竹沢うるまさん写真展「Boundary | 境界」 アンコール開催の見どころを聞いてみた
これまで150を越す国や地域を撮影に訪れ、その場所ならではの臨場感あふれる作品を発表し続けてきている写真家・竹沢うるまさん。写真展「Boundary | 境界」は元々は今年4月に東京で開催されていたが、緊急事態宣言の発出によって、急遽展示期間が短縮されてしまった。
しかしこの度、8月24日(火)〜9月4日(土)に、東京・銀座の「キヤノンギャラリー銀座」でのアンコール開催が決定した。
そこで竹沢うるまさんに、今回の展示の見どころ、アンコール開催への思いなどを伺ってみた。
「境界」を意識しながら、写真を見てもらいたい
編集部
今回の展示で、竹沢さんが作品を通して伝えたいこと、来場者に感じてほしいことがあれば教えてください。
竹沢うるまさん(以下、竹沢)
これまで多くの国と地域を訪れてきましたが、その先々で、国境、人種、宗教、伝統、イデオロギーといったようなさまざまな境界を感じてきました。それらが対立する様子も実際に目にしました。そのうえで私がこの「Boundary | 境界」シリーズで伝えたいことは、私たち人間も大地の一部であり、その視点を持つとき、いま目の前に存在する大半の境界は消えるということ。
写真展はアイスランドの風景と、日本で撮影したモノクロ写真が並列して展示されています。でも、そこにある地理的な境界、視覚的な境界は、見る人の意識によって生まれているものであって、実際にはそこには境界はないのだと思っています。ぜひ、「境界」を意識しながら、写真を見てもらえると幸いです。もちろん、一点一点、一枚の絵と見ていただいても楽しめる内容になっています。
編集部
今回は4月の緊急事態宣言発出によって、途中で中断してしまった展示のアンコール開催ということで、特別な思いがあるかと思います。いかがでしょうか?
竹沢
この展示は本来なら一年前に行われていたものなのですが、この一年半の社会状況の混乱により延期を繰り返し、また今年の4月には一度展示ができたものの、途中で中断となってしまいました。そして、今回、ギャラリーのご厚意によりアンコール展が実現しました。
国境が閉ざされ、人と人の関係が分断されている現在、「境界」をテーマにしたこの展示を行うことは、とても意味のあることだと思っています。最後の機会になりますので、是非訪れていただけると幸いです。
モノクロ写真ならではの表現力を実感
今回見られる作品は、竹沢うるまさんの 4 年半ぶりとなる新作「境界」をテーマにした写真約25点。アイスランド、そして大分県・国東半島で撮影されたモノクロの写真が、会場の壁面に圧倒的な存在感を放ち展示されている。また同タイトルの写真集が、青幻舎より同時発売され、会場でも入手できるとのこと。
アイスランドの大自然、そして国東半島の仏像群。遠く離れた場所で撮られた作品は、人間の日々の営みとは別次元の「何か」を感じさせてくれ、コロナ禍で狭まってしまった私たちの視野を広げてくれることだろう。ぜひ会場へ足を運んで、力強い作品を体感していただきたい。
写真展「Boundary | 境界」の詳細
●期間:2021/8/24(火)~9/4(土)
●場所:キヤノンギャラリー銀座
東京都中央区銀座3-9-7 トレランス銀座ビルディング 1F
●開館時間: 10:30〜18:30 (日・月・祝休館)
●入場料:無料
●TEL:03-3542-1860
問い合わせ先:https://uruma-photo.com/exhibiton/boundary/
Profile
竹沢うるま
1977年生まれ。写真家。同志社大学法学部法律学科卒業。在学中、アメリカに一年滞在し、独学で写真を学ぶ。帰国後、ダイビング雑誌のスタッフフォトグラファーとして水中撮影を専門とし、2004年独立。写真家としての活動を本格的に開始。
これまで訪れた国と地域は150を越す。2010年~2012年にかけて、1021日103カ国を巡る旅を敢行し、写真集「Walkabout」と対になる旅行記「The Songlines」を発表。2014年には第3回日経ナショナル ジオグラフィック写真賞グランプリ受賞。
2015年に開催されたニューヨークでの個展は多くのメディアに取り上げられ現地で評価されるなど、国内外で写真集や写真展を通じて作品発表をしている。
*うるまは沖縄の方言で珊瑚の島という意味