【八丈島】東京の絶境「八丈小島」をオーシャナ初特集!知られざる海の正体に迫る
日本の経済の中心であるコンクリートジャングル・東京。ビジネスマンが時計を見ながら行き交い、近代的なビルが立ち並ぶ摩天楼、ラッシュ時の異常な満員電車といったようなことを、多くの方が東京のイメージとして思い描くはず。
そんな場所からは想像もできないが、実は同じ東京には、ハイビスカスやヤシの木など手つかずの自然が残り、のんびりとした時間が流れる「八丈島」という亜熱帯の離島がある。そこは東京都心部から一番近い南国とも言われており、上述した東京のイメージとはかけ離れた場所。行けば、きっと虜になってしまうはず。非日常体験を味わえるその八丈島の魅力をたっぷりと3回にわたり、連載でお届けしていく。
第1回となる今回は、八丈島から漁船で西に約20分の場所にある「八丈小島」のエリアを特集。メディアへの露出もまだ数少なく、情報が出回っていない知られざる絶境の全貌やいかに!?
アクセス最強。羽田空港からわずか50分で南国へ
八丈小島の話をする前に、まずは八丈島がどのような場所なのか少し触れてみよう。
八丈島は、東京都本土の南方に点々とする100余りの火山列島「伊豆諸島」のうちのひとつ。本土から直行便で行ける9つの伊豆諸島の有人島の中では、最も南(本土から約287km)にある島となっている。
八丈島へのアクセスは、空または海の航路のいずれか。空の航路は、羽田空港からフライト時間がたったの50分。伊豆諸島で唯一ANAの定期便が1日3往復していることもあり、限られた休暇の中で、移動時間が短いのは非常に嬉しい。航空券の相場は片道で12,000〜14,000円ほど。
海の航路は、東京都港区の竹芝桟橋から出港する東海汽船の橘丸が1日1往復運行。片道10時間20分かかるが、夜22:30発で翌朝08:55着なので、週末仕事終わりに乗船し、朝起きればあっという間に南国に到着。乗船券(定員4〜12名ほどの部屋の場合)の価格は9,000〜11,000円ほど。
「なかなかまとまった休みが取れない…」、「車による渋滞は避けたい…」、まさにそんな方へおすすめしたいのが八丈島なのだ。
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ユウゼンとアオウミガメに象徴される八丈島の海
八丈島の海は、沖縄方面から太平洋沿いに流れてくる透明度の高い暖流・黒潮の影響が色濃く、 “八丈ブルー”とも言われる透きとおった藍色の深みのある水中世界が特徴的。コンディションの良い時の透明度は50mにもなるという。
八丈島でのダイビングというと、八丈島から小笠原諸島にかけて生息する日本固有種の魚であるユウゼンをはじめ、南方北方、ミクロネシア系の季節来遊漁を含む豊かな魚種など、ダイバーのテンションを上昇させる見どころが満載。中でも特筆すべきは「アオウミガメ」。八丈島を出るときには、「アオウミガメはもうお腹いっぱい…」と思うくらいの高い遭遇率は有名。また火山列島を象徴する溶岩が生み出したダイナミック、かつ独特なアーチやトンネル、柱状節理などの地形も、八丈島の海を語るには外せない特徴と言えるだろう。
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そんな八丈島だが、今回の目的地となるのは八丈島から漁船で西に約20分の場所にある 「八丈小島」。実はこの八丈小島、さまざまな理由から行っているダイビングショップが限られており、想像を超える魚の量が生息しているらしいが、世の中にあまり情報が出回っていない知られざるポイントなのだ。まさに「東京の絶境」という名がふさわしい。
東京の絶境「八丈小島」へ
八丈小島は、八丈島から西に約7.5km離れた場所に浮かぶ、周囲わずか8.7kmの小さな島。およそ60年前までは人が住んでおり、最盛期には500人ほどが住んでいた歴史もあるが、今となっては、無人島マニアや釣り人やダイバーが時々訪れる程度の知る人ぞ知る無人島。
ダイビングをする上でまず気になるのは、この八丈小島エリアでダイビングをするまでの段取りだ。なんせ、ダイビングショップのガイドでさえ、年に数回しか行くことがないというのだから。そこで、どのようにすれば八丈小島でのダイビングを楽しめるかを確認したところ、現地ダイビングショップで5〜6月、8〜10月ごろに10名前後のゲストが集まった際に、行っているのだという。
今回は、八丈小島エリアでのダイビングを得意とするダイビングショップ「アラベスク」にお世話になる。また、八丈小島周辺海域は、潮の流れが速い場合もあるので、各ダイビングショップによって決められた一定のスキルが参加者には求められる。
アラベスクでは、ダイビング経験本数100本以上、PADI アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー・コース(AOW)以上相当のCカード(ライセンス)所有、PADI エンリッチド・エア・スペシャルティー(※)相当のCカード所有、ボートダイビング・ディープダイビング・ドリフトダイビングの経験といったスキルが必要。まずは行くだけでも、タイミングと運、ダイビングスキルといった条件があるのだ。
※指導団体によって名称が異なります。
▶︎詳細はこちら(アラベスク「2days八丈小島ツアー」)
期待を胸に膨らませ、10分ほどボートに揺られると、八丈小島が鮮明に見えてくる。
八丈小島の周辺に到着。どんな世界が広がっているのか、胸の高鳴りは最高潮に達しながら、漁船から勢いよくエントリー!
