藻場の復活を目指し葉山へ!オーシャナ新入りがウニ駆除活動に参加してきた
沿岸周辺に生い茂る海藻や海草の集まりを「藻場」と呼ぶ。藻場は、海の生き物の住処や産卵の場、そしてエサになるだけでなく、私たち人間が排出した二酸化炭素を吸収するという大きな役割も担う。しかし、いま世界中の海で、藻場が極端に減少し砂漠のような状態になる「磯焼け」が起きている。原因は海水温の上昇や台風だけでなく、ウニや魚が大量発生し海藻や海草を食べてしまうことだ。
そこで今回、オーシャナ新入りのわたくしセリーナは、藻場の再生活動を行なっている神奈川県の葉山町の海で、磯焼けの原因の一つであるウニの駆除活動に初参加してきた。
ウニが大量発生してしまった、神奈川県の葉山町の海へ
葉山町の沿岸には、10年前までホンダワラやアカモク、フクロノリといった海藻の森が広がっていたが、ウニの大量発生により海藻が激減。そこで葉山町では6年前から、漁業者、ダイバー、学校関係者、企業、研究者らの連携により藻場の再生活動・環境教育活動を科学的根拠のもと実施している。
9:00 開会式
ウニ駆除をするにあたり、研究者の方や地元のダイビングショップから、葉山の海の歴史やウニの駆除方法についてレクチャーしていただいた。
今回の活動には総勢30名ほどが集まった。参加者は昔から葉山で潜っているダイバーから私のような葉山初心者までさまざま。さらに今回は葉山町長と県議会議員の方々もダイバーとして参加しており、率先して葉山の海を守っていこうという地元愛が感じられた。
9:30 いざ海へ
ウニ駆除方法もしっかりとレクチャーを受け、さっそく海へ出発!1日で2回のウニ駆除活動をするのだが、1回目はまずビーチポイントから。
岩肌が見え、明らかに海藻が少ない。
岩の隙間を覗くと、ウニがびっしり。これでも数年前に比べるとだいぶ減った方だという。
ウニを駆除するための金属の棒。この棒で地道に潰していく。
葉山の海でのダイビングもちゃっかり楽しむ。
辺りを見回すと、海藻が育ち始めている箇所もある。6年前からおこなってきたウニ駆除の成果だという。ビーチでのダイブタイムは約50分間。魚やウミウシなどを見ながらウニを駆除した。
11:30 2回目に出発!
2回目はボートで少し沖へ。岩場にはうわっ!と驚くほどのウニの数。棘に注意しながらひたすら潰していった。ダイブタイムは約40分間。2回のダイブを終え、全員で約1万匹ものウニを駆除。
12:30 ウニ駆除終了!
特別採捕許可を得て陸揚げしたウニは、有効活用のため地域の日本料理店や無農薬農家などの協力により堆肥化試験などを計画しているとのこと。ウニは餌である海藻が少なくても、ある程度は生きていけるそう。海藻が少ないのに大量発生してしまうから、ウニの中身はほとんどない。このウニを堆肥化だけでなく、さらに有効活用しようと、ウニの蓄養を行っている会社*もある。
*ウニノミクス株式会社
ウニ駆除活動を通して、ダイバーとの新しい繋がりができ、楽しい時間を過ごせるだけでなく、環境保全にも貢献できるという、とても有意義な時間を過ごすことができた。次回のウニ駆除活動の開催日は未定だが、機会があればぜひ活動に参加してみようと思う。
※ウニ駆除は漁業協力依頼のもと行っています。独自でウニ駆除や採取を行うと密猟となり、罰金を受ける恐れがあります。
<実施主体>
葉山アマモ協議会▼
ホームページ:https://hitoumi.jp/torikumi/wp/jisseki/1851
Facebook:https://www.facebook.com/hayama.amamo
<協力>
ダイビングショップNANA▼
ホームページ:https://nana-dive.net/
「海を通してみんなで幸せな時間を共有する」、それをコンセプトに掲げ、長年藻場の再生活動に尽力している葉山町のダイビングショップ。今回のウニ駆除活動でも私たちの安全管理を徹底していただいた。
この活動に興味が湧いた方は、モバイルラッコ隊を応援してみよう!
今回わたしは、日本の美しく豊かな海の森「藻場」を守るために結成された非営利の環境保護団体「モバイルラッコ隊」の一員としてウニ駆除活動に参加した。藻場の研究にもとづく科学的知見をベースに、漁業者やダイビングショップ、インストラクター、そしてダイバーの協力を得て、藻場を守るためのさまざまな活動を行っている。
モバイルラッコ隊▼
ホームページ:https://rakkotai.org/