OM SYSTEM OM-1ユーザーが語る 私がガイドする海のこと、水中写真のこと(第3回)

OM SYSTEM OM-1ユーザーが語る③ 私がガイドする玄界灘の海のこと、水中写真のこと

コンパクトでありながらハイクオリティな水中写真が撮れることから、水中写真家やガイドなどのプロダイバーにも愛用者が多いOM SYSTEMのミラーレス一眼カメラ。日本各地のOM SYSTEMのカメラユーザーのガイドに登場していただく連載企画、第3回は福岡・玄界灘の海をガイドする「JOINT corporation」の寺澤淳二さんが登場。OM SYSTEM OM-1で撮影した作例とともに、この機材を選んだ理由や使用して気に入っているポイントなどを伺ってみた。

寺澤(てらさわ) 淳二(じゅんじ)さん
JOINT corporation
寺澤淳二
ダイビング歴:22年 8,000本
ガイド歴:20年
水中写真歴:18年

地元・福岡の海でダイビングを始めて、水中の世界に魅せられ、ダイビングの仕事を始める。その後、水中写真に夢中になり、器材販売店の勤務を経て、ガイド・インストラクターとして活躍中。現在も各機材メーカーの営業等を行っていて、自称「日本トップクラスの水中撮影機材マニア」。

  

私がガイドしている海の特徴
魚影が濃く、群れに巻かれることも多い

福岡県の玄界灘を主に潜っていますが、光り物系の群れが多いです。いわゆる食べると美味しい魚ですね。魚影が濃い海なので、エントリー後に気づいたら群れに巻かれていたりします。最近、トビエイの50匹くらいの群れが出たこともあります。繁殖行動なのかなと思いますが、なぜ出たのかははっきりわかりません。そんな時に限って、お客様をガイドしていたのでカメラを持っていませんでした(笑)。

またソフトコーラルが群生しているポイントがあり、彩り豊かな海を楽しんでいただけます。お客様には青物トルネードや多種多様な魚たちの魚影の濃さを、ぜひ見ていただきたいですね。代表的なシーンでは、イサキの群れが壁のようになって現れる「イサキウォール」。夏の間、2カ月くらい群れるのですが、いろいろなポイントで見られます。特に大きな群れが見られるのが、沖合のポイントです。まれにクロマグロの群れやカツオの群れなども見られます。また、新しいポイントへ行ったところ、カマスの大群もいました。

なお、近年珍しいウミウシなども見られ、深海魚などもちらほら上がってきています。毎回何が出るか、期待感を持たせてくれる海です。玄界灘のダイビングはまだ歴が浅いので、いろいろ見られるようになったのは最近ですね。まだまだこれから、ポイントを開拓していきたいと思っています。

【作例1】圧巻のイサキの魚群
【作例1】圧巻のイサキの魚群

使用カメラ

OM SYSTEM OM-1

使用レンズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

撮影モード

M

シャッター速度

1/200

絞り値

f6.3

露出補正

0

フラッシュ

強制

ISO感度

800

ホワイトバランス

5000

撮影地

福岡県「玄界灘の秘境」

玄界灘は日本でも有数の魚影の濃さが見どころのポイントで、中でもイサキの群れは恰好の被写体です。大きい物で50~60cmくらいの魚たちが何万匹も集まって群れを作って壁のようにそびえたり、群れの動きで一匹一匹が巨大な竜の鱗の様にうごめいてるスケール感を出したかったので高出力のINON社のストロボをしっかり当てて、魚の大きさと輪郭をハッキリ出すようにしました。また、構図の片隅にダイバーを入れることによって群れの大きさがイメージしやすいように意識して撮りました。奥にいるダイバーはちょうどストロボで撮影していたのですが、たまたまタイミングが合ったのでいい感じに光ってくれましたね。

必ず見せたい水中シーンや生物
ソフトコーラルにつくハナゴイやハナダイ

沖縄などに比べると透明度は落ちますが、色彩豊かなソフトコーラルはぜひ見ていただきたいです。“玄海灘の秘境”と言われる沖合のポイントにはソフトコーラルが群生しており、そこにハナゴイやハナダイがついていて、色彩豊かな写真が撮れます。玄界灘のハナゴイやハナダイはほかのエリアのものと比べると大きいので、撮影しやすいですよ。群れへのアプローチの仕方や写真の撮り方などもその都度、説明いたします。

【作例2】ソフトコーラルとハナゴイ
【作例2】ソフトコーラルとハナゴイ

使用カメラ

OM SYSTEM OM-1

使用レンズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

撮影モード

M

シャッター速度

1/200

絞り値

f5.6

露出補正

0

フラッシュ

強制

ISO感度

800

ホワイトバランス

5000

撮影地

福岡県「玄界灘の秘境」

玄界灘は黒潮「対馬海流」の支流が当たっており、四季の移り変わりはありますが年間を通じて色鮮やかなで写真映えのするソフトコーラルが見られます。流れが当たっているときほど、そのソフトコーラルにハナゴイやアカオビハナダイなどがギュッと集まって、より華やかな写真が撮れます。流れがない場合はGoProで撮影をしているダイバーに根の周りからゆっくり攻めてもらって、根の中央にグッと集めてチームで協力してより良い写真と動画を撮ったりもしますよ(笑)! この写真はふんわりとした柔らかなソフトコーラルの優しい色合いを見てほしいと思って撮った写真になります。

