【写真あり】偶然が重なった発見劇。海底25mに沈んだ水中ライトと半年ぶりに再会!

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あるオーシャナ編集部員がFacebookを見ていたところ、面白いニュースを目にした。それは、熊本県天草市のダイビングショップ「天草うみの学校」代表・森俊徳(もりとしのり)(以下、森氏)による、「半年前に海底に落とした水中ライトRGBlueが見つかった」という投稿だった。潮の流れが早いコンディションの中、ちょっとしたハプニングも相まって発見に至ったその一部始終とは?そして、回収したRGBlueは無事点灯したのだろうか!?

発見劇の舞台は巨大沈船が眠る海底

森氏が水中ライトをなくしたのは今年の4月9日、水中写真家の尾崎たまきさんを天草高浜沖沈船でガイドしていた日だった。ここは、海底24mのところにある全長約40mもの巨大な沈船が大迫力の人気ポイントだ。

BCDのカラビナに水中ライトを装着していたはずが、うっかり海底に落としてしまい、その後、数回潜った際にも見つからず、諦め半分でいた森氏。



水中ライトとの引き合わせのキューピットはアンカーだった!?

発見した日は潮の流れも早く、しかも風とうねりの向きが逆という中々のコンディション。最初にアンカーが効いているかをしっかり確認し、ダイビング参加者へ潜降の許可を出し皆が潜り始めて間もなく、潮の流れによってアンカーが砂地を走り始めた。森氏が急いで止めようとするも、走り続けること約30m、ようやくアンカーが普段は入ることがない場所で止まった。

そして、無事に沈船へ到着した参加者らが沈船ダイビングを楽しんでいる中、森氏が再度アンカーの位置を確認しに行った時だった。なんと、半年前に海底に落としてしまった水中ライトが落ちていたという。すかさず回収し、沈船を楽しんでいる参加者らの無事も確認しこの日のダイビングを終えた。

潮の流れによってアンカーが移動してしまったハプニングによって見つかった水中ライト。なんだか、アンカーが森氏と水中ライトを引き合わせてくれたような、通常のルートでは見つけることができなかった出会いだ。さらに気になるのは半年間もの間、海底24mで高水圧を受け続けてきた水中ライトRGBlueは、無事点灯するのか?というところ。

フジツボがびっしり付着!RGBlue、安否はいかに。

発見からしばらく経った8月のバタバタが落ち着いたある日。森氏は、ようやく回収した水中ライトを机の上に取り出し点灯するのか試してみることにした。しかし、半年間25mの海底に沈んだままのライトは全体にフジツボが付着しているのもあってか、ボタンを押しても起動しなかった。

ここで諦めなかった森氏は、フジツボなどの付着物を落として充電してみることに。そして、おそるおそる充電器から外してボタンを押して起動してみたところ…

なんと、無事起動!

この結果には、「すごいなーRGBlue!」と森氏も思わず言ってしまったとか。

あらためて、この出来事について森氏に感想を伺った。
「高浜沖沈船は、砂利運搬船が1980-90年位に使用不可能になった砂利運搬船を廃船にする際、漁礁にする為沈められたもので、水深20-25mの海底砂漠の中にぽつんと存在します。そのため、ポイントの特定が難しく、熟練した船長さんがほぼ同じ場所へアンカーを落として下さることから、快適にダイビングをさせてもらっています。ということは、物を落としてしまうと、船の傍にない限りは発見が難しく広大な砂地の捜索は非常に困難なのです。
今回は風波があり、アンカーが効かず走錨しているのを海底で必死に砂地へ埋め込む作業をして普段アンカーを落とす場所から30-40m移動した場所で発見し、本当に奇跡的な再会を果たすことができました。フジツボだらけになったライトを水で洗いながら出来るだけこそぎ落とし、充電プラグ部の水気をふき取り、充電機に差し込んだ際に、赤いランプが点灯したとき、「生きてるかも!」と希望を抱き、充電が完了したときに再点灯した際にはひとりでガッツポーズしてしまいました。現在でもガイドの際、お魚を紹介するときには、位置を知らせる為のストロボ機能を活用しています。今後はしっかりカラビナへちゃんと装着したか確認してダイビング続けていきます」。

発見後もまったく遜色なくRGBlueを使用できている様子の写真も送っていただいた。
嬉しくて水中でひとり、ニヤニヤしていたとか。



落とし物を奇跡的に発見しただけでなく、無事に起動したRGBuleの高性能な一面にも驚かされることとなったこの発見劇、いかがだっただろうか。なんだか、人ごとなのに自分のことのように喜びたくなってしまう、ダイビングならではの発見ニュース。最近、海の中で落とし物をしてガックリしてしまっている方に、小さな希望の光になると嬉しい。

情報提供:天草うみの学校
天草の自然から五感を育み第六感を研ぎ澄ます学校。シュノーケリングや体験ダイビングといった初心者向けの活動から、ビーチダイビング、ボートダイビングなどの継続的な活動、ダイブマスター育成といったプロ活動支援まで、様々なうみの活動を支援している。ダイビングだけでなく、キャンプやトレッキングといった山に関する活動も行っている。



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PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
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