浮き沈みの激しい人生と安全停止にオサラバ 〜中層にピタッと止まりたいダイバーへ〜
中層にピタッと止まりたい。
よくある質問だ。かくいう自分も、ビギナーのころ、
安全停止中にピタッと中層に浮かぶイントラさんを見て、
「おお、かっこいい!」と思ったものだ。
かっこいいだけでなく、安定した安全停止という意味でも、
ピタッと中層に止まれることのメリットは大きい。
浮き沈みの激しい人生と安全停止を避けるためには
いくつかポイントがあるが、特に大事なのが、
空間認識というと大げさだが、“自分のいる位置を把握”すること。
対象物のない大海原では、自分の位置を正確に把握するのは意外と難しく、
「目をつむっていても体で感じられる」という達人のようなガイドに
会ったことはあるが、普通は、目で対象物との距離を確認し、
自分の位置を把握するしかない。
ちなみに、手元の水深計の数字だけを見つめていては、
BC操作や呼吸が浮力に反映されるまでにタイムラグがあることもあり、
対処が遅れてしまうし、忙しなくなる。
やはり人生と安全停止は、俯瞰して自分を見つめる視点が大事で、
そのためには、自分との距離をはかる対象物が必要となる。
最もオーソドックスな対象物は嫁、いや、ガイドだが、
ガイドは少し離れると1〜2メートルの浮き沈みは
気が付きにくいので、なるべく近くにいることが大事。
水面も目安程度にはなるが、特に透明度がいいと正確な対象物とはならない。
そこで、裏技としてオススメしている対象物がプランクトン。
普段は意識しないので気がつかないが、
逆にマスク越しに意識して見ると、どんなに透明度がいい海でも
プランクトンのような浮遊物が無数に浮いているのだ。
つまり、自分の周りに無数の座標が散らばっており、
ここに気がつけば、自分が3Dの中にいるような感覚になるだろう。
目の前の座標は数センチ単位、遠いものは数メートル単位で、
自分の浮き沈みを教えてくれる。
ただ、この座標は不安定。
潮の流れで動くこともあるので、水深計との併用が鉄則だ。
水深計(ダイコン)を目の前に持ってきて、その水深計越しに、
ガイドやプランクトンなどの対象物を見ながら安全停止すると
自分の位置を正確に把握できる。
本当にピタッと止まるには、装備のバランスや
浮力調整の問題もあるが、まずは、自分の位置を把握することが大事なのだ。
視点を変え、俯瞰して自分の位置を正確に把握し、
浮き沈みをしないように対処する。
人生ではなかなか思うようにいかないが、
ダイビングならきっとできるはずです(経験談・泣)。