どっちが幸せ?

『マリンダイビング』で連載や取材記事を書いたりしているが、
実は今メインで書いているのは『アイラブダイビング』という雑誌。
『アイラブダイビング』のターゲットは
ノンダイバー(これから始める人)がメイン。
『アイラブダイビング』では、
雑誌のグラフを華やかにするためにも夢を膨らませるためにも、
南の島の特集を前面に出して、
「ダイビングを始めて、バンバン南の島へ行こうね〜」ってな感じで書いている。


しかし、ふと思う。
ダイビングを南の島で始める気持ちってどんなんだろう?
こんなことを思うのも、
自分のダイビング人生のスタートが、
海藻揺らめく水温17度の伊豆だったから。
ダイビングの第一印象は、
「寒っ!」ってか「渋っ!」。
ダイビングとはトロピカルなもんだと思い込んでいたので、少々がっかりしたのが本音。初めてブラを外したときに味わう感じに似ている。
初めての南の島は、
ファーストダイブから1年後ぐらいの小笠原。
エントリーすると、
澄み渡るディープブルーの水に気が狂うほど感動。初めてパンツを下ろすときに味わう感動に似ている。
それは「青っ!」とか「あったけ〜よ〜」というシンプルな感動だが、言葉の前には、“伊豆と比べて”という枕言葉が隠れている。
また、マンタに初めて会ったのは、
『マリンダイビング』のパラオ取材のとき。
経験本数はすでに800本くらいだった。
あげマンに出会ったときの経験人数は……もう言いません。
浮上後に「でけ〜」と感動しまくりだったが、どうやら小マンタだったらしく、ガイドさんは苦笑い。なんせ初めてだったので、よくわからなかったのだ。
さらに、「初めて見た」と言うと、とんでもなくびっくりされた。
まあ、『マリンダイビング』の中堅記者、
しかもそのときはすでに和尚だったので、
驚くのも無理はない。
実は、僕はたぶん一番多く潜っているのは
西日本という珍しい関東人。
話を戻して、何が言いたいかというと、
「ビギナーだってパラオは楽しめるよ〜」とか、
「Cカード取得直後にいきなりマンタデビューしちゃいましょう!」とか
オススメしているわけだが、
いきなりパラオとかマンタとかが実現しちゃった人の気持ちが実感としては永久にわからないわけだ。
もちろん、パラオだってマンタだって、ビキナ-から楽しめるのは嘘でなく可能だし、
「うらやましいな〜」とも思うのだが、
パラオの「ブルーコーナー」にいきなり潜ってしまった人が
次に伊豆の海に潜ったら楽しめるだろうか? 
とちょっと心配。何だか、リゾート限定ダイバーになってしまう気もする。
別にそれでもいいのだが。
戦前と戦後の人では、
幸せの沸点が違う。
いや、これは例えが極端すぎるか(笑)
通常、真っ先においしいものを食べてしまう僕だが、
ダイビングはなぜか後になってしまった。
ハンマーは神子元でチラッと見ただけだし、
ジンベエはまだ未体験。
南の島で楽園ダイビングから始めた人と
真冬の伊豆でダイビングを始めた人。
まだ、どちらかでしか潜ったことがない人同士のダイビング観が違うのは当たり前だが、順序によってもダイビング観が違う気もする。
まあ、長年、そしていろいろな海を潜っているうちに、その差はなくなってくるのだろうが。
どっちが幸せなのだろう?
人によるといえばそれまでだが、ついつい原稿を書く合間にそんなことを考えてしまうのだ。
【事務連絡】
諸事情によりPCのメ-ルを3日くらい確認できていません。明日の夜に確認する予定です。お急ぎの方はmixiメッセなら朝に確認します。
携帯、書きにくい……。

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
  • facebook
  • twitter
FOLLOW