沖縄か……
沖縄に住みたい。
「またか……」。
よく読者アンケートで見る言葉であり、
これを女子に言われると無条件に何となく興ざめてしまう。
少し落ち着いてきたとはいえ、猫も杓子も沖縄移住。
ダイビングで沖縄に行き、すっかりハマってしまい、
にわか沖縄大好き人間になる人は少なくない。
雑誌でも盛んに沖縄移住の特集を組み、
そこに暮らす移住組の活き活きとした笑顔に溢れてる。
しかし、僕の見聞きする沖縄は決して住みたいと思うようなものではなく、
「そんなに住みたいか?」というのが率直な感想。
ましてや離島となれば、1年に2〜3回、ダイビングで行けば十分。
住みたいだなんて死んでも思わない。
雑誌は売れるテーマに沿って粛々とことを進めるだけなので、
暗い顔の人が9人いても無視をして、1人の笑顔の人を見つけ出すだけだ。
それで、何の問題もないけれど。
僕の周りの具体例。
定年退職後に沖縄に移住し、数年暮らしていた裕福なダイバー夫婦が、昨年故郷の北海道に戻った。
理由は医療の不安。
この方は歯の治療を受けるにも、わざわざ福岡へ通っていた。
詳しくは調べていない。
しかし、夫婦の言葉を借りれば「沖縄の医療レベルは低い」という。
やはり沖縄から東京に戻ってきた初老の方に理由を聞くと、
持病の神経痛に何より湿気がよくないのと、
やはり病院を求めてのことだった。
医療の不安は特にお年を召した方に切実な問題だろう。
次に沖縄出身の親しい50代の女性。
彼女は「沖縄には戻りたくもない」と東京永住を決めている。
理由は人間関係
彼女は「沖縄ほど人間関係が煩わしいところもない」と言う。
確かに良くも悪くもコミュニティのつながりは強そうだ。
ハマればいいが、ハマらなかったらたまったものではないのかもしれない。
これが移住組だとさらに大変。
とある離島でダイビングサービスを営む移住組のオーナーは、
朝刊で真っ先に見るのが“訃報”の欄だという。
葬式に参列するのはもちろん、
すぐに駆けつけてあれこれお手伝いをするのだそうだ。
先の沖縄出身の女性いわく、
「3代でやっとウチナンチュウ」とのことで、
すでに20年近く沖縄に住んでいるこのオーナーもまだまだヤマトンチュウ。
転校生はいつまで経っても転校生なのだ。
そして、最も面倒くさいのが沖縄は政治色が濃い。というか生臭い。
特に離島に行けば行くほど。
地元の方と話をするにつけ自民党の底力を感じさせられる。
また、ものすごい右寄りな方もとんでもなく左寄りの方も伸び伸びとしている。
彼らの話を聞くのはダイビングの取材よりおもしろい。書けないけど。
ちなみに、ものすごい右寄りの方に沖ノ鳥島に行くときは船に乗せてやると言われたので、
テレビに映らないように日章旗の陰にこっそり隠れて潜りに行ってみたい(笑)
さらに、データ的なことを持ち出せば、進学率が低く失業率が高い。
それでも地元愛が日本一低い埼玉県民としては、
その帰属意識はうらやましいとも思うが、
先にも述べたようによそ者はいつまで経ってもよそ者。
今から3代も地元の人に遠慮して暮らすのは、
僕には我慢できそうにない。
良い面のデータとして寿命が長いことがある。
しかし、弱っているときにはうらやましくロハスロハスな気になるが、
代理店の短命も嫌だが、ただ長寿でもおもしろくない。
間違っても2日寝て1日起きるサイボーグじーさんとして
テレビに引っ張り出されるのは勘弁してほしい。
所ジョージ、島田新助、宮本亜門……次々と芸能人も沖縄に家を建て、
沖縄ブームを後押しするが、彼ら特権階級には地元民もすり寄るし、
何より職を沖縄外に持つ。
と、これまでの話は僕の周りの話で、客観性のある全体的な話ではなく、
記事にするレベルにない。
それに、外モノが新たなコミュニティを形成している石垣島なんかは
暮らしやすいのかもしれない。
そもそもよく沖縄のことは知らないし。
しかし、以上のことはごく一部という可能性もあるが、
ひとつのリアルなごく一部ということは確かだ。
僕の理想の沖縄との付き合い方は、
「小金を握りしめて豪華ホテルで優雅に過ごす」と
「離島の民宿に泊まって潜りまくり、帰りに那覇の夜を楽しむ」
ことを交互に年4〜5回できたら幸せだ(できないけど)。
沖縄に家は欲しくないし、別荘だっていらない(買えないけど)。
つまり、沖縄とはお金でつながる関係が理想的だ。