シラコダイに酔い痴れる「カンナギ」
まずは、“想像を超える魚の数が生息している”という八丈小島の特徴を最も象徴する「カンナギ」というポイントから紹介していこう。エントリーしてすぐ目に飛び込んできたのは、「シラコダイ」が四方八方を泳ぐその豊かな海。シラコダイは伊豆半島などの沿岸でも見られる種だが、ここまで群れている場所は他にはないだろう。まさにシラコダイパラダイスという言葉がぴったり。しかも、ダイバーがあまり訪れないからなのか、シラコダイをはじめとする多くの魚たちは、ダイバーを見てもあまり逃げようとしない。ましてや、ジーっとカメラを向けて待っていると魚たちから寄ってくる様子さえあるほど。
魚の多さに興奮し、首をグルグルと振りながら、いい意味で落ち着かないダイビングになるので、エア消費には注意が必要だ(笑)。
八丈島から小笠原諸島にかけてのみ生息する日本固有種「ユウゼン」も。八丈島近海では常に2匹のペアで行動することが多いが、ここでは7匹を一度に写真に収めることができた。日本伝統の染め物「友禅」に模様が似ていることから名付けられたそうだが、その名にふさわしく、優美な姿にうっとりとしてしまう。
息をのむ圧倒的な地形「一ノ根」
続いてご紹介するのは、魚の量もさることながら、火山岩による地形が印象的な「一ノ根」というポイント。ここはエントリーしてからしばらく進むと悠然と目の前に現れる、垂直にそびえ立つ断崖絶壁に圧倒される。
私たち人間は、常に大量の情報に晒されて慌ただしい毎日を過ごしていると、人間が自然の一部であることをどこかに忘れてしまいがち。そんな日常から時折、人間の力が到底及ばない大自然の中に身を置くと、自分の悩みや不安がちっぽけに思え、日常生活の価値観さえも変わっていくように思える。ここはそんな風に感じさせられる場所だ。
また、火山岩などにみられる、板のような規則正しい割れ目「板状節理」を見ていると、ここでもまた自然の不思議さというか神秘さを間近に肌で感じることができる。これは、行った人のみがわかる感覚かもしれない。
一ノ根では、地形の窪みなどの暗い場所を覗くと、赤いボディに大きな瞳が特徴的なアカマツカサの数十匹の群れが。その場で漂う姿は幻想的な雰囲気をつくりだしている。
八丈小島エリアにも、八丈島周辺海域ほどではないがウミガメも目にすることができる。火山岩の重厚な雰囲気と相まって、落ち着いた趣きがあり、日本らしい渋い美しさが感じられる粋な光景。
あっという間だった八丈小島でのダイビング。魚の数が多いとは聞いていたものの、想像を遥かに超える海の豊かさや景観に素直に驚いた。八丈小島エリアには「カンナギ」、「一ノ根」の他にも多くのポイントがある。ここでお伝えしたのは、魅力のほんの一部に過ぎない。実際に行けば、想像以上の水中世界に感銘を受けること間違いなし。
アラベスクにて八丈小島エリアでのダイビングを実施する際は、「2days八丈小島ツアー」として参加者を募集する。詳細は下記リンクからチェックしてみよう。
▶︎詳細はこちら(アラベスク「2days八丈小島ツアー」)
▼動画で八丈小島を観たい方は下記をチェック
次回は、ザトウクジラが激写されたこともあるという驚きの八丈島の“ビーチダイビング”特集を予定。お楽しみに!
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