安全の根幹 〜桜木町列車火災事故から学ぶ〜
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好評だった、ぽっぽ屋ダイバーさんによる「ハイボールはフェールセーフ!?」。
今回は実際の鉄道事故から、安全の最も大切なことを考える。
■以下、ぽっぽ屋ダイバーさん寄稿
昭和26年4月24日、桜木町駅付近を走行中の列車から火災が発生しました。
火は瞬く間に燃え広がり、死者106名・負傷者92名を出す大惨事に……。
![](http://media-diving-commu.oceana.ne.jp/media/40/20111230-Sakuragicho_Train_Fire_1951.jpg)
ここまで死傷者が広がった理由として、
乗客は車内から逃げることができなかったからと言われています。
(余談ですが、昔は隣同士の車両へまたがる通路は無く、
現在、乗客が隣の車両へ自由に行き来できるのは、この事故の教訓の一例なのです)
戦争を乗り切り、混乱期とはいえ復興を誓った最中での事故……、
死傷された方はさぞ無念の思いであったことでしょう。
さて、このコラムでお伝えしたいことはここから。
当時の運輸省(現・国土交通省)はこの事故を契機に、
「運転の安全の確保に関する省令」を出しました。
その中には鉄道業の「綱領」が定めて有ります。
綱領を辞書で引くと、「物事の最も大切なところ。要点。眼目。」と書いてあります。
その綱領には何と書いてあるか。( )書きは超意訳バージョン。
1.安全の確保は、輸送の生命である。(安全を守りましょう)
2.規程の遵守は、安全の基礎である。(規則を守りましょう)
3.執務の厳正は、安全の要件である。(仕事をちゃんとしましょう)
難しい文言で省令が出された割には、書いてあることは至極当たり前のことです。
この当たり前の文言は現在、どこの鉄道事業者においても
ほとんどの部屋に額縁に入れられ掲げられています。
また、鉄道従事員は必ず身につけておくべき重要なものであることから、
いろいろな試験に出題されます。
鉄道で最も大切なことは、安全かつ安定的に輸送を遂行することです。
それらは、個々が業務に責任と協力をすることで成り立ち、
それが利用者の信頼につながり、やがて日本国が世界から尊敬されることに繋がるのです。
一方で、利用者から信頼を失ったら……。もはや言うまでもないですよね。
まさしくダイビングでも同じことではないでしょうか。
安全を第一に確保し、ダイバーに信頼されなければ事業は遂行できないでしょう。
また、個人においても責任ある行動をとらなければ、
ダイビングというスポーツ自体も世間から疑念の目で見られてしまいます。
それらを考えると、この綱領は安全の確保について、
その精神を短文で的確に表していると思います。
しかし、この綱領の文言は堅い、堅すぎる……。
レジャーであるダイビングではさすがに浸透しないし、
ショップの部屋に額縁に入れて掲げるのは違和感がありすぎです。
ということで、最後に鉄道に真似てダイビングにおいても、
みんなが覚えやすくて語呂が良い綱領を定めてみてはどうでしょうか。
例えばこんなふうに……
1.バディシステムの遵守こそダイビングの安全基礎である。
2.健康と海況に留意し、いつでもダイビングを中止することも勇気である。
3.常にスキルアップをはかり、高い安全意識を持つことが上達の近道である。