+

ヘッドラインHEADLINE

海の森「藻場」を育てて守ろう~ダイバーとしてできること~Vol.4 海の森を守る~全国の磯焼け改善の取り組み~閲覧無制限

カテゴリ:
BLUE ECONOMY
タグ:

皆さんこんにちは!最近はまだ2月とは思えない暖かさで、風も強い日が多く春の訪れを感じますね。
海の中は少し遅れて今くらいが一番冷たい時期ですが、冬から春にかけて海水温がグッと下がる時期は、多くの種類の海藻が生え始める季節です。今年は海藻たち、順調に育っているでしょうか…。

画像:Unsplash

さて、前回第3回の記事では、海藻や海草の藻場の衰退・減少を指す通称「磯焼け」という環境問題についてご紹介しました。磯焼けは長年認識されている環境問題で、日本各地で多くの対応策が取られています。

磯焼けは藻場に住む生物も減ることで主に水産業への影響が甚大なため、水産庁や漁業共同組合(漁協)、自治体など公的な機関が主体の大規模な取り組みがたくさんあります。
水産庁の「磯焼けガイドライン」でも紹介されているように、磯焼け対策に有効とされる施策は、その原因に応じて主に下記のようなものがあります。

1.藻礁ブロックの設置等の大規模事業
・海藻が繁殖するベースとなる藻礁ブロックや自然石などの設置

2.食害生物の排除や積極利用
・食害生物(主にウニ類や植食性の魚)の駆除・間引きや移植、侵入を防ぐネット設置による排除
・ウニ類の畜養や釣り餌としての利用、植食性の魚のメニュー開発などによる積極利用等

ウニノミクス社による磯焼けウニの陸上畜養
(画像提供 ウニノミクス)

磯焼けを起こすアイゴの積極利用として、千葉県立館山総合高校の生徒が開発した「館山でとれた愛ご丼」。他にもアイゴを利用したメニューがいくつも考案された。
(画像提供 千葉県立館山総合高校)

3.海藻母藻の供給・設置
成熟した海藻(母藻)を人工的に設置することで、母藻が胞子を出し定着を促す

(左)袋詰め型のスポアバッグ(右)オープンスポアバッグ 水産庁「磯焼けガイドライン」より

4.アマモの種子の採取・播種

5.上記に伴う調査や啓発活動等
など一部抜粋

実は、ちょうど今週は磯焼け対策の取り組みに関するイベントラッシュで、2月22日の全国漁業協同組合連合会・全国内水面漁業協同組合連合会によるシンポジウム「多様な主体の連携による里海保全」、24日の水産庁による「磯焼け対策全国協議会」があり、全国各地の磯焼け対策の取り組みが紹介されていました。漁協主体の「水産多面的機能発揮対策事業」に取り組む公の活動組織だけでも、2020年時点で全国751団体に上ります。(*1)
これらの活動は主に漁協を中心に漁業者主体の活動ですが、地元のダイバーやNPO等の市民団体、学校や博物館など多くの関係者と協力して行っているものもあります。

そして、今回特にご紹介したいとても大切な活動で、オーシャナ読者の皆さんにも関係あるものが、全国のダイビングショップや関連団体が主体で、地域のダイバーたちを巻き込んだ取り組みです。長年藻場再生・保全の活動されているショップさんは全国に何軒もありますが、例えば岩手県の三陸ボランティアダイバーズや、神奈川県のダイビングショップNANAの皆さんも藻場保全の活動を積極的にされています。

NPO三陸ボランティアダイバーズは岩手県の複数の海で長年活動してきたが、大船渡市の浪板ビーチ周辺の活動は現在5年目。ウニ駆除やスポアバッグ設置等の継続的な活動の成果が出てきて、藻場も回復してきた。晴れた日の美しい藻場の風景。
写真提供:NPO三陸ボランティアダイバーズ

ダイビングショップNANAでは神奈川県葉山町の海で藻場再生に取り組んでいるが、2020年11月にはスキューバダイバーだけでなく、スキンダイバー、漁業者や科学者と協力して藻場再生活動を行った。ウニ駆除・スポアバッグ設置の後、ウニの試食会やBBQ、勉強会も。
写真提供:ダイビングショップNANA

今回ご紹介したのはごく一部で、他にも日本全国で精力的な活動をしているダイビングショップや関連団体はたくさんあります。藻場保全の活動は潜水を伴うものが多く、また長期にわたり定期的に活動していくことが重要です。
そのため各地のダイビングショップが地元の漁協や漁業者・科学者や一般の人と密に連携し、磯焼け対策活動の一主体としてダイビングを伴う活動を積極的に担い、その土地ごとのコミュニティを形成していくことは、磯焼け対策にとっても非常に大切なのです。

さらに、日本では漁業法により定められた漁業権があり、一般の人が許可なしにウニや海藻を含む海中生物を潰したり採ったりする事は違法です。海の環境を守るような目的であっても漁協や行政など各所との調整が必要になります。この点においても、ダイビングショップ、特に現地サービスは地元漁協や漁業者との関係性も構築しているので、このような活動を始めるのも比較的スムーズかもしれません。

全国で年々深刻化する磯焼け対策には、漁業者だけでなく、ダイビングショップが中心となり一般ダイバーやボランティアを巻き込み活動を広げていく事が必須です。もしダイバーの皆さんもボランティアとして少しでも磯焼け対策に興味があれば、まずは普段利用しているショップや、近くのショップ等に参加できる活動があるか是非相談してみるのも良いでしょう。意外とオープンにされていなかった活動があるかもしれませんし、その地域で新たに藻場再生・保全の活動を始めるきっかけになるかもしれません。一般ダイバーの協力を得て、より多くの地域で藻場保全の活動を広げていくためにも、このようなボトムアップの広がりはとても有効だと思います。

モバイルラッコ隊では、活動パートナー・協力者を募集しています!

ウェブサイト:https://www.rakkotai.org/
Facebook:https://www.facebook.com/rakkotai.org

【参考文献】
(*1):全国漁業協同組合連合会・全国内水面漁業協同組合連合会 シンポジウム「多様な主体の連携による里海保全」令和2年水産多面的機能発揮対策報告会 配布資料より
・水産庁(2015)磯焼けガイドライン https://www.jfa.maff.go.jp/j/gyoko_gyozyo/g_hourei/pdf/isoyake1.pdf

ページトップへ