愛する人の溺死
現在、ダイビング事故やヒヤリハット体験談を集めている。
中でも最も印象に残ったのが、
ダイビング中に目の前で婚約者を亡くした男性の話。
原因はよくあることだった。
前のダイバーにフィンで蹴られてレギュレーターが口からポロリ。
結果、水を飲んでしまい溺死。
多くの事故では過失がある場合が多い。
例え過失がないとしても責任の所在を明らかにしたいのが遺族心情。
しかし、その方は「誰も悪くない」と行き場のない悲しみを胸に抱え、
事故の様子を静かに語る。
彼女のログブックをお借りして手元にある。
最後になってしまった29本目のページを見る。
当然、白紙だと思っていたが、データやコメントが記入してある。
葬儀後に彼がそのページを涙しながら書き埋めたことを知る。
コメント欄には「本当にごめんね」と書いてある。
「誰も悪くない」と答えられるようになるまで、
どんな日々を過ごしたのだろう。
※いずれ、事故防止法を含め、詳細はどこかで発表します。
テラ(和尚)