ごみ拾い用メッシュバッグレンタルで「青の洞窟」を観光客が来れば来るほど綺麗に

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沖縄本島でもっとも有名なダイビング・シュノーケリングポイント「青の洞窟」。洞窟入り口から差し込む光が水面を青く照らす様子は美しく、ピーク時には一日に数百人が訪れる人気の場所だ。その陸の入り口である真栄田岬のエントリー階段付近には「海が大変だ!」と書かれたごみ箱が設置されている。このごみ箱は真栄田岬でタンクチャージやレンタルなどを行うナチュラルブルーが、地元の山田小学校の子どもたちと一緒に作ったものだそう。それだけでなく、ごみ拾い用のメッシュバッグも貸し出しているという。なぜ多くの観光客が訪れる場所でこのような活動をしているのか、ナチュラルブルー・オーナーの星原貴保氏に伺った。

地元の小学生とのワークショップからできたごみ箱

ごみ箱が設置されたのは2020年9月。このごみ箱は真栄田岬から徒歩20分ほどの場所にある山田小学校で、ナチュラルブルーが5~6年生に向けて行ったワークショップの中で出てきたアイデアをもとに作られた。サンゴや海、ごみのことを座学とビーチクリーン、磯遊びをとおして学んでもらい、ごみ問題の解決策を生徒たちと一緒に考えていったそう。

星原氏

参考にしたのは与論島の「人が来れば来るほど、砂浜がきれいになる島」というコンセプト。与論島では砂浜に「拾い箱」というごみ箱を設置し、訪れた人がついでにごみを拾えるようにしています。ごみを拾うと、ごみを減らそうという意識や行動の変化にも繋がるのでとても素晴らしいのですが、観光で楽しみに来た人はもしかしたらやりたくないかもしれない。だから、まずごみがあるよとか、海を綺麗にしようっていうのを知ってもらうのに、メッセージを伝えたいねっていうことで、このごみ箱の作成に至りました。

星原氏

ただごみ箱を作るだけでは子どもたちにとっては自分ごとにならないので、授業をとおして一緒にどんな解決策があるかを考えてもらいました。「もう観光客が来ない方がいいのではないか」という話ももちろん出ました。でもSDGsの視点で考えると、バランスが大事なんじゃないかと思うので、自分たちや親はどんな仕事でどんな生活をしているのか、そんなことを伝えていきました。そこで、最終的に子どもたちが伝えたいメッセージをイラストとともにごみ箱に自分たちで描いてもらうことになったんです。

ごみ問題を切り口に、もっと地元の海を知りたいと思った子どもたちはシュノーケリングにも参加し、海の楽しさも学んでいっているそう。そして、楽しい場所を守り伝えていくためにサンゴの苗作りを行い、企業や観光客、地元の方の支援で苗の植え付けを行う…と少しずつ活動も広がっている。

メッシュバッグレンタルでメッセージから具体的な行動へ

ごみ箱を設置したところ、かなりの量のごみが捨てられていたという。しかしそれは真栄田岬で宴会をしていた人がそこに捨てて行くようなケースがほとんどで、当初想定していた使われ方とはかけ離れていた。そこで、星原氏が始めたのがごみ拾い用のメッシュバッグのレンタル。

星原氏

個人で利用するシュノーケラーやダイバー中心に良ければ拾ってくださいというかたちでお渡ししているので、断られる方ももちろんいらっしゃいますが、海外の方なんかはノリノリで拾ってくれることも多いです(笑)。

「共感を生み、人を育てることが環境保全につながる」地域を巻き込み広げていく活動

海ごみに関する活動以外にも、県内外の小学校〜大学、専門学校で観光や環境、海遊びのことを星原氏は教えている。「自然を人に伝えることが好き」という星原氏に、環境保全に関する考えや想いを伺った。

オーシャナ編集部(以下、――)ごみ箱を地元の小学生と作ったのはなぜなんですか?

星原氏

私たちは真栄田岬を使わせてもらっているという立場なので、その地元にある山田小学校で何かやりたいと思ったんです。もともとごみ箱を作る前から環境教育などはしていましたし、そういったことも含めてやりたいと先生たちに相談したんです。

――小学校だけでも14校教えていらっしゃるんですね。教育へかなり力をいれているようですが、どうしてでしょうか。

星原氏

地元に環境を守る人材が少ないのが課題だと思っているからです。沖縄の海の観光事業者ってほとんど県外から来た人で、商売の相手も県外なんですね。つまりこの海という環境に価値を見出しているのはほとんど県外の人たちで、中の人たちはそうは思っていないんです。

――沖縄県内の人が環境に価値を見出していないと、守ろうとはなりませんね。

星原氏

そうなんです。たとえば、真栄田岬は人気のポイントですが、一方でオーバーツーリズムの問題もあります。人が来すぎて自然環境や景観の破壊、地元の方にとって不利益を与えてしまうというものです。その解決策の一つが人を分散させることだと考えているのですが、そのためにはダイビングがしやすい拠点を増やさなければいけません。たとえば、伊豆には伊豆海洋公園などダイビングショップや個人ダイバーが使用できるダイビングの拠点となる施設が各地にあるのに沖縄にはほとんどないですよね。でも新しく拠点を作るには、地元の人たちがその必要性を見出さなければなりません。だから地元の人に価値を理解してもらう必要がある。そのために教育が必要だと考えています。

ごみ箱作成前に現場を知るために行った磯遊び・ビーチクリーンの様子

ごみ箱作成前に現場を知るために行った磯遊び・ビーチクリーンの様子

――なるほど。「人と自然のかけはしに」というショップの理念はそういった活動にまで広がっているんですね。

星原氏

はい。ただ、ダイビングやシュノーケリングのお客様は観光として来ているので、楽しみながら自然のことを知ってもらえるようにと意識しています。

――楽しみながら学んでもらう。とても大事なことですね。

星原氏

環境を守るには、無関心が一番の敵です。自然のことを知って、共感して、関心を持ってもらうことがその第一歩。人が育つことが環境を守ることにつながると信じています。

▶︎ナチュラルブルーが設置したごみ箱についてはこちら

取材協力:ナチュラルブルー


海での体験をとおしての楽しみと学びを提供している。「人と自然の架け橋に」を合言葉にたくさんの人たちに海を伝えて、次世代に続く自然環境と地域と人作りを行う。

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