熱意より一枚の掛けタオル
職業柄、数多くのダイビングサービスを利用するので、
「比較してみて、良いお店の条件とは?」とよく聞かれる。
経営の戦略や教育の方法を見たり聞いたりして「なるほどね〜」と思うこともあるが、
もっともっと小さいところで直感的に「ここは良い店だ」と思うバロメーターがある。
それは、「タオルが1人に一枚用意してある」お店。
もちろん、そうでなくても良いお店はいっぱいあるが、
「タオル1人一枚」のお店で外れたことがない。
飲食店におけるトイレと同じで、一事が万事ということなのかもしれない。
初めてのタオル体験は、昔、紀伊半島の担当だったときに取材で行った
串本の「南紀シーマンズクラブ」。
濡れタオルほど嫌な荷物はないが、かといってセームだと味気ない。
シャワーを浴びた後にふわふわのバスタオルにくるまれる気持ちよさと、
濡れタオルをそのままポイっとできる快適さ。
そんなゲスト目線は水中でも同じだった。
そんなことを思いださせてくれたのが、先日潜った「城ケ島ダイビングセンターSHS」。
なんと、更衣室だけでなく港にまでタオルが用意してある!
ダイビング後の冷えた頭部をタオルでくるんだときに思い出した「嗚呼、この幸福感」。
アットホームな雰囲気やガイディングについて熱く語るよりタオル一枚。
一杯のかけそばならぬ、一枚の掛けタオルなのである。