【作例3】ハナダイ、ハナゴイの群れ
【作例3】ハナダイ、ハナゴイの群れ

使用カメラ

OM SYSTEM OM-1

使用レンズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

撮影モード

M

シャッター速度

1/200

絞り値

f6.3

露出補正

0

フラッシュ

強制

ISO感度

800

ホワイトバランス

5000

撮影地

福岡県「玄界灘の秘境」

このポイントは通年、他の地域より大きめのハナダイやハナゴイが群れていて、いつでも写真派や動画派の方でも何本潜っても飽きないドロップオフのポイントになっています。 いろいろな構図で撮れますが、この時は根待ちをしてハナダイの群れをじっくり止まって撮りました。上から撮ることで背景を暗めに、よりハナゴイやハナダイが目立つように意識しました。

OM SYSTEM OM-1との出会い、気に入っているところ
レンズの豊富さをはじめ、いろいろ点が優れている

私が水中写真を始めたのは、ダイビングのインストラクターになってからです。ツアー中にお客さんを撮るためにカメラを持つようになりました。最初に使っていたのは、いわゆる一般的なコンデジでした。しかし、お客様に一眼レフなどのいいカメラをおすすめして販売しているうちに、自分が持っていないと「何で持ってないの?」と言われてしまうので(笑)、一眼レフやミラーレス一眼のカメラを使うようになりました。新しい機種が出ると買い換えたりしてきたので、今まで6~7種くらいのカメラを使ってきました。

OM SYSTEMのカメラには、もともとミラーレス一眼の先駆けであったオリンパス時代から注目しており、PENシリーズやOMシリーズも自分自身でも購入して使いこなせるように勉強していました。その時はフルサイズのデジタル一眼レフも使っていて、フルサイズの良いところ、マイクロフォーサーズの良いところ、一眼とミラーレスの違いなども自分で使ってみて知るようにしていました。その上で、お客様に納得してカメラ選びをしていただき、撮り方からカメラのセッティング、メンテナンスまで講義することが多かったです。

OM SYSTEM OM-1を選んだ理由としては、いろいろあってひと言では言えないのですが、水中で使えるレンズの豊富さ、バッテリーの持ち、ボディの大きさ、操作性、今のご時世では価格面が一番大きいかもしれません。

撮影機材へのこだわりポイント
3本のレンズを撮影シーンで使い分けている

道具好きなところがあるので、いろいろなものを試すのが好きです。レンズは次の3種類を使い分けています。

・M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
F1.8という大口径の明るいレンズで陸上での星空撮影でも人気。最短撮影距離も短く、ワイドマクロにも挑戦できるほど使い勝手の良いレンズ。
ここまでで紹介してきたワイドの写真は、こちらのレンズで撮影しています。

・M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
ウミウシでもハゼでも非常に使い勝手の良いマクロレンズ。

・M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO 
望遠マクロでテレコンバーターも装着できる、いい意味で変態的なマニアックなレンズ。 

撮影する際に心がけていることとしては、マクロ撮影では被写体の世界観や被写体の目線、その雰囲気を表現したいと思っています。その生物がすんでいる環境も入れて撮るのが好きです。

【作例4】60㎜マクロレンズで撮影
【作例4】60㎜マクロレンズで撮影

使用カメラ

OM SYSTEM OM-1

使用レンズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro

撮影モード

M

シャッター速度

1/125

絞り値

f6.7

露出補正

0

フラッシュ

強制

ISO感度

100

ホワイトバランス

5500

撮影地

福岡県・玄界灘

この写真はサクラミノウミウシの交接になります。ちょうどこれからの春先の時期に見られる光景です。サクラミノウミウシに注目してほしかったので、背景を黒抜きにしました。白系のウミウシが白飛びしないようにやや絞り気味にしてフラッシュの発光量を少なめにし、シャッター速度もやや落とし気味に撮った一枚になります。

【作例5】90㎜マクロレンズで撮影
【作例5】90㎜マクロレンズで撮影

使用カメラ

OM SYSTEM OM-1

使用レンズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

撮影モード

M

シャッター速度

1/200

絞り値

f10

露出補正

0

フラッシュ

強制

ISO感度

320

ホワイトバランス

4600

撮影地

福岡県・玄界灘

OM SYSTEMから出たM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO は、フルサイズ換算で180mm相当が水中で使えるという驚きのレンズです。最短撮影距離も0.224m と寄れる上にボケ感がお気に入りです。この写真は半透明のウミウシの質感を出したかったので、光が当たりすぎないように絞り気味で撮りました。この質感を出すのに苦労しました。

