一般ダイバーがリブリーザー「HORIZON」の講習に挑戦!講習生の正直な感想とは!
ocean+αでも度々ご紹介してきた、イタリアのダイビングギアメーカー「Mares(マレス)」のセミクローズドリブリーザー「HORIZON(ホライゾン)」。今回、は新たな『HORIZONの「SCRダイビング・コース」を抽選で1名様にプレゼント!』企画に見事当選した一般ダイバーの講習の様子と赤裸々な感想をお届けしていきたいと思う。
【現地レポート】公募で集まった一般ダイバー4名がリブリーザーに挑戦してみた!果たして結果は!?
「Re Breath(リブリーズ)=再呼吸」の名のとおり、自分の吐いた息を無駄にせず、もう一度自分が吸う空気として再利用できる機能を持つダイビング器材(※)。その中のひとつであるHORIZONは、ダイビング中、常に付きまとうあの「ボコボコッ」とした自分の排気音が聞こえなくなり生き物に普段(自分の呼吸が排気されるオープンサーキット)より近づけたり、長時間潜れたりと、実はダイビングを楽しむうえでのメリットがたくさん。さらにHORIZONは、スポーツダイバーでも手軽に使えるリブリーザーとして設計されているのが最大の特徴でもある。
HORIZON講習の内容とは?
今回の企画で実施する「SCRダイビング・コース」の内容を見ておこう。HORIZONを使用してダイビングを行うための最初のコースで、最低4日間の講習を経て認定を受けると、水深30mまでのHORIZONを使ったファンダイビングができるようになるというものだ。
SCRダイビング・コース | |
---|---|
最大潜水可能深度 | 30m |
最低必要日数 | 4日間(学科・プール・海洋実習4本) |
前条件 | 18歳以上 アドバンスランク以上のCカード 24本以上のダイビング経験 エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP ディープ ダイビングSP |
今回の登場人物
見事抽選に当選した、スペイン在住の秋田さん
スペイン在住の秋田さん。Cカードのランクはダイビング指導団体「SSI」のダイブマスターで、これまでの経験本数は330本。スペインでは、40mを超えるテクニカルダイビングにも昨年から挑戦しているんだとか。そんな秋田さんもリブリーザーは未経験。今回のHORIZON講習を通じで、秋田さんはどのような感想を抱くのか、ぜひ注目していただきたい。
数多くのHORIZONダイバーを育成してきたインストラクターの澤田さん
今回、インストラクターを務めたのは、ocean+αのHORIZONに関する記事でもお馴染みの澤田淳さん。澤田さんは、東京のダイビングショップ「アクアクエスト」のオーナーで、HORIZONインストラクターを認定できるインストラクタートレーナーでもある。
1stステップ:講習はアプリ登録と事前学習からスタート!
5月中旬、秋田さんにはまず、アクアクエストがある東京都巣鴨にお越しいただき、学科講習開始前の事前説明やSSIアプリ(※)への登録などを行った。その後、学科講習での理解をより深めるためにe-ラーニングにて事前学習を行っていただいた。ちなみにこの事前学習では、少しずつ何日もかけ読み直しながら進めてトータル10時間ほどかかったそう。学科講習が始まるまでに計画立ててコツコツやるのがよさそうだ。
※学科教材やCカードの管理、ログ付け、申込書の管理などがアプリ内ですべてできてしまう「MY SSI 」というアプリ
2ndステップ:頭から湯気が出る!? 学科講習
e-ラーニングでの事前学習を終え、HORIZONについて基礎知識を身につけたうえで、6月7日(金)、再びアクアクエストにお越しいただき、学科講習へと進んでいく。
学科講習の内容は、HORIZONの仕組みや使用方法、安全に使用する方法について詳しく学んでいく。HORIZONは、オープンサーキットと異なり空気を再利用する。だからこそより長い潜水時間が可能となるのだが、その分、リブリーザーの理論や深度とガス濃度を考慮した減圧計算などを行う必要がある。過去、同じ講習に挑戦してきたオーシャナ編集部メンバーも頭から湯気を出してきた部分だ。秋田さんはどうだろうか。
- ●SCRの概要(歴史、機能と特徴、SCRの構成部品など)
- ●物理について(水深と圧力、分圧、ボイルの法則など)
- ●生理について(不活性ガスの法則、酸素暴露の管理など)
- ●HORIZONについて(HORIZONの構成部品、使用前のチェックリストとメンテナンス、スクラバー剤、酸素センサーなど)
- ●SCRの器材(器材の特徴、SCR用シリンダー、追加器材など)
- ●SCRの理論(SCRダイビングの原則、ループFO2の計算、ガス計算など)
- ●SCRの潜水計画(MOD(最大行動水深)、無減圧潜水計画など)
「学科講習で特に印象に残ったのは、器材セッティング時に行う酸素センサーのキャリブレーション(調整)やスクラバー剤(二酸化炭素吸収剤)のセッティング方法です。これらはリブリーザーならではの知識で、安全に使用するために欠かせない部分。実際にHORIZONを触って手を動かしながら学ぶことで理解が深まりました。澤田さんの指導もとても丁寧で、わかりやすい。減圧計算などに関しては、澤田さんがイラストを用いたり、自動計算してくれるエクセル(※)まで用意してくださっていたので、比較的スムーズに理解できました!」
