アルミタンクが軽いは早とちり?
ダイビング歴45年・やどかり仙人のアップアップ相談室
テラ和尚が全国行脚の生臭さ旅に出て行ってしまったが、置き土産の宿題がこれ。
Q.アルミのタンクは水中では軽いのに、なぜ地上では重いのか?
といったわけで、今回はアルミニウムのタンクと
スチールのタンクの重さと浮力のお話であります。
アルミタンクは軽い?スチールは重い?
近頃はダイビングサービスが、しっかり充填済みのタンクをレンタルさせてくれるので、
タンクは自分の器材という意識は、どなたもまずなかろうと思いますぞ。
空になったタンクはひょいと取り代えすればよく、
ダイビングサービスのタンクは、同じメーカーの同じ規格のタンクで、
取り替えたタンクがとてつもなく重かったり、軽かったなんて経験はまずないでしょう。
タンクの刻印を読んで見ましょう
スチールでも、アルミでも、タンクの肩の辺りに、
刻印が打たれているのはご存知のとおり。
例えばあるスチールタンクを見るとV:12.2、W:14.8とあります。
これは、このタンクの容量が12.2リットルで
タンク全体の重さが14.8kgということであります。
ついでにアルミタンクを見るとV:11.1、W:14.2とあります。
どちらのタンクも容量よりもタンクの重さが上回っておりますな
(容量の数字が妙に半端なのは、80キュービックフィートという、
アメリカの規格を換算したためです)。
大切なことは、どちらのタンクも、
タンク1本1本に重量も、容量も少しずつ個体差があるということです。
ここで、スチールタンクを水に入れると、
少なくとも容量約12リットルの分の浮力が生まれます。
水中ではタンクは中性浮力であることが理想でありますから、
この浮力とバランスさせるためには約12kgの重さがないといけません。
しかし、このタンクの重さは浮力に比べて、2.6kgも重くなっています。
その理由は、実際には、このタンクの浮力は、
容量ではなく、タンクの外側寸法、つまり体積によるので、
それを打ち消すにはタンクの厚さの分だけ重量を増やす必要があるのです。
しかし、それでも、スチールタンクの重さをこれぐらいにおさえるには、
タンクの壁を3〜4ミリぐらいにしなければならんのです。
そうなんです。スチールタンクは軽くするために、
高圧ガスの容器(タンク)としては、壁の薄いタンクになっております。
スチールタンクはえらく薄いタンクなのですぞ。
その薄さをみれば、とても倒すの、ぶつけるの、なんて乱暴な扱いはできなくなります。
アルミは軽い!?は早とちり
ここでスチールタンクとほぼ同じサイズの、
アルミタンク10リットルタンクの重量を比べてみると、
ナント、ほとんど直径の同じタンクでは、アルミタンクのほうがやや重くなっております。
アルミは素材としてスチール(クロームモリブデン鋼が主に使われておりますが)より
はるに軽いのじゃないのと思われる方も多かろうと思いますが、
スチールもアルミもタンクの重さはほぼ同じなんだということでまず一区切りして、これから先はまた次にお話にいたしましょう。