ワイド撮影では、伝えたい全体の雰囲気や自分が気に入って特に見てほしいと思ったものは誇張した感じに、また、OLYMPUSイズムの影響なのか海の青を深い色にしたり、同じ「青」でも福岡の海はいろんな色味があるので、青い・碧い・蒼いと違いを出して表現したいと思って、RGBを調整して撮ることが多いです。あと光が当たっているところと当たっていないところが明確に分かれている写真ではなくて、徐々に暗くなっていく感じが好きです。せっかくいい機材があるので、ライティングにはこだわって撮っています。

【寺澤さんの使用撮影機材】
寺澤さんの使用撮影機材

カメラ:OM SYSTEM OM-1
ハウジング:NA OM1
フラッシュ:INON Z-330
ライト:RGBlue SYSTEM02 :re Single Light SUPER-NATURAL COLOR

ハウジングはアルミ製で耐久性も良く、ポートの種類も様々なレンズに対応。操作性が良く、コンパクトで使い勝手が良いので「NA OM1」を使用しています。以前、一眼のフルサイズも使っていたのですが海外に行く時など持ち運びに苦労していたので、その点は大きな利点です。
「Z-330」は圧倒的な光量の強さと均一な広角配光が気に入っています。
RGBlueのこちらのライトは大容量のバッテリーで充電切れの心配がまったくなく、自然光のような色合いを再現してくれて心強いです。マクロ撮影ならこれだけでもOKです。

これから撮りたい水中写真・案内したい海
玄界灘の良さをもっと伝えられる写真を撮りたい

写真は「その一瞬の表現」だと思っています。特に水中写真は一期一会なので、いろんな海でコンデジからミラーレス、写真から動画まで、多種多様に写真や映像を楽しめる仲間やお客様と試行錯誤しながら撮っていきたいと思っています。そして、いろんな海を見た上で玄界灘の海の良さをもっと理解して表現し、多くの方に共感してもらえたらと思います。

今回使用したカメラ

OM SYSTEM OM-1
OM SYSTEM OM-1
2022年に発売されたマイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼カメラ。
高性能の画像処理エンジンTruePic X (トゥルーピック エックス)と有効画素数約2037万画素 裏面照射積層型 Live MOS センサーが、高解像レンズ M.ZUIKO DIGITALの性能を余すことなく引き出し、圧倒的な解像感と低ノイズを実現し、フルサイズに迫る高画質を提供。
また多彩な機能を搭載しているが、中でもAI被写体認識AFの「鳥モード」は意外にも水中で魚などの動きのある生物のピント合わせにも抜群の威力を発揮する。

詳しい製品情報はこちら
最新機種のOM SYSTEM OM-1Mark Ⅱの製品情報はこちら

JOINT corporation
快適なダイビング専用ボートで、福岡・玄界灘の海を楽しめる。写真を撮る方も撮らない方も楽しめるようにバランスを取ることを意識してガイドしているので、ビギナーからフォト派ダイバーまでウエルカム。これから水中写真を始めたい人は、撮影機材、水中写真の撮り方に詳しい寺澤さんに何でも相談してみよう。

今回は、福岡県玄界灘の海をガイドする寺澤 淳二さんがOM SYSTEM OM-1で撮影した作品を紹介、撮影術についても詳しくお話ししていただいた。被写体をイキイキと見せる撮影術は、水中写真を撮るダイバーの皆さんにはとても参考になったのではないだろうか。

Sponsored by OMデジタルソリューションズ
OMデジタルソリューションズは、オリンパスの映像事業を継承し、「人生にもっと冒険を」をブランドタグラインに掲げるOM SYSTEMブランドで、高い耐久性と機動性を兼ね備えたカメラシステムをはじめとする映像製品を展開。アウトドアや水中撮影で圧倒的なパフォーマンスを発揮し、ダイバーや自然写真愛好家が海や自然の魅力を鮮明に記録する体験を提供している。

【OM SYSTEMゼミ PLAZAトーク】公開中!

水中写真家 茂野優太「私のフォトライフ 写真で伝えたいこと」

OM SYSTEM OM-1ユーザーが語る➀ 私がガイドする佐渡の海のこと、水中写真のことOM SYSTEM OM-1ユーザーが語る② 私がガイドする串本の海のこと、水中写真のこと

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PROFILE
大学時代に慶良間諸島でキャンプを行い、沖縄の海に魅せられる。卒業後、(株)水中造形センター入社。『マリンダイビング』、『海と島の旅』、『マリンフォト』編集部所属。モルディブ、タヒチ、セイシェル、ニューカレドニア、メキシコ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリアなどの海と島を取材。独立後はフリーランスの編集者・ライターとして、幅広いジャンルで活動を続けている。
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