【行ってきたレポ】20周年を迎えた西伊豆「井田ダイビングセンター」の記念写真展へ!
1月24日〜30日に開催された、西伊豆にある「井田ダイビングセンター」主催の写真展「20周年記念『井田写真展』〜未来に繋ぐ〜」。期間中は、代表の片野猛氏と店長の出竈祐亮氏が在廊するとのことを聞きつけ、オーシャナ編集部で覗きに行ってみた!
「20周年記念『井田写真展』〜未来に繋ぐ〜」を開催した理由
本展は、2002年にオープンした西伊豆の「井田ダイビングセンター」が、2022年2月に20周年を迎えることを記念して開催された。展示されているのは、井田の海に惚れ込み長年通う20人のダイバーによる作品。1人3点ずつ、合計60点が白い壁に色鮮やかに映えている。
「昔からずっと潜りにきてくれているお客様の中には、ご年配で来る回数が減ってきている方もいるんです。若い方たちも最近は、せっかく綺麗に撮った写真なのにSNSにアップして終わらせてはもったいないと前々から思っていました。だから20年という節目に一度、“思い出づくり”というか、今まで観て撮ってきたものを私1人の写真ではなく、“みんなで形に残しておきたい”と思っていました。それが今こうやって実現できたので、とてもうれしく思います」と片野氏は話してくれた。
編集部が伺った日も、遊びに来ていたたくさんのダイバーや他ダイビングショップのガイド、水中写真家らと、井田の海の写真を前に嬉しそうに語り合い、盛り上がっている様子が印象的だった。
「やはりスマートフォン上のものと現像したものとでは、全然写真の見栄えが違いますね。現像するときには、海の色に馴染みのある出力業社さんを古見さん(水中写真家・古見きゅう氏)に紹介してもらい、細かな色味の調整を念入りにしました。もちろん、写真そのものの撮り方が上手というのもあるんですが、海に差し込む光の白さの加減だったり、海の色のグラデーションだったりで、写真の美しさや質感は変わってきます。古見さんに監修してもらいながら、丁寧に現像しました」
古見氏と井田ダイビングセンターの関係は長いという。井田ダイビングセンターオープンしたタイミングとほぼ同時期に古見氏は、水中写真家としての活動をスタート。雑誌の取材で、ともに仕事をしたことをきっかけに井田の魅力にハマり、いまだ通っているのだという。
作品の中でも一際目を引く、井田の風物詩「ホンダワラ」
井田では、初夏に「海藻迷路」とも呼ばれるほどの非常に豊かなホンダワラが生い茂る。本展の作品の中にも美しい写真が展示されており、一際目を引いた。そこで10年近く井田の海をガイドする出竈氏にホンダワラについても、お話しを伺ってみた。
「ホンダワラは、毎年1月末から2月にかけて芽が出てきて、GWあたりには水面近くまで成長します。そして水温の上昇とともに7月には枯れていく“一年草”です。井田の風物詩として毎年楽しみにしているのですが、3年前、ぱったりと生えず代わりにホウノオという赤い海藻が生えた年があったんです。水温が原因かなとも思ったのですが、驚くことにその翌年には何事もなかったかのようにホンダワラが生えてきました。海って不思議ですね。今年も芽が出始めているので、順調に育っていくと思います」。
ocean+αで井田を取材したときに見た幻想的なホンダワラには、そんな過去があったとは知らなかった。気候変動により、一部の海では海藻が全滅してしまう磯焼けなどの問題もあるが、井田のホンダワラにはこれからも毎年、美しい姿を見せて欲しいと思う。また、本展の作品を通じて、井田のまだ見ぬ美しい生き物や自然を垣間見ることができ、実際にこの目で早く見たいとウズウズしてきた。井田の20年が詰まった、素晴らしい展示会だったのではないだろうか。
ちなみに片野氏は、「てつ!」のニックネームでお客様にも親しまれている。“てつ”というのは高校生のときにつけられたあだ名出そうだが、なぜ“!”を付けるのか尋ねたところ、当時「オレ最強!みたいな時期があって、その雰囲気を出すために“!”を付けました」と教えてくれた。(笑)
作品参加メンバー(敬称略)
出竈佑亮/出竈しおみ/古谷和俊/谷口圭子/中島亜希子/中島祥/野木淳一/勝田秀浩/山田育美/須永泰子//樋口満弘/伴富士子/水田カヨ子/水田泰治/松本敬子/松本和久/一北香里/栗原国男/加川正浩/片野猛/古見きゅう
西伊豆の中でも四方を山と海に囲まれ、独特ののんびり雰囲気が漂う井田。「井田ダイビングセンター」は大瀬崎より10分だけ南に下った場所にあるダイビングサービス。