【Q&A】海が怖いけどインストラクターになりたい
Q.海が怖いけど、インストラクターになりたい!
ダイビングを始めて2年が経ち、60本ほど潜っています。
中性浮力はとれるようになったのですが、どうも呼吸がうまくいきません。
意識してゆっくり深い呼吸を心がけているのですが、どうしても毎回苦しいです。
また、誰かが近く(イントラさんがベスト)がいてくれないと、不安で不安で、それだけで苦しくなってしまい、呼吸が乱れて、心臓の鼓動がとても早くなってしまうこともあります。
正直、パニック寸前といえる体験もしています。
こんな私ですが、将来の夢が、イントラになることなのです……。
やっぱり海が好きで、怖い時もありますが、ダイビングをしていると心が洗われる気がします。
こういう気持ちだけではイントラは無理なのでしょうか?
海に対して恐怖感がある私にとって、この夢は、不安いっぱいの未来です。
私のように、海が恐い人がイントラになることってあるのでしょうか? またそれでいいのでしょうか?
埼玉県/くにちゃん(女性)
A.克服すればカリスマイントラに!?
気持ちはとってもわかりますし、そういうインストラクターさんも知っています。
仕事にするかどうかは別問題として、ストレスを克服すること、インストラクターになることは、一般論としては可能だと思いますよ。
というのも、自分もインストラクターですが、100本目くらいの時に急に水に対する恐怖心が芽生えてしまい、潜降が嫌だったり、ダイビングしても上がりたくて上がりたくてしょうがない、なんて時期がありました。
結局、そんな水に対する恐怖をずっと隠したままITC(インストラクター養成コース)に挑みましたが、コースディレクター(オーシャナ連載中の山中氏)にばれてしまった経験があります。
原因について考え、少しずつ負荷をかけて「大丈夫かも!」という経験を積み上げることによって、今すぐには無理でも、きっと克服できると思いますよ。
自分の例でいえば、“何がストレスの要因なんだろう?”と考えたとき、海そのものというより、所属していたダイビングクラブの中でのポジションとか、自分の虚栄心とか、そんなことに問題があるとわかりました。
例えば、「自分より後輩のダイバーに格好悪いところを見せたら恥ずかしい」とか「迷惑かけちゃいけない」とか、そういう気持ちを持って海に潜り、水中では、さらに意識しすぎてパニックに近づいていく。
そんな感じです。
なので、原因となる人間関係から離れ、“自分のペース”を保てる環境を作ろうと、気の置けない友人と2人で、潜り慣れた海に潜りたい時間にゆったりとマイペースで潜れるようにしたら、何だか楽に潜れてダイビングも楽しくなった経験があります。
あとは、“準備”するしかありません。
恐怖心の先には“死”というものがあると思いますが、自分でリスクのシミュレーションをして“絶対に死なない”対処ができるスキル、経験を積み上げるつけるしかありません。
例えば、ビギナーのころは「はぐれてしまったら」とか「エアが切れたら」とかストレスは大きいですが、はぐれても自力で帰ってこられる、エアが切れてもある程度の水深なら緊急スイミングアセントできるとか、できることを増やせばストレスも減っていきます。
それと、ストレスダイバーだった自分が思うのは、ビギナーのころに多くのストレスを抱えていたダイバーほど、イントラになったときストレスに対する視点を多く持っているし、そんなダイバーの気持ちがわかるというメリットがあります。
そう考えると、くにちゃんさん、実はカリスマイントラの卵かもしれませんよ!