【祝】水中カメラマン・堀口和重氏がNature Photographer Of The Year 2022で水中部門グランプリを受賞!

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12月14日に嬉しいニュースが飛び込んできた! 水中カメラマンの堀口和重氏(以下、堀口氏)が、オランダのネイチャーフォトコンテスト「Nature Photographer Of The Year 2022」の水中部門で見事グランプリに輝いたのだ。喜びの声をお聞きしようと、編集部は早速堀口氏にオンラインでインタビューを敢行。撮影時の様子やフォトコンテストに作品を出すことの意義など、いろいろな話を聞かせていただけた。

堀口氏のグランプリ受賞作品「The rain I’ve been waiting for」

堀口氏のグランプリ受賞作品「The rain I’ve been waiting for」

水中カメラマンとして、海外で評価されるのかを試してみたかった

オーシャナ編集部(以下、――) 堀口さん、この度はおめでとうございます! 今回、オランダのネイチャーフォトコンテスト「Nature Photographer Of The Year 2022」の水中部門でグランプリを見事受賞されました。海外のフォトコンテストの場合、どのように受賞のお知らせが来るのですか?

堀口和重氏(以下、堀口氏)

このコンテストでは何段階か審査があって、まず一次審査、次の審査でファイナリスト10人に選ばれたと連絡がありました。そして1ヵ月くらい前に「入賞5人には入りました」と再度連絡があり、その後は指定日に「ホームページで確認してください」と。そしてグランプリに選ばれたことを知りました。今回、コロナの影響なのか連絡が遅れていたので、「もう落ちたのかな?」って思っていたときもありました(笑)。

――結果がわかるまで、ドキドキしましたね(笑)。そもそもこのコンテストに作品を出そうと思われた理由は、どんなことなのでしょうか?

堀口氏

僕は水中カメラマンとして仕事を始めて5年目になりますが、プロになってからはフォトコンに作品を出すという考えはなかったんです。ただここ最近は、コロナ禍ということもあってか、水中カメラマンがプロもアマチュアもごちゃごちゃな状態になっているような感じがして…。アマチュアの方でも海外のフォトコンで賞をとっている方がいて、活躍しています。

自分がカメラマンとして仕事をしていくうえで、国内ではプロとして認められていても、世界から見たときに日本のカメラマンとして自分は認められるのか? そんな想いから、今回フォトコンに挑戦することにしました。また芸術面においてヨーロッパはレベルが高く、自分自身憧れもあったので、オランダのフォトコンに出すことにしたんです。

受賞作品は、いろいろな歯車が噛み合って撮影できた一枚

――それにしてもこちらの受賞作品は、本当にすごいですね…。雨模様の空、川の中には産卵を終えたばかりのカエルのペア、そしておびただしい数の卵。すべての配置がパーフェクトだと感じました。こんなシーンは、なかなか簡単に撮れるものではないですよね?

堀口氏

撮影したのは三重県の銚子川です。ここでは年に一度、春先のたった一週間あるかないかの時期だけ、固有種のナガレヒキガエルが交尾と産卵のために山から降りてくるんです。ちょうどこの日は雨が降ってきて、たくさんのカエルが山からやってきました。写っているのは2組のペアですが、全部で数十匹はいたんじゃないかと思います。

この撮影ができたのも、銚子川をガイドしているダイビングサービス「TRUE COLOR」 代表の伊藤英昭さんのおかげです。天候やタイミング、使用した撮影機材など、すべての歯車がうまく噛み合って、この作品が撮れたと思っています。自分の力だけでなく、今まで携わってきてくださったたくさんの方のおかげで、今回、受賞することができたと感謝しています。

――こういった写真を撮るには、現地の自然に詳しいガイドの方の存在、そして協力が欠かせませんよね。今後、さらに撮っていきたい被写体や場所はありますか?

堀口氏

銚子川の撮影は続けていきたいと思います。あとここのところ力を入れて撮影しているんですが、鹿児島県の大隅半島から沖縄の手前までの海はすごいエリアなので、ここでの作品も出していきたいです。

――最後に今、水中写真を撮っていて、フォトコンテストにチャレンジしたいという方たちへ、何かアドバイスがあればお願いします。

堀口氏

まずはフィールドに出ないと写真は撮れませんから、どんどん海へ出かけて、妥協せずに撮影してほしいです。また今はフォトセミナーでいろいろな方から撮り方のコツを教えてもらえます。ただ教えてもらったことをそのまま取り入れるのではなく、自分流にアレンジすることは大事かなと思います。撮影の設定方法を教えてもらっても、使う機材も違えば、手の長さ、その人の撮影時のメンタルも違うので、まったく同じようには撮影できないですよね。

あとはフォトコンに入選すると、表彰式などで新しい人との交流が広がります。こういった人との出会いは、その後の財産になると思います。賞金や撮影機材がもらえるとかそういうよこしまな動機もあると思いますが(笑)、フォトコンは自分の世界を広げるいい機会になるので、ぜひチャレンジしていただきたいですね。

――ありがとうございました。

国際的なフォトコンテストで、グランプリ受賞という快挙を成し遂げた堀口氏。これからのますますの活躍をオーシャナでも応援していきたい。

水中カメラマン 堀口和重

堀口和重
昭和61年5月22日生まれ。東京都中央区日本橋出身
日本の海の素晴らしさを伝えるため活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。

オーシャナで行ってきた場所のレポートや連載の「イキイキと生きる!生き物伊豆紀行」を執筆。
▶︎堀口さんが執筆した記事はこちら

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PROFILE
大学時代に慶良間諸島でキャンプを行い、沖縄の海に魅せられる。卒業後、(株)水中造形センター入社。『マリンダイビング』、『海と島の旅』、『マリンフォト』編集部所属。モルディブ、タヒチ、セイシェル、ニューカレドニア、メキシコ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリアなどの海と島を取材。独立後はフリーランスの編集者・ライターとして、幅広いジャンルで活動を続けている。
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