【現地レポート】公募で集まった一般ダイバー4名がリブリーザーに挑戦してみた!果たして結果は!?
Mares(マレス)のセミクローズドリブリーザー「HORIZON(ホライゾン))」。ocean+αでも度々取り上げてきたが、その良さをさらにもっと伝えるため、まだHORIZONの凄さを知らない人に実際に体感してもらおう!ということで、昨年秋、ocean+αと、東京のダイビングショップ・アクアクエストの澤田淳さん、愛知のダイビングショップ・ダイブコンシェルジュサガワの佐川純さんとの共催で、限定4名のリブリーザー体験会「TRY SCRコース@西伊豆」を開催した。参加者を募ったところ、すぐに満席…!
そして、昨年11月、満を持して開催!現地に同行したocean+α編集部のセリーナが、リブリーザー未経験者の4名がどのような感想を抱くのか、その様子をレポートしたいと思います!
ちなみに、今回共催した澤田さんと佐川さんはHORIZONダイバーを多く生み出しているHORIZONインストラクターで、澤田さんはHORIZONインストラクターを認定できるインストラクタートレーナー。
「Re Breath(リブリーズ)=再呼吸」の名のとおり、自分の吐いた息を無駄にせず、もう一度自分が吸う空気として再利用できる機能を持つダイビング器材(※)。その中のひとつであるHORIZONは、ダイビング中、常に付きまとうあの「ボコボコッ」とした自分の排気音が聞こえなくなり生き物に普段(自分の呼吸が排気されるオープンサーキット)より近づけたり、長時間潜れたりと、実はダイビングを楽しむうえでのメリットがたくさん。
※酸素濃度の高いガス(下図参照)を定量で流して酸素を補充する仕組み。リブリーザーには、大きく分けて「CCR(クローズドサーキットリブリーザー)」、「SCR(セミクローズドリブリーザー)」の2種類あるが、HORIZONはSCR。
今回の参加者は、東京と埼玉から集まったリブリーザー未経験者の4名。TRY SCRコースで行う内容としては、学科講習とプール/限定水域での実習の2つに大きく分けられる。通常、TRY SCRコースでは、一定の条件を満たしていれば、学科講習とプール/限定水域実習・海洋実習を最短1日で体験できてしまうのだが、今回は場所と時間の関係で、学科講習とプール/限定水域実習・海洋実習を別日で開催した。
HORIZONの講習
SCRダイビング・コース | SCR EXTENDED RANGE アップグレード・コース | SCR EXTENDED RANGE ダイビング・コース | TRY SCR(Mares Horizon) | |
---|---|---|---|---|
最大潜水可能深度 | 30m | 30 → 40m | 40m | 12m(プール/限定水域の経験後 海洋にて実施可) |
最低必要日数 | 4日間(学科・プール・海洋実習4本) | 3日間(学科・プール・海洋実習2本) | 6日間(学科・プール・海洋実習6本) | 1日 |
前条件 | 18歳以上 アドバンスランク以上のCカード 24本以上のダイビング経験 エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP ディープ ダイビングSP |
18歳以上 SCR ダイビング(Mares HORIZON) |
18歳以上 アドバンスランク以上のCカード 24本以上のダイビング経験 エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP ディープ ダイビングSP |
16歳以上 アドバンスランク以上のCカード 経験本数12本以上 |
学科講習でHORIZONの基礎知識を学ぶ!
参加者は、学科講習の数週間前、本コースを提供するダイビング指導団体「SSI」でのアカウントの作成と、そのSSIアカウントに付与される自主学習用トレーニング教材で、事前にHORIZONの基礎知識を学んでおく。その自主学習した内容の理解をさらに深めるため、この学科講習で、インストラクターがHORIZONの特徴や構造、器材操作の注意点、専用のダイブコンピュータ(コントローラー)、使用するガスとHORIZONに搭載する二酸化炭素吸収作用のあるスクラバー剤などについて、約1時間かけて説明をしていく。
Cカードを取得する「SCRダイビングコース」の場合は、学科講習でHORIZONトレーニングマニュアルの8章まで行うが、TRY SCRコースではHORIZONの基本の基を学ぶ2章までを学習する。
この学科講習を終えて参加者は、「自主学習で読んだトレーニングマニュアルの内容は、簡略化されている部分も若干あったのですが、その部分を澤田さんから解説していただけたので疑問点を解消できました。とてもわかりやすかったです」と、理解も深まった様子。
ここで参加者4名に、リブリーザー体験会に参加しようと思った理由を伺ってみたので、ご紹介したい。
ダイビングを始めたのは20代だったのですが、途中ブランクもあり、65歳のときに復帰しました。ダイビング復帰の際、ocean+αのスイカさんのHORIZONの記事も読んでいたのですが、今の私には高嶺の花と感じていました。しかし、今回のTRY SCRコースは、私でも手が届く範囲なのだと感じ、申し込みました。今からワクワク・ドキドキしています。
ダイビングは、今回一緒に参加する山下さんと大学のダイビングサークルで潜ってきました。今まで伊豆半島や伊豆諸島、沖縄などでダイビングしてきました。魚に近づけるリブリーザーに魅力を感じて、ずっと気になっていました。リブリーザーを使うことで、初めて水中で呼吸したときの感動をまた得られるのではないかと期待しています。
過去に伊豆半島・大瀬崎で潜ったときに知人のガイドからリブリーザーの話を伺って以来、ずっと興味がありました。友人の小山さんから、今回のリブリーザー体験会があるというのを聞いて、参加してみようと思いました。リブリーザーに対する知識がほぼないので、いろいろ質問させてください。楽しみにしています!