秋田さんは、テクニカルダイビングの知識を少し持っていたこともあり、学科の内容は比較的スムーズに理解できたそう!それでも、リブリーザー特有の操作や考え方には新しい発見が多く、非常に興味深かったと感じてくれたようだ。
※アクアクエストのお客様が作ってくれた非常に心強いツール。しかも、使いやすいようにどんどんアップデートされているらしい。
3rdステップ:安全な環境でスキルを実践!プール講習
HORIZONの基礎知識を身につけたら、次は実践編へ。6月14日(金)、神奈川県厚木市のダイビングプールがあるスポーツジム施設「ザムロッド本厚木」に到着した秋田さん。ここでは、HORIZONを使用し、学科講習で学んだ内容を踏まえて、安全な環境でHORIZONの基本的な操作を練習することが目的だ。
- ●陸上での器材セッティングと動作チェック
- ●呼吸ホースの水抜き
- ●中性浮力
- ●フロッグキックとフラッターキック(それぞれモディファイドキックも)
- ●シリンダーの脱着(水中と水面で)
- ●ベイルアウトバルブの操作(リブリーザーモードとオープンサーキットモードを切り替える)
- ●水面空気消費率のチェック
- ●S-ドリル(シリンダーから空気の漏れがないか、リブリーザーモードとオープンサーキットモードを切り替えることができるか、など)
- ●マスク脱着
- ●緊急時(HORIZON内が、低酸素状態/高酸素状態/高炭酸ガス状態)の対応
- ●浮力器材の不具合の対応
「学科講習で学んだ内容を思い出しながら、実践していきました。初めてリブリーザーで水中に入りましたが、中性浮力がうまく取れず、浮上したり潜降したりして、コントロールが難しかったです。プール講習で特に印象に残っているのは、ベイルアウトバルブの操作です。これはオープンサーキットでのダイビングにはない操作なので、いつ・どんな状況で操作すべきなのか、戸惑うこともありました。繰り返し練習することで、次第に慣れていき、徐々に自信を持って操作できるようになりました!」
「ベイルアウトバルブは、口に咥えていないときは常に閉めておかなければなりません。万が一、ベイルアウトバルブが開いたままで、そこに水が侵入するとHORIZONは故障してしまうんです。でもHORIZON使用中にHORIZON内の酸素濃度に異常が生じた場合などは、自分の判断でこのベイルアウトバルブを操作します。だからこそ、
操作の手順をしっかりと覚えてほしいところですね。秋田さんにも重点的に練習していただきました!」
プール講習を無事に終えた秋田さん。海で使用する準備が整ったのではないだろうか。
4thステップ:待ちに待った海へ!海洋講習
「SCRダイビング・コース」のファイナルステップである海洋講習! 4本のダイビングを通じて、自立してHORIZONを使えるダイバーを目指す。今回の舞台は、富士山を仰ぐ静岡県沼津市のダイビングスポットである大瀬崎だ。
- ●陸上での器材セッティングと動作チェック
- ●S-ドリル(シリンダーから空気の漏れがないか、リブリーザーモードとオープンサーキットモードを切り替えることができるか、など)
- ●コントロールされた潜降
- ●シリンダーの脱着(水中)
- ●中性浮力
- ●ベイルアウトバルブの操作(リブリーザーモードとオープンサーキットモードを切り替える)
- ●水面空気消費率のチェック
- ●呼吸ホースの水抜き
- ●フロッグキックとモディファイドフロッグキック
- ●シリンダーの脱着(水中と水面で)
- ●マスク脱着
- ●緊急時(HORIZON内が、低酸素状態/高酸素状態/高炭酸ガス状態)の対応
- ●浮力器材の不具合の対応
1本目と2本目の最大深度は12m。プールとは違って、透明度が悪かったり、流れがあったりするので、落ち着いて一つひとつのスキルを行うことが大切だ。
3本目もひととおりのスキルを行いながら、次は最大水深20mまで行ってみる。この海洋講習でポイントとなるのは、毎ダイブで同じスキルを何回も行うこと。これは、SSIのトレーニングメソッドである「繰り返しによる快適さ」、つまり無意識に反射的に行動できるようになるまでスキルを繰り返し練習することが重要だと考えるからこそ。4本目は「SCRダイビング・コース」の総仕上げ。スキルをひととおり自立してできることが求められる。最大水深は30mなので、HORIZONならではの水中での静寂も感じられるはずだ。
ここからは写真とともに、7月8日(月)に行った器材セッティングからエントリーして、4本目のダイブを終了するところまでを見てみよう。
「器材セッティングや動作チェックの項目が多かったり、慣れない複雑な作業に感じましたが、細かいチェックが安全なダイビングには欠かせないと実感しました。何度もやるうちに少しずつスムーズになってきたと思います。今後も繰り返していけば、より短時間でできそうです」
器材のセッティングが完了したら、HORIZONを背負って海へ!
