人生最大の決断

決意したのは2009年の元旦だったのでかれこれ1年半。
やっと具体化したので発表させていただきます。

パラオに移住します。そして、ダイビングサービスをオープンします。

といっても、手続き上、12月の誕生日まで待たねばならないが、
それでも灌漑ひとしおである。

すべてはパラオの海にエントリーした瞬間から始まった。
伊豆でしか潜ったことのなかった僕は、
無限の透明度に、ギンガメ渦巻きマンタ舞う海に
あっという間に虜になってしまった。

密かに自分でダイビングサービスを経営したいと思っていたが、
「いつかはパラオで」と思うようになり、
その〝いつか〟が何度もパラオを訪れるうちに、
「よし絶対やろう!」となって、2009年元旦の日から行動を開始した。

しかし、想像以上に困難で、遅々として進まない日々が続く。

ダイビングサービスを経営するには、
外国投資許可の登録などいろいろな手続きが必要だが、
中でも一番頭を悩ませたのが共同経営者探し。

パラオ人の共同経営者とは法律上は対等ということになっているが、
未だ、酋長制の名残が政治にも根強く、
最初は友好的でも後になって裏切られすべてを失う……なんてこともあるので、
人選がとても重要なのである。

ここで役にたったのが『マリンダイビング』での職歴やコネクション。

ゴット姉さんは前大統領のレメンゲサウ氏にインタビューしたこともあり昵懇の仲。

大統領でなくなったとはいえ有力者であることには変わらず、
むしろ大統領の立場でなくなったのでコンタクトがしやすい。

数ヵ月後にはレメンゲサウ氏の親族を紹介していただくことができた。

■日本への留学経験もある共同経営者のアルフォンソ

一番の悩みであった共同経営者の問題が解決したが、
次に問題となるのは店の場所と潜るスポット。

後発としては、他のサービスと同じことをしていては生き残れない。
そこで、ニッチなスタイルを模索した結果、
「ブルーコーナー」や「ブルーホール」など
パラオを代表する南西スポット群をあえて捨て、ペリリュー島よりさらに南、
パラオ諸島の最南端・アンガウル島でサービスをオープンすることに決める。

しかし、近代化しているコロールなどと違い、アンガウル島はいまだ酋長制。
酋長に気に入られたアントニオ猪木が島をもらってしまうような政治である。
アルフォンソでも島に行けば、その島の酋長には逆らえない。

ものを言うのは、お金と知名度。

何とか雑誌を見せながら「日本で最も有名なダイバー」ということにして、

話を聞いてもらうまでにはなったが、「年に1000万円なら」とふっかけられる。
が、残念ながらお金はかつかつでそんな大金は払えない。

密かに月に一回くらいの割合で渡航し続けたが、なかなか事態は進展しない。
アルフォンソも「売りに出ているコロールのお店を買いとろう」と提案してきたが、
どうしてもアンガウルにこだわりたい僕は段々アルフォンソとも険悪に……。

そんな暗礁に乗り上げつつあったパラオ移住だったが、急転直下の展開。

酋長のギラケルが、
「それほど本気なら、姪とお見合いをするか?」と言ってきたのである。
正直、「それはないな〜……」と思った。
というのも、もちろんパラオの方と結婚をする気もなかったが、
何より、実は僕には長く付き合っている彼女がいたからだ。
しかし、彼女の存在をギラケルに伝えるが彼は言い訳だとして信じない。

そこで、彼女に一緒に説得に言って欲しいと頼むが断られてしまう。
僕がまさかそこまで本気とは思っていなかったらしく、パラオには住みたくないと。
説得と話し合いは1カ月以上続いたが、結局、別れることになった。

腹をくくった僕は(今思えば自暴自棄だったのかもしれない)、
とりあえず打開策があるかと思いお見合いをすることに。
何ヶ月か前に日記で「お見合いします」と書いたのは、実はこれである。

運命だったのかもしれない。

コロールのパレイシアホテルで出会った
ギラケルの姪のシャーロックに僕はひと目ボレ。

■富士額のシャーロック

お互い気にいったのなら超遠距離恋愛をしても仕方ないし、
僕は一刻も早くアンガウルでサービスをやりたい。

婚約する際には豚を3頭おさめるという決まりも
実家が肉屋だったことですんなりクリアし、話はとんとん拍子で進む。
そして、先週はアンガウル島で僕の歓迎会が開かれ、
あとは8月の式を待つのみとなった。

■歓迎会で父となるギラケルと

■お母さんも美人

宴の席でほろ酔い加減のお父さん(まだ、ちょっと照れるな)は僕に、
「実は最初からヒデキの日本人離れした天然パーマには親近感があったんだよ」
と打ち明けてくれた。涙が出そうになった。

■日本人離れした天然パーマ

ということで、めでたくアンガウル島で
ダイビングサービス「アンガウルズ」をオープンすることが決まり、
家もお父さんが用意してくれた。

■シャーロックとの愛の巣

目下、一番の課題はダイビングスタッフへの教育だが、
彼らにはゲストを満足させるための3つの木を授けたい。

やるき
げんき
いわき

やる気と元気は当たり前だが、だからこそとても大事だし、
画期的なビジネスモデルとして注目されているいわきを大胆に取り入れ、
オールバック・オナベ・システムで業界を活性化……
え? もういいって?

はい。とりあえず、四月馬鹿に乗っておきました(笑)。
しょうもなっ!って怒らないでくださいね(汗)。

僕とシャーロックの愛の物語はさておき、
明日から『マリンダイビングフェア』。

僕も和尚の中身として下記時間に参加していますので、
お時間があればぜひ遊びにきてくださいませ。話かけると喜びます。

金:フル参加
土:10:00〜12:00、15:30〜LAST
日:10:00〜12:00

※その他の時間帯は「JCUEフォーラム」にいます。
http://www.ginza-renoir.co.jp/myspace/msbb002.htm

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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