他メーカーのリブリーザーをダイビングイベントで見たことがあり、ずっと気になっていたので、今回体験したいと思いました。
参加者それぞれ、ダイビングに新たな刺激を求めて、今回のリブリーザー体験会に参加していただいたよう!
待ちに待ったリブリーザー体験、当日!
会場は西伊豆・獅子浜。天気はあいにくの曇りだが、風は無く、海も穏やかだ。朝9時、4名の参加者たちも現地に到着し、澤田さんと佐川さんとオフラインで初めてご対面!参加者たちが、この日を心待ちにしていたことが、その表情からも感じられる!
参加者たちが持参した器材を器材セッティングエリアに置きにいくと、そこには、すでにセッティングされたHORIZONがズラッと6台も!思わず「お〜〜!」という歓声があがる。
※Cカードを取得する「SCRダイビングコース」の場合は、器材のセッティングなども受講生自ら行うが、TRY SCRコースではインストラクターが行う。
HORIZONを装備し、水中に行く前に、学科講習で学んだ内容を少しおさらい。いよいよHORIZONを体験できるワクワクとドキドキ感が高まってきている様子。
ここから、実際にHORIZONで潜るための器材セッティングを行なっていく。TRY SCRコースでは、器材セッティングの項目のひとつであるプレジャンプチェックを体験できる。HORIZONが正常に動作するか陸上で確認する作業のことを指し、HORIZONに使用するエンリッチドエアを流し込み、コンピュータの設定と酸素濃度が合っているか、センサーが正常に作動するかなどをチェックするのだ。実はこの初めの手順が慣れないうちは苦労することも多い。というのも、初めにカメラの水没チェックでハウジング内部の空気を抜いて陰圧にするように、HORIZON内部の空気を抜いて密閉状態を確認するのだが、これを口で行うのだ。マウスピースをくわえ、口から吸って、鼻から空気を出す動作を素早く行う。失敗するとやり直し。今回の参加者はスムーズにできたのだろうか…?
プレジャンプチェックは慣れていないと、焦ってしまったりしてうまく行かないこともあるが、今回の参加者はみんな一発で成功するという優秀っぷり!オープンサーキットのダイビングではやらない工程を初体験し、慣れないながらも楽しめている様子!
プレジャンプチェックを含む器材のセッティングが完了したら、いよいよ装着していく。
早速、プールでHORIZONの感覚を体験してみよう!
初めてのリブリーザー体験はいかがだろう…?と編集部も見守る。水深2.5mのプールで自由に泳ぎながらリブリーザーでの中性浮力の感覚に少しずつ慣れていく。ちなみにこのプールの水には海水を利用し、実際の浮力とほぼ同じ感覚を実現している。
普段のオープンサーキットと違い、リブリーザーは肺での浮力調整ができない。そのため、主にBCで浮力調整をするのだが、予想よりも浮いてしまったり、沈んでしまったりとコツを掴むのが難しい。何百本と潜っている経験豊富な参加者でさえ、着底してしまったり、浮上してしまったりと、最初はてんやわんやしている様子も伺えた。また、HORIZONは体を立てると呼吸抵抗を感じやすくなるため、水平姿勢を意識するのだが、中性浮力を取りながらピタッと動かずその姿勢を取るのも至難の業。
15分ほど練習していると、参加者の中には中性浮力を掴む感覚に慣れてきた方も…!
30分ほど、プールで動きのイメージを掴んだ後は、いよいよ待ちに待った海での体験へ!
リブリーザーの醍醐味でもある、静寂な水中体験ができること、魚に近づけることを体験しにいこうではないか!早速ゆっくりとエントリーしていく。
TRY SCRコースでは、海洋実習での最大水深は12m。40分ほどの水中遊泳の中で、水中生物への接近を試みてみたり、中性浮力でピタッと止まれるか試してみたり、各々楽しめたのではないだろうか。
陸に上がって、初めてのHORIZONの感想を一人ひとりに聞いてみた!