緊急時のひとつである低酸素状態の対応スキルを動画で少し見てみよう▼
まだ少しスキルの手順に迷いがある部分もあるが、ほぼ完璧にできている!澤田さんからも拍手がもらえた!ひととおりのスキルができるようになった秋田さん。無事「SCRダイビング・コース」修了!おめでとう!
「最初は少し緊張しました。緊急時の手順を覚えるのも難しかったですが、落ち着いて状況判断を行い、安全に浮上するのはとても重要ですね。定期的にHORIZONでダイビングをしてスキルを忘れないようにしたいです!」
「おめでとうございます!スキルは、繰り返すうちに少しずつスムーズにできるようになってきましたね。HORIZONを楽しむという部分では、魚にも普段より近づけたのではないでしょうか?」
「オープンサーキットでのダイビングでは逃げてしまうような魚にも、近づけたのは、驚きました!自分の呼吸音がしないHORIZONだからこそ、水中世界に溶け込んでいる感じですかね。講習修了後にカメラを持って、ハナダイに近づいて見ましたが、いい動画も撮れたと思います。」
ハナダイの群れに近づいてみたときの秋田さんの様子▼
「HORIZONの楽しさを感じていただけてよかったです。アクアクエストでは、HORIZONを長く気軽に楽しんでいただけるようにHORIZONレンタルのサブスクリプションも行っていますので、ぜひ今後も一緒に楽しみましょう!」
「サブスクリプション早速検討しています…!魚に近づけることもそうですが、1回のダイビングを長時間楽しめることがとても嬉しいです。空気を再利用しているからエアが持つし、エンリッチド・エア・ナイトロックスのおかげで体内の窒素の蓄積も少なくて済みます。1つのポイントをじっくりゆっくり潜りたい私にとってはぴったりだと思いました」
すっかりHORIZONの魅力にハマった様子の秋田さん。講習の中には慣れない作業もあったが、それを経て、得られる楽しさはかなり大きい。レクリエーショナルダイビングの今までにない新しい選択肢として、今後もぜひHORIZONを使って各地の海を思う存分に楽しんでほしい!
▶︎HORIZON、コース、サブスクについて詳しく知りたい方はこちら
HORIZONを始めたい方へ
いやいやもうHORIZONで自分で潜りたいよ! という方はぜひコースへお申し込みを。「SCRダイビング・コース」を受講し、認定を受けよう。
HORIZONの講習
SCRダイビング・コース | SCR EXTENDED RANGE アップグレード・コース | SCR EXTENDED RANGE ダイビング・コース | |
---|---|---|---|
最大潜水可能深度) | 30m | 30 → 40m | 40m |
最低必要日数 | 4日間(学科・プール・海洋実習4本) | 3日間(学科・プール・海洋実習2本) | 6日間(学科・プール・海洋実習6本) |
前条件 | 18歳以上 アドバンスランク以上のCカード 24本以上のダイビング経験 エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP ディープ ダイビングSP |
18歳以上 SCR ダイビング(Mares HORIZON) |
18歳以上 アドバンスランク以上のCカード 24本以上のダイビング経験 エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP ディープ ダイビングSP |
サブスクリプションについて
HORIZON本体は購入することもできるし、アクアクエストではサブスクリプションも用意されている。スクラバーの交換やメンテナンスが不安という方には特におすすめだ。
アクアクエストで講習を受ければ、年間6万円プラス通常のツアー料金でHORIZONダイビングが可能。
▶︎詳しくはこちら
東京都豊島区巣鴨1-31-6
TEL:03-6906-8177
FAX:03-6906-8182
営業時間:月〜土曜日 12:00〜20:00、日曜・祝日 12:00〜19:00
定休日:11月〜4月:毎週火曜日
Sponsored by Diving Lounge aqua QUEST