知っていればダイビングが2倍楽しくなる!? ~変わった魚の名前の由来25~

魚の名前記事用

前回、魚の名前の由来を聞いてから潜るとフィッシュウオッチングが楽しくなるという話をしました。

自分の名前を魚の名前に付けられる? ~ダイビングガイドの名前が付いた海の生物~|オーシャナ

そこで、今回は、変わった名前の付いた魚の名前の由来を紹介します。
※和名には諸説あります。

代表的な者でいえば、真っ先に思い付くのが……、

“ウッカリカサゴ”。

普通のカサゴと似ているため、長い間“うっかり”カサゴと間違われていたのでウッカリカサゴ。

ちょw しっかりして! (笑)

好きなのが……、

“トゲアリトゲナシトゲトゲ”

どっち!?

いや、これは昆虫でした。おもしろかったので、つい。

日本にいる魚で一長い和名は……

ミツクリエナガチョウチンアンコウ

で、日本にはいないものの、それを抜こうと1字多くしたのが……。

ウケグチノホソミオナガノオキナハギ

舌噛みそうです。

それにしても、こんな変な和名が付いちゃうのは、なぜでしょうか?

なんでも、明治時代に標準和名をまとめる試みが行われ、今の基礎となっていて、その際、海水魚の命名は東京魚市場で使用されている名称を採用し、ないものは地方名をそのまま採用したといわれているそう。

このため、今でも標準和名の中には由来が不明だったり、変な名前の魚がいるのでしょう。
明治以降はある程度ルールに沿った命名がされているので、突拍子のないような名前はなくて、今後はさほど笑える和名は登場しないかもしれません。
ちょっと寂しいですが。

ってことで、その他、変な和名の魚をご紹介しておきすね。

【魚なのに動物】

■ツバメウオ
鳥のツバメが名前の由来。う〜ん、似ていないけど……。
■ドチザメ
“ドチ”はスッポンのことで頭の形がスッポンの頭部と似ているから。ほかにも愚鈍を指す“ドジ”に由来するという説も。
■チョウチョウウオ
これはそのまま。いろんなことがうまくいった名前。素敵です。
■アカグツ
赤い靴に似ているから、ではありません。“クツ”はヒキガエルに地方名。赤い靴の方がしっくりしているような。
■アンコウ
のろま、馬鹿者を意味する“暗愚魚(あんぐうお)”、赤魚など諸説あるが、ヒキガエルを意味する“アンゴオ”が転じたという説も有力。いずれにせよアンコウの仲間はカエルに見えたんですね。

【オシャレさん】

■ジンベエザメ
和服の“陣兵衛羽織”、“甚平”から。
■ユウゼン
“友禅染め”からですね。

【例え上手】

■マツカサウオ
そのまんま、松かさ。ちなみに松ぼっくりは“マツフグリ”らしい。つまり松のキャンタマってこと。確かに確かに(笑)
■ウシノシタ
牛タンです。

【体の特徴から】

■ホホジロザメ
口の周りが白っぽい。ちなみに”マン・イーター・シャーク”なんていう英名も。
■カンパチ
両目の間に八の字の斑紋があるってのが一般的。他にも暴れ者を表す方言“カンパチ”に由来するっていう説なんかもある。
■マトウダイ
これもそのまま“的鯛”だが、顔が馬の頭に似ていることから“馬頭鯛”っていう説もあるよう。
■ダンゴウオ
見たまんま。ダンゴウオの仲間はお菓子の名前のコンペイトウや七福神の布袋様からホテイウオなどおもしろい名前が多い。
■マンボウ
“マン”は丸い“ボウ”は魚という意味で、要するに円形の魚ってこと。他にもだらしない“漫魚”とか怠け者の“慢魚”など諸説ある。

【生態から】

■ネンブツダイ
口内保育で有名だが、常に新鮮な水を取り入れるため口をパクパクさせる様子が「念仏」を唱えているようなのでこの名前。
■ウツボ
ウツボ(穴洞)にすむ魚って意味らしい。特徴的な外見から命名すればいいのに。
■ヘコアユ
“ヘコ”は逆さま、“アユ”は歩む。わかりやすい名前だ。
■カワハギ
「皮剥」。恐ろしい名前だが、皮をくるりと剥いで料理をするためらしい。

【人気者】

■イルカ
“チノカ(血臭)”という説やイルカの“カ”は「食用獣」という説、浮いたり沈んだりすることから“イリウク(入浮)”という説など。いずれにせよ、昔はイルカは完全に食料とか害の生物という立場だったので、今のような親しみ深いイメージからはつけられていなはず。
■クジラ
これは多くの説が。皮が黒く内側が白いことから“クロシロ(クロシロ)”、大きな獣の意で“クシシラ(大獣)”、口が大きいので“クチビロ(口広)”、浮上して船に穴をあける(穿く)ことから“クジラ(穿輩)”など。どれももっともらしいけど……。

※〜イルカや〜クジラの、“〜”の部分はわかっても、
イルカとクジラ自体は昔過ぎて謎でした。

■クマノミ
歌舞伎役者が顔に陰影のある化粧をすることを“隈取り”という。クマノミにはくっきりとした横帯があるので、隈取りのある魚として、“ミ”という魚を表す接尾語をつけて
クマノミになったという説が有力かと。

【変てこな名前】

■キタマクラ
この魚を食べると死んでしまう、つまり「北枕」に寝かされてしまうということから。有名なお話ですが、実は毒性はあまり強くないとのこと。
■カジヤゴロシ
すみません、これだけ和名ではなく地方名です。インパクトがあったのでつい。
ちなみに由来は骨が喉に刺さって鍛冶屋が死んだから。もし、後家が死んでいたら、ゴケゴロシ……。
■ゴンズイ
「牛頭魚(ごんずうお)」から。「牛頭」は牛頭人身の、地獄の獄卒の意味。また、「屑物」のことをゴズとかゴンズリと呼ぶことから「屑魚」とした説も。いずれにせよ毒を持つことからかわいそうな名前ばかり。 離してもくっつくから“サイチェン(再会)”とかにすれば人気でたかも。

【イジメられます……】

■オジサン
下アゴの長いヒゲが老人(翁)を思わせるから。または小笠原に住む王治一貴さんという医師の名にちなんだという説も。ちなみにオバサンはいないが、ウバザメやババガレイは老婆かららしい。
■タマガシラ
すみません、僕の考えすぎです。意味は「前頭部が大きく、丸いことから」。

名前ひとつで、魚のイメージがガラリと変わりますよね。
ネーミングって、とても大事。

一見地味なチョウチョウウオのユウゼンは、友禅染めという素敵な由来のおかけで、どこか優雅に見えるから不思議。

一方、オジサンなんて、一生、擬人化されて、繁殖の神秘も「オジサンがオジサンのメスを追いかけまわして……」と、カッコ笑いと共に語られる続けること不可避です……。

魚の名前の由来を知って潜ると、ダイビングが一層楽しくなりますね。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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