最初、立ち姿勢気味で呼吸をしてしまっていたのですが、水平姿勢を取ると、呼吸がすごく楽で、陸で呼吸しているのと同じ感覚でした。途中でマウスピースにあるレバーを操作してオープンサーキットに切り替えると、「自分の呼吸音ってこんなにうるさいんだ」と驚きました。HORIZONは呼吸音がしない分、魚が全然逃げませんでしたね。オープンサーキットでは寄ってこない感じがありますが、魚もこちらに興味を持ってくれている様子で、魚と親身になれる感覚がありました。一方で、水中の音に関しては、もっと音の無い世界かと想像していましたが、他ダイバーが多かったこともあり、けっこう泡の音がしましたね。
それから、私はオープンサーキットのとき、喉が渇かないようにバイオフィルターを使っていますが、HORIZONはそれに匹敵する保湿された暖かい空気を吸うことができました。
遊びの幅を広げるためにもまた使ってみたいと思いました。たとえば、熱海の沈船は、全長80m、水深は20mなので、オープンサーキットだと、減圧不要限界がすぐにきてしまうのでじっくり見られませんが、HORIZONだとゆっくりと見られそうですね。
静かなのが一番よかったです。レバーを操作してオープンサーキットに切り替えたときの自分の呼吸音がうるさく感じました。このHORIZONで魚の群れとかに近づいてみたいですね!
中性浮力に関しては、なかなかコツを掴むのが大変でした。オープンサーキットでのダイビングでは、自分の呼吸(肺)で浮力を調整することが多いので、HORIZONでも、つい癖で、呼吸で浮力を調整しようとしてしまいました。シビアな浮力調整が必要だなと思いました。
普段のオープンサーキットでは、呼吸をすると浮力が変わるので、呼吸している感覚があったのですが、HORIZONでは、呼吸をしても浮力は変わらないですし、しかも呼吸抵抗が限りなく少なくて、陸と同じようにスムーズに呼吸ができすぎたので、いい意味で呼吸のしがいがありませんでした(笑)。中性浮力ももっと慣れたら、その場でピタッと止まることができたら気持ちいいんだろうなと思いました。
TRY SCRコースでは最大水深12mまででしたが、SCRダイビングコースのCカードを取得して、水深30mまでいくと水中の音はどれだけ静かになるのだろう、と気になりました。魚がたくさんいるポイントでどれだけ魚に近づけるかも、もっと挑戦してみたいですね。
それから、気づいたのは、水中で泳ぐときの抵抗が少ないことです。HORIZONにはホースがたくさんあるので、水中で泳ぐときには抵抗がありそうだなと思って、キックをたくさんして泳いでみたのですが、意外にも抵抗が少なくてかなり進めました。HORIZONの背面部が流線型になっているので、それが理由なのかな?今回はドライスーツでの体験だったので、次回は動きやすくてキックしやすい、ウエットスーツでも試してみたいと思います。
普段はBCをほとんど使わずに、呼吸で浮力を調整していたので、HORIZONへの空気の出し入れの微調整が大変で、なかなかうまく中性浮力が取れませんでした。もう少し練習すれば、快適に潜れるようになりそうです。空気が暖かく湿っているので、普通に潜るより寒くないし、喉が渇かないのは嬉しいですね。
ただ、エントリー前の器材セッティングに時間がかかる印象はありました。オープンサーキットのダイバーと一緒だと待たせちゃうのかなとも思いましたが、HORIZONでは1ダイブを長くできるので、オープンサーキットのダイバーが2ダイブ行く間に、長い1ダイブをすれば効率的なのかなと思いました。
楽しく充実した1日はあっという間。イメージよりも驚いたこと、難しかったことなどさまざまあったと思うが、ダイビングの新しい刺激になったことはきっと間違いないはず!今回、澤田さんと佐川さんからも初体験にしては、かなり上手だったとお褒めの言葉をいただいた。「いろいろと戸惑いはあったと思いますが、練習すればどんどん慣れていき、上達するはずです。今回の新しい体験が、ダイビングをより楽しくしてくれるといいですね」と話した。
本記事を読んで、今回のようにまずは手軽にHORIZONを試してみたい!という方は「TRY SCRコース」に挑戦してみよう!もちろん、最初からCカードを取得する「SCR Divingコース」でもOK!アクアクエストでは、アクアクエストでのCカード取得者を対象にHORIZON器材を手軽にお得にレンタルできるサブスクプランも実施中。この機会にぜひ詳細を、アクアクエストとダイブコンシェルジュサガワのホームページでそれぞれチェックしてみよう!
▶︎アクアクエストのHORIZONコースについて詳しく知りたい方はこちら
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取材協力:獅子浜ダイビングサービス