シュノーケルの使い方は大丈夫!? 初心者必見の使い方完全ガイド

夏本番を前に「今年は家族や友人と海に行ってシュノーケリングをしようかな?」と思う方もいるのではないだろうか。シュノーケリングは手軽に楽しめる海のレジャーとして人気だが、正しい使い方や効果的なテクニックを知らないと安全性や楽しさに影響が出てしまうことも。よくある事故例としては、水を誤って吸い込んでしまい、パニックになり溺れてしまうなど数多く発生している。そこで本記事では、夏本番を前に知っておきたいシュノーケルの基本知識や選び方、使用方法から安全対策を解説し、誰もが安全かつ楽しくシュノーケリングを楽しむためのヒントをお届けしたいと思う。

シュノーケルの基本構造と仕組み

シュノーケリングで使用される一般的なシュノーケルの形状例

シュノーケリングで使用される一般的なシュノーケルの形状例

まずは、シュノーケルの基本構造から。これを理解することは、安全かつ効果的に使用するための第一歩ともいえるので、シュノーケルの各部について見ていこう。

シュノーケルのパイプ(管)」は空気を吸い込むための通路であり、通常、水が入りづらいように細長い仕様になっている。さらにパイプの先端部分に「スプラッシュガード」が取り付けられているものもあり、波しぶきや水しぶきがパイプ内に入るのをより防ぐ役割を果たしている。これにより、水面に浮かんでいる際に水が入りづらくなり、呼吸がしやすくなる。そ

れでも、パイプ内に入る水を完全に防ぐことはできない。そこで水が入ってしまった場合に簡単に排水できる仕組みとして「排水弁」を備えている。加えてシュノーケルの底部に設けられた「排水室」に水がたまるようになっているので、シュノーケル内に水が残らず、安心して呼吸を続けることができる。

また、「シュノーケルアダプター」によってマスクとシュノーケルを固定し、呼吸のために咥え込む「マウスピース」が、ちょうど口の位置くるように調整できる。マウスピースは口にフィットするような形状に設計されており、水が入るのを防ぐ。これにより、口呼吸する際の違和感を軽減し、自然な呼吸が可能になる。

シュノーケルの使い方

マウスピースの咥え方

咥えやすい形状になっている

咥えやすい形状になっている

快適にシュノーケリングを楽しむためには、シュノーケルのマウスピースの正しい咥え方と呼吸のコツを理解することが非常に重要。まず、マウスピースを均等に上下の歯でしっかりと挟み込む。

口は「あ」の形で開いて、マウスピースを咥えよう

口は「あ」の形で開いて、マウスピースを咥えよう(撮影施設:OKマリンプロ)

歯で挟み込んだら、唇でマウスピースをぐるっと完全に覆うようにする。そうすることで、水の侵入を効果的に防ぎ、快適な呼吸が可能になる。

口を「い」の形にしてマウスピースを上下の歯で挟み込む

口を「い」の形にしてマウスピースを上下の歯で挟み込む(撮影施設:OKマリンプロ)

口を「う」の形にしてマウスピースを唇でぐるっと覆う

口を「う」の形にしてマウスピースを唇でぐるっと覆う(撮影施設:OKマリンプロ)

呼吸のコツ

マウスピースを咥えたら、水面では自然な呼吸を心がけ、口を大きく開けずにマウスピースをしっかりと咥えておくことがポイント。このようにすることで、一定のペースで呼吸が安定し、息苦しさを感じることなく楽しむことができる。また、スムーズな呼吸のためには、深呼吸を意識することも大切である。浅い息でなく、深くゆったりとした呼吸を心がけることで、リラックスしやすくなる。

さらに、シュノーケリングをしている間に口周りの筋肉が緊張しがちだが、これも疲れやすさの一因となるため、リラックスすることを意識すると良い。リラックスした状態で、ゆったりとした深呼吸を繰り返すことで、より一層シュノーケリングの楽しさを感じることができる。

シュノーケルに水が入ってきたときの対処法

シュノーケルに水が入る原因

シュノーケリング中にシュノーケルに水が入ってしまうことはよくあるが、その原因を理解することで適切に対処できるようになる。まず、シュノーケルに水が入る主な原因をいくつか紹介しよう。

1、波や水しぶき

シュノーケリング中に波や水しぶきがシュノーケルの先端にかかると、シュノーケル内に水が入ることがある。特に波のある海や、他の泳いでいる人が近くにいる場合は、水しぶきが発生しやすい。

2、シュノーケルの位置のずれ

シュノーケルが固定されていないので傾いている

シュノーケルが固定されていないので傾いている

シュノーケルが正しい位置に固定されていないと、水が入りやすくなる。たとえば、シュノーケルの先端が水中に入りやすい位置に傾いている場合、波や動きによって水が入りやすくなる。

3、水中を覗き込みすぎる

通常の位置

通常の位置

頭を下げすぎてシュノーケルの先端が沈んでいる

頭を下げすぎてシュノーケルの先端が沈んでいる

シュノーケリング中、下を覗き込むような形で頭を水中に入れすぎると、シュノーケルの先端が水中に入るため、水が入る。

4、マウスピースを正しく咥えられていない

マウスピースを唇で完全に覆えていない

マウスピースを唇で完全に覆えていない

唇でマウスピースをぐるっと完全に覆えておらず、隙間ができてしまうと水が侵入し、誤って水を飲んでしまうことがある。

5、シュノーケルの破損や劣化
シュノーケル自体が破損していたり、排水弁が劣化している場合、水が入りやすくなる。特に長期間使用しているシュノーケルや、適切にメンテナンスされていないシュノーケルは注意が必要。

