡を知ってもらいたい
日本の水中遺跡の研究が発展しない理由として、まず水中遺跡の認知度が低いことが挙げられる。水中遺跡を「海底遺跡公園」として活用し、ダイビング観光に活用する事例もあるが、ダイビングをしない人にとっては、水中遺跡を見る機会は皆無と言っていいだろう。
水中遺跡をもっと知って欲しい!360°VRを使って自宅で水中遺跡を
そこで同社が考えたのは、水中遺跡の映像を360°VRにして、海に行かずとも自宅であたかもダイビングをしながら水中遺跡を見つける体験をするというもの。そのためには、まずは同社が水中探査を実施し、遺跡を発見しなくてはならない。そして発見した遺跡の3次元撮影を行う。その後、撮影した映像を公開し、360°VRとして楽しんでいただくという計画だ。
最初の水中探査では、水中遺跡を身近な存在として知ってもらうために多くの人が知っていて、かつインパクトのある遺跡である平安時代に沈没した遣唐使船を、音波探査機などで探査する。水中遺跡調査顧問には一般社団法人海の考古学ラボ代表の佐々木ランディ氏が就任。
【本調査への協力者募集!】
水中遺跡に興味がある方、歴史が好きな方など、調査に協力していただける方を募集中。将来的には日本全国の水中遺跡を調査したり、さまざまな形で水中遺跡を知っていただく活動を行なっていく予定。
ダイビングをしなくとも、水中遺跡を体験することができるという素晴らしいこの挑戦。ぜひ読者の皆さまの中に、水中遺跡に詳しい人がいたら、力を貸してほしい。