俺、ダイビングクラブに入ったんだよね? ~一発芸でさあ大変@学連総会~
テラ青年、学連総会で
スキューバメイツに憧れる
入部して最初の試練は“関東学生潜水連盟総会”。
暴走族か。
明治大学のお茶ノ水校舎で開催された総会では、体育会の血を引く大学が集まり、決算報告やら人事承認やらを行なうのだが、各大学によって体育会の血の濃さが異なる。
外見だけを見ても、芝浦工大の学ラン必着という濃さは際立っているが、我が法政もスーツ必着でかなり濃い。
逆に成蹊や立教、上智などはオシャレな私服で和気合いあいで、こちらの濃ゆい大学を「や〜ね〜」ってな感じの白い目で見る(被害妄想?)。
立教なんか、名前からして“立教スキューバメイツ”。
俺もメイツになりたい……。
自問自答
俺、ダイビングクラブに入ったんだよね?
前期総会の目玉は“新人お披露目”。
壇上に新人が上がって学連加盟校メンバー数百人の前で挨拶するのだが、ここにも体育会の血の濃さが表れる。
薄い学校は全員が一斉に壇上に上がり、主将が「今年の新人で〜す」って感じで紹介し、新人も「ど〜もで〜す」って感じでペコリと挨拶する程度。
しかし、我が先輩は言うわけです。
「負けんじゃねーぞ」
一体、何に勝てばいいのだろう……。
上級生に連れられた僕ら新入生は、校舎裏に連行され発声練習から。
まず先輩が見本を見せるからその通りやれという。
「しつれ〜~い、しまぁす! 埼玉県立〜●●高校出身〜、法政大学ぅ~〜、アクアダイビングクラブぅ~〜、だい31期〜~、●●●●ともうしま〜っっっす!
しつれい〜しまぁっっっす!」
これこれ先輩。人様の校舎でそんな大声で何を始めるんだってば。
明大生、びっくりしてメチャメチャこっち見ているんですけど。
「よし、端から」
これをやれと? 一度自分に問うてみた。
「俺が入ったのって、ダイビングのクラブだったよね?」
しかし、抗う勇気もなく、明学校舎内で大声を張り上げましたとも。
こっぱずかしいったらありゃしない。
さらに、壇上に上がって一芸をしろと。
何百人の目の前で一芸を披露することになった法政アクア1年生。
そりゃ、みんなテンぱる。
そして、それぞれに擦り付け合いが始まり、僕は一人で一芸を披露するハメに。
内容? 恥ずかしくて言えない……。そこそこ受けたけど。
まあ、今にして思えば、大勢の人の前で話してもそんなに緊張しなくなったのは、このおかげだと感謝もしているけど。あくまで、今思えば。
そして、2次会。学連幹部に挨拶回りに行く。
ヤクザか。
もちろん、ビール一気飲み。グラスが空いたらすぐに注がれる。
当時、酒に弱かった僕は全部飲めない。すると、幹部は言う。
「俺の注いだ酒が飲めねぇってか!」
飲めるか、ボケカス、チンカス、ちょっと早く生まれただけのくせに!
などと言える勇気はこれっぽちもなく、しょうがなしに2倍飲む。
吐きまくる。幹部、満足そう。そして、僕はもう一度、自分に問うてみる。
「俺ってば、ダイビングクラブに入ったんじゃなかったっけ?」
ダイビングクラブの生活はこうして幕を開けたのだった。
この総会を境に新入生が何人か辞めた。まあ、当然だ。
(続く)
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