映画「サンクタム」レビュー
ひと言で表すなら「壮大な人生訓」。
それ以上でもそれ以下でもない。
洞窟探検、それはすなわち生きる意味、人生。
人生の選択、矜持、不条理、つながり、などなど。
洞窟というフィルターで、人生を極限、あるいはシンプルに
見つめたときに浮き上がってくる真実とは……。
舞台は水中洞窟
ストーリーは至ってシンプル。
というか、そもそもジェームス・キャメロン監督の最大の興味が、
いかに3D映像を活かすかにあることはインタビューを見ても明らかだ。
■インタビュー
http://www.gabastyle.com/entertainment/star/star27.html
彼はインタビューの中でこう言っている。
「実は3Dというのは映画を閉所的に見ているんだ。3Dは閉所が最適だ」
その結果が洞窟、水中ということになるのだろう。
ストーリーは後からやってきて、内容はシンプルな方がいい。
彼の狙い通りというべきか、
臨場感、この映画の場合は窒息感のリアリティが半端ない。
自分がダイバーであり、しかもストレス経験があるからだろう。
手に汗握るどころか、何度、息を止めてしまったことか。
ダイバーならより窒息感を楽しめる映画だ(笑)。
「ダイビングが怖くなりました」「見ていて窒息感を感じた」というレビューを見ると、
これを見てダイビングを始めようという人はいないだろう(泣)。
水中映像の美しさやダイバーの偉大さは認めても、きっと「自分とは違う世界の人」で終わるはずだ。
だって、割と潜っている方の自分がそう思うんだもの。
ただ、ダイバーなら、器材や用語など、身近なものが出てくるだけで親近感は増すし、
何より、感覚がわかるので映像の中に入りこむことができるのでより楽しめるかも。
窒息感もより体感できるけど(笑)。
映画を見終えて思い出したのが、スケールは違うが五木ひろしの「山河」。
直球の比喩とシンプルな人生の詞は、下手すりゃ陳腐に聞こえる。
しかし、五木ひろしが歌い、オーケストラで演出すれば、力強く心をつかむ。
同じかどうかはわからないが、「サンクタム」の直球のストーリーに、
ジェームス・キャメロンが指揮し、3Dで撮れば、スケール感と説得力が増す。
ダイバーとして見れば、窒息感を体感する一方で、
未踏の洞窟に浮かぶ感動も体感でき、個人的にはとても満足のいく内容だった。
は〜苦しかった(笑)。
■編集長ブログでも「サンクタム」
http://diving-commu.jp/ceditorblog/item_5974.html