【ダイバー必見】誰でもすぐにできる安全管理方法。PADIのプロ向けセミナーより
9月29日、世界的なダイビング指導団体“PADI”が、水中世界を案内し私たちダイバーを楽しませてくれるインストラクターなどのプロメンバーを対象に、ダイビングにおけるトラブルや安全管理についてのセミナーを開催した。そこで今回はセミナー内容の中から抜粋して、より安全にダイビングを楽しむために私たちダイバーが自分たちで即実践できること・意識しなければならないことを簡潔に紹介していきたいと思う。
近年増えているダイビング中のトラブルとは
PADIが調査した2018年から2021年に発生したトラブルには、大きく分けて2つの特徴がある。
1つ目は、トラブルのうち70%が体調不良をきっかけに発生していること。ダイビング中に水中で頭や心臓、肺などに異変が生じ、最悪の場合溺れてしまうケース。このようなケースは約半数が反復潜水(1日の中で2本目以降のダイビング)で発生していることもわかっている。また、経験本数100本以上のダイバーにも非常に多いトラブルだというから油断は禁物だ。
2つ目は、トラブルのうち70%が45歳以上のダイバーの身に発生していること。1つ目にもあった、体調不良の症状が発生しやすくなる年齢というのもあるのだろう。「自分はまだ大丈夫!」と思っていても、45歳を過ぎたらリスクがあることを頭に入れる必要がありそう。
誰でもできる!トラブルを未然に防ぐために自分でできることは?
1、ダイバーメディカルを活用
ダイビング前の体調チェックリストとして、ファンダイビングの前に使用が推奨されている「ダイバーメディカル」を活用しよう。ダイビングツアーに参加する前に各自でインターネットからダウンロードをして記入する場合もあれば、当日ダイビングショップが用意してくれる場合もあるので、ダイビングショップの指示に従って記入するのがよいだろう。10個の質問に「はい/いいえ」で答えていく簡単なもの(※1)なので、ダイビング前には必ず実施を。
(※1)「はい」があった場合、医師による診断でダイビング参加の同意が必要となります。
2、体調管理を徹底
ダイビング直前に少しでも体調に異変を感じたら、迷わず中止する勇気を持とう。さらに体調は毎ダイブごとに変わっていくので、2本目や3本目の前にも体調確認を。不安がある時には、ガイドに相談するのもよいだろう。
参考▶︎「ダイビング前の体調チェックガイドライン」(※2)
(※2)ダイビング前にガイドがゲストに対して体調チェックをするときの項目。自分でも確認しておくと安心。
3、新ハンドシグナルを覚えておく
万が一、ダイビング中に体調が変化した時、ガイドと意思疎通ができるようハンドシグナルの共有すること。2020年に新しく追加されたハンドシグナルは、急な体調の変化でダイビングを中止し浮上したいことを素早く伝えるもの。自分の指を自分の方に向けて、頭と胴体を含む楕円形を描くようにして、自分自身(器材ではなく)に問題がある・体調が悪いことを示す。このハンドシグナルを必ず覚えておき、体調が悪くなった時には躊躇せずにガイドに合図を出そう。
4、ガイドに頼りすぎず、バディや自分で安全管理を意識
ガイドはゲストの安全管理を徹底することはもちろんだが、ダイバーが自分自身で安全管理をすることが非常に重要だ。ダイビング前に行う「プレダイブセーフティーチェック(バディチェック)」では作業的に行うのではなく、一つひとつ丁寧にバディの器材に不備がないか確認。この簡単なチェックをするだけで、重大なトラブルを未然に防ぐことができる。ダイビング中もバディへこまめに目を配り、異変があればすぐに近づき、場合によってはガイドに助けを求めよう。
また、ダイバーとしての安全管理や小さなトラブル(レギュレーターが口から外れた、マスクに水が入ったなど)への対処方法など基本的な行動をしっかりと講習のときから学び、身につけることが重要だ。ガイドに頼りきりのダイバーではなく、自立したダイバーを目指そう。
オーシャナ編集部、参加してみて
ガイドに頼りきるのではなく、バディや自分自身で安全・体調管理を徹底することで、トラブルの大半を防げるのだと感じた。編集部の仕事である取材にたとえると「良いインタビューのためには準備が8割」というように、安全で楽しいダイビングのためには準備や確認が非常に重要。水中で楽しむアクティビティということで、リスクがあることをけっして忘れてはいけないのだ。
一般ダイバーに向けた安全対策セミナーを開催予定!
1218(土)に一般向けに安全対策オンラインセミナーを実施予定。詳細は未定のため、PADIホームページを随時チェックしよう!
PADIについて
高い信頼を集める世界最大のダイビング教育機関であり、全世界で2800万人を超えるダイバーを認定。2016年に誕生50周年を迎えた。PADIはブランドミッションとして「Seek Adventure. Save the Ocean.」を掲げ、ダイビングの普及だけでなく世界の海洋保護活動にも力を入れる。
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