シュノーケルクリアの方法

シュノーケルに水が入ってきた際の対処法として、適切に水を排除するためのスキル「シュノーケルクリア」を習得しておくことが重要!ここではシュノーケルの先端から水を吹き飛ばす「ブロー法」という方法をご紹介。この方法がシュノーケルクリアの中では一般的で、比較的簡単なため初心者でもすぐにマスターできる。

手順1、まず、うつ伏せの状態で頭を水面に浮かせてシュノーケルの先端が水面より上に出るようにする。

手順2、口に含んだ空気を一気に「トゥッ!」と勢いよく吹き出す。この時、できるだけ力強く息を吐き出すことで、シュノーケル内の水を効果的に排出できる。

手順3、シュノーケル内の水が完全に排出されるまで、必要に応じて何度か2を繰り返す。

ブロー法を行ったあと、勢いよく空気を吸うと万が一シュノーケルに水が残っていた場合、水を誤って吸い込んでしまうので、1回目の呼吸は熱い飲み物をすする様なイメージで、そっと吸うことを意識しよう。

シュノーケルクリアの練習

シュノーケルクリアを確実に身につけるためには、海でシュノーケリングを行う前に練習を行うことをおすすめする。以下の手順で練習を行ってみよう!

手順1、浅瀬やプール、お風呂など安全な場所で練習を始める。

手順2、シュノーケルを装着し、シュノーケルを傾けてパイプの先を水中に入れるなどして意図的にシュノーケルに水を入れる。

手順3、ブロー法を使ってシュノーケル内の水を排出する。

手順4、何度か繰り返し練習し、スムーズにシュノーケルクリアができるようにする。このようにしてシュノーケルクリアの練習を積むことで、実際のシュノーケリング中に水が入っても冷静に対処できるようになる。シュノーケルクリアのスキルを身につけ、安全かつ快適にシュノーケリングを楽しもう。オーシャナでも、専門知識を持ったインストラクターがシュノーケルの使い方から、フィンキック、水中への潜り込み方などまで習得するレッスンを開催中なので、ぜひご活用いただきたい。

シュノーケル選びのポイント

シュノーケルの使い方を踏まえた上で、ここではいくつかあるシュノーケルの種類についてご紹介。シュノーケルにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴がある。シュノーケル選びは個々のニーズや活動内容に大きく影響するため、どの種類が自分に合っているかを理解することが重要である。

蛇腹タイプ

蛇腹によりマウスピースの可動域が広くなる(写真:「【シュノーケル編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!」より)


蛇腹によりマウスピースの可動域が広くなる(写真:「【シュノーケル編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!」より)

パイプとマウスピースのつなぎ目が蛇腹になっており、口の位置に合わせてシュノーケルを動かしやすい形状。

排水室・排水弁付き

(写真:「【シュノーケル編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!」より)

写真提供:AQROS

シュノーケリングをする際に主流となっているのがこのタイプ。マウスピース付近のにシュノーケル内部の水が貯まる排水室や、水を外に排出し外部の水の浸入を防ぐ排水弁がついていて、水を飲んでしまうことが減ったり、軽く息を吹き出すだけで排水弁から簡単に排水できるのがメリット。

ドライシュノーケル(ドライトップやドライアッパーとも呼ぶ)

水の入りにくさを極めたタイプ(写真:「【シュノーケル編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!」より)


水の入りにくさを極めたタイプ(写真:「【シュノーケル編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!」より)

シュノーケルの先端が水に浸かるとスプラッシュガード内のフロートが浮き上がり、パイプの入り口に蓋がされることで水の侵入が防がれる仕組み。水しぶきなどにより多少の水が入ることはあるが、ほとんど入って来なくなるのでシュノーケルクリアが苦手な方にもおすすめ。

ラップアラウンド型

写真提供:AQROS

(写真:「【シュノーケル編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!」より)

顔の形に沿ってパイプの部分がカーブしていて、水の抵抗を受けにくい形のもの。

ストレートタイプ

排水弁や排水室のない、シンプルな筒状のシュノーケル(写真:「【シュノーケル編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!」より)


排水弁や排水室のない、シンプルな筒状のシュノーケル(写真:「【シュノーケル編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!」より)

排水弁がないので、トップからしか水が排水できず、シュノーケルクリアをするときは息を強く吐き出す必要がある。しかし、他のタイプと比べて、コンパクトで顔まわりもスッキリし、水の抵抗が最も少ないタイプ。

フルフェイス型

顔全体を覆うことで息苦しさを感じにくくし、視界も広がるため、より快適にシュノーケリングを楽しめる。

自分に最適なシュノーケルの種類を選ぶことで、快適で安全なシュノーケリング体験ができる。選ぶ際は、使用する環境や自身のレベルなどに合わせて選ぶことをおすすめする。

安全にシュノーケリングを楽しもう!

シュノーケリングは、美しい海の世界を手軽に楽しめるアクティビティ。シュノーケルの基本でもある正しいシュノーケルの使い方を理解することで、初心者でも安心して楽しめる。シュノーケルクリアの方法や水が入る原因と対処法を学び、リラックスして海の美しさを満喫してほしい。

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PROFILE
0歳~22歳まで水泳に没頭し、日本選手権入賞や国際大会出場。新卒で電子部品メーカー(広報室)に入社。同時にダイビングも始める。次第に海やダイビングに対しての想いが強くなりすぎたため、2021年にオーシャナに転職。ライターとして、全国各地の海へ取材に行く傍ら、フリーダイビングにゼロから挑戦。1年で日本代表となり世界選手権に出場。現在はスキンダイビングインストラクターとしてマリンアクティビティツアーやスキンダイビングレッスンを開催。
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