“ドリフトダイビングの方がむしろ楽”は本当か?

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ドリフトダイビング

先日、漂流の際に「ウエイトを捨てない」という選択肢の可能性について書きました。

テーマそのものに対しても、書き込みやメッセージなどでいろいろなご意見をいただきましたが、最後に書いたこの一文に対する意見もいくつかいただきました。

“「慣れれば、むしろドリフトダイビングの方が楽」は嘘”

ざっくりいただいたご意見をまとめると、「嘘じゃないよ」「ちゃんとやれば楽だよ」ってことですが、思いを込め過ぎて、“嘘”は誤解を与えてしまいました。

正確に言えば、「ドリフトの方がむしろ楽」は“ミスリード”というのが適当かもしれません。
仕事で言葉も相手にしているだけに、「むしろ楽」にひっかかるのです。

例えば、車の運転で高速道路を走っていると、信号もなく一本道をアクセル踏んでいるだけで一般道よりスムーズに感じるかもしれません。
高速への合流も、自動車学校でスキルを身に付ければ楽々です。

しかし、少しのミスが重大な事故になるのは高速道路の方で、スムーズに感じるのはリスクが見えていないだけです。

ちょっとした油断でのハンドルミス、合流地点でのちょっとした躊躇が大事故につながります。

そう。
“うまくいっている時のみ”快適で、スピードも出ているので爽快感もあって楽に感じているのでしょう。

ダイビングも同じで、湾内と海流の速いフィールドのリスクが同じであるはずがありません。

ドリフトに乗っているとスピード感もあり、楽という感覚になるもしれませんが、例えばトラブルがあっても、先頭を流れるガイドは、助けるためにアプローチすることさえ困難なこともあります。
少しのよそ見ではぐれるリスクも高いでしょう。

潮に逆らわずに流されるている状況がうまくいっているとき“のみ”楽に感じるのだと思います。

また、ドリフトダイビングのエントリー&エグジットは、「静から動」、「動から静」の接触面で、大きなエネルギーが発生する地点。
いつも以上の準備が必要になります。

僕は臆病なので、ドリフトの前に穏やかなところで潜っておきたいし、ドリフト前はドキドキしながらエントリーし、水中では割とピタッとガイドさんについていきます。
そんなビビっている自分を横目に、「ヒャッホーイ!」とエントリーしていくビギナーには、もっとビビります(笑)。

ドリフトダイビングは、いつも以上に準備が必要ですし、何かあった時に、体力や泳力が左右することはまぎれもない事実です。

「きちんとスキルを身につければ、ドリフトダイビングでも快適に安全に潜れる」ならよいと思いますが、「ドリフトダイビングの方がむしろ楽」はミスリード。
割とよく聞く言葉ですが、どこかで聞くたびに「そんなわけないだろ……」と思っています。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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