水中写真家・むらいさちが座間味村観光大使に就任 「今の作風の根底には座間味の海がある」その意気込みは

ふんわりあたたかい色彩で水中を表現する写真家・むらいさち氏が座間味村の観光大使に就任した。座間味村は沖縄県の慶良間諸島の座間味島、阿嘉島、慶留間島の3つの有人島から成る。日本を代表するダイビングエリアで、世界のダイバーからも注目を集めている。水中写真家になる前、むらい氏もここでダイビングガイドとして働いていたことがあるという。観光大使就任にあたり、就任の経緯や意気込みなどを座間味村長・宮里(みやざと)(さとる)氏とむらい氏から伺った。

むらい氏は唯一の水中写真家
座間味村の観光大使とは

座間味村の観光大使は現在11名。女優・タレントの田中律子氏をはじめ、さまざまなジャンルで活躍する著名人が名を連ねるが、水中写真家はむらい氏ただ一人。彼らの共通点はとにかく座間味が大好きということ。座間味のリーディング産業である観光を盛り上げるため、座間味に足繁く通い、行けない時も座間味の魅力を発信してくれる方々が任命されている。

30年の時を経ての恩返し
観光大使任命の経緯

オーシャナ編集部(以下、ーー)むらいさんが観光大使になった経緯を教えていただけますか。

宮里村長

むらいさんは30年ほど前に座間味村の私もよく知るダイビングショップで働かれており、実はその当時から存じ上げてはおりました。現在は写真家として活躍されていますが、島を離れた後も何度も座間味に訪れていただいています。そこからいろいろとご縁がありまして。私もダイビングをするので、島内のショップの方などからむらいさんをご紹介いただき、12月に来られた際に、直接私のところへご挨拶に来てくれたんです。その時にいろいろとお話をし、むらいさんの座間味への想いを伺いました。さらに、何かお役に立てることがあればとむらいさんから話があったものですから、私の方から、「ぜひ観光大使になっていただいて座間味村をPRしていただけませんか」というお願いをさせていただきました。すぐにご快諾いただき嬉しいですね。

むらい氏

まだ実感もないのですが、第二の故郷である座間味に恩返しをしたいと思っていたタイミングだったので、観光大使に任命されてとてもありがたく思っています。二十歳の頃に座間味というまったく知らない場所に来て、村長をはじめ島の方々に本当に良くしていただきました。ダイビングの楽しさを知った場所でもあったので、周りの方が思っている以上に、僕にとっては思い入れのある場所なんです。正直、島を出るときにはダイビングはもういいかなという思いもあり、まさか自分が写真家になるとも思っていなかったのですが、いろんな縁があり、こうして写真家になって戻ってこられて嬉しいです。

写真:むらいさち

写真:むらいさち

「作品の根底にある座間味の海を
ビジュアルで伝えたい」むらい氏の想い

ー座間味村の観光大使として、むらいさんにはどんなことを期待されていますか?

宮里村長

最近までコロナで旅に行きたくてもなかなか行けず、座間味だけでなく世界の観光業が疲弊している状況でしたよね。ですが、現在はアフターコロナに向けて動き出しておりますので、ぜひリピーターのお客さまだけでなく、新たにダイビングを始めた方にも来ていただきたいと思っています。そういった、まだ座間味に来たことのないダイバーの皆さんにも座間味村の良さを知っていただくために、むらいさんから紹介していただきたいなと思っております。今私は55歳なんですが、私がダイビングを始めた二十歳くらいの時はダイビングブームで、冬でも相当な数のお客さまが沖縄にいらしてました。ですが、あの頃に比べるとダイビングをされる方は減ってるんですよね。ですので、むらいさんの写真がきっかけでダイビングを始める方が増えてくれて、さらにその場所が座間味であればとてもありがたいと思います。

写真:むらいさち

写真:むらいさち

むらい氏

まだ何ができるかわかりませんが、幸い僕は写真が撮れるので、ビジュアル面で座間味に貢献できたらいいなと思っています。座間味は自分が住んでいて本当に楽しかったですし、いい島だと思っているので、心から好きな場所を宣伝できるのは嬉しいです。また、今まで世界中の海を潜らせてもらって来た経験を生かし、座間味の海がほかとどう違うのか、実感を持ってお伝えできたらと思います。

ーーむらいさんは座間味の海のどんなところが好きなんでしょうか?

むらい氏

海がとても穏やかなところと、その美しい色彩ですね。自分の今の作風の根底には、座間味で見たパステルな海があるんです。ガイドをしていた4年間、カメラを持たずに自分の目だけで見てきた座間味の海の中の色を表現したいというのが心の底にいつもあって。とても今の作風に影響を与えた海ですね。

写真:むらいさち

写真:むらいさち

むらい氏

それから、那覇という大都会からこんな近い場所で“ザ・沖縄”とも言えるきれいな白砂とサンゴが広がっているのは大きな魅力だと思います。僕がガイドをしていた30年前は一番サンゴの状態が良かったと思います。その後白化してしまったのですが、最近また復活してきましたよね。それにともなって魚もすごく増えていて、とても嬉しく思いました。透明度の良い浅場でサンゴがきれいで魚が群れている場所って、世界を見てもなかなかないんですよ。透明度が良いけれどサンゴがなかったり、魚が多いところはプランクトンが多くて透明度がよくなかったり。そういった意味で沖縄っていうのは奇跡的に両方を兼ね備えている海で、特に座間味はそういう場所がたくさんあります。

