どこまで聞いていいのやら
ダイビングを通じて多くのダイバーに会う。
老若男女、10代から80代までさまざまだ。
彼ら(彼女)とお話するのは、
知らないことを知れるという意味で興味深く、
ダイビングの最大の楽しみかもしれない。
特に仕事について、
というよりそれに付随したサイドストーリーの話は
大変興味深いものがある。
先日も某商社のお偉いさんと仲良くなると、
「商社にはお抱えの娼婦というのがいてね……」という、
ものすごくおもしろい話を聞けた。
以前からイントラやガイドの“セックス・マネジメント”というようなことをよく考えていたので参考にもなった。
“お客に手を出すな”と性善説で説教垂れるのではなく、
そのはけ口を考える必要はやはりある。自分の課題でもある。
接客業の人なら“今まで出会ったおかしなお客さん”話がおもしろいし、
シニアの人の戦争観もおもしろい。
また、そういう具体的な話もおもしろいのだが、
“世代”による人間の違いを感じるのもおもしろい。
十人十色と言われれば終わりだが、
やはり何人もの異なる世代の人と話をしてくると、
何となく人間の種類の違いを感じるのだ。
細かくは音楽だったりテレビ番組だったりいろいろあるのだろうが、
“戦争”とか“バブル”など、
強烈な共通体験の有無が世代の輪郭を作り上げる。
戦争の世代は、
もうピンとこないので単純に話としておもしろいだけなのだが、
バブルを20〜30代で経験している人たちは、
僕らの兄貴的世代なので、割と自分の身に置き換えて話が聞ける。
バブルを体験している世代はとにかく武勇伝に事欠かない。
就職活動で寿司食っただの、経費で銀座だの、土地転がして何千万だの、
本当に同じ日本であったこととは思えない。
ダイビングショップも乱立し、
「知世ちゃんと同じ装備を全部ください」と客が次から次へ来る時代。
取材でも「あの頃はよう……」とオーナーが遠い目をしてよく語る話題(笑)。
彼らは、大胆で器が大きくパワフルだが、
その分、反動も大きく、ものすごくテンション高く生きてそうで、
家で体育座りしてそうな印象もある。
近い世代なだけに、似ているところもあったり、憧れてマネしたかったり、
逆にマネちゃいけない反面教師だったり。
うらやましいような、うらやましくないような
何だかそんな世代なだけに、話を聞くのも一番おもしろい世代。
僕と酒を飲んだことのあるバブル世代ダイバーさんはわかると思うが、
だいたい「バブルってどんな感じでした?」と聞いてしまう。
とまあ、いろいろな話を聞けるのがダイビングの楽しみでもあるのだが、
仕事のことや過去のこと、家族のことを知られたくない、
または忘れるためにダイビングに来る人もいるので、
あまり深く入りこまないようには気をつけてはいる。
あちらから話すまでは個人的な事は聞かないと決めたこともあるが、
母親譲りの家政婦は見た根性がそうはさせてくれず……。
もっと聞きたいな〜、でも聞いたら嫌かな〜。
いつも距離感に悩むのだ。
※昨日、フォトコンで大瀬崎に参加していただいた皆さま、
ありがとうございました!