海にも漁業者にも優しい!廃漁網回収リサイクルプログラム「NET RE-VALUE PROGRAM」

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海洋ごみ問題の一つである、漁業で使用する廃網による汚染。ウミガメや海鳥など、生き物が網に絡まってしまったり、海洋プラスチックごみとして海の中を浮遊するなどさまざまな問題を抱えている。そんな中、2022年3月から試験的にナイロン製廃漁網回収事業を行なっていたEllange株式会社が、「NET RE-VALUE PROGRAM(ネットリバリュープログラム)」として正式運用することを発表した。海洋ごみ削減の糸口になるであろう、廃魚網回収事業とは一体どんな取り組みなのだろうか?

漁業による海洋プラスチック問題と課題

日本国内における海洋プラスチック問題のうち、多くの割合を占めるのが、商業用漁網やロープ等の漁具であるという試算がある。そして、自然に還ることのない廃漁網が海洋生物の生態系を脅かす深刻な問題は、日本のみならず世界的に抱えている。そんな中、漁業コミュニティや漁業者は、高齢化による後継者や人員の不足、海洋廃棄物の処理コストの増加など様々な課題に直面し、廃漁網の処理に頭を悩ましている状況だ。また、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、テトロンなど、漁網の素材が複雑であるが故、廃漁網を回収するインフラは整備されていなかった。
※参考/環境省、漂着ごみ原因究明調査資料

ナイロン製廃漁網

そこで登場!漁網回収リサイクルプログラム「NET RE-VALUE PROGRAM」

NET RE-VALUE PROGRAMは、日本全国の漁業者より、使用不可能となった廃漁網を地元で直接買い上げるリサイクルプログラム。回収システムがないことによってプラスチックの汚染源であり続けているエリアや漁業者が、廃棄に困っている問題の解決に寄与しながら原材料の調達を行う。そして、回収した廃漁網は分別、裁断、洗浄を経て、パートナー企業によってリサイクルされるという仕組みだ。

このプログラムの特徴は、漁業者が回収ポイントに廃漁網を持ち込むだけで、漁網の廃棄にかかるあらゆるコストを削減できること。漁業コミュニティは、廃漁網のリサイクル完了後、回収量に応じて報酬金を受領することができるのだ。
そして、地域の漁業コミュニティと共に漁網を収集するポイントを決定することで海に漁網が流出する事態を防ぐこと、プラスチックなどの有害物質が海に侵入することを防ぐことでの、野生動物や水産資源を保護することにも繋がる仕組みとなっている。

現在、プログラムを実施している九州エリア、北信越エリアにおいて、地域の課題解決に取り組んで頂ける「食」関係者のスポンサーも募集しているという。

ダイビングと同じ海という自然を仕事場とする漁業。ずっと問題視されていた廃魚網問題に対し、漁業者と漁業コミュニティ、リサイクル会社などいろんな業者が関わり合う海洋プラスチック削減に向けた革新的な取り組み、NET RE-VALUE PROGRAMの今後の活動に注目したい。

Ellange株式会社
ビジョンは、THE OCEAN WITHOUT PLASTICS「プラスチックのない海を」。2048年には海から魚が消えるという説もあり、残された時間は多くない。そこで、まずは廃漁網が海に流出することを防ぐことで、ビジョンの実現に向けて取り組んでいる。

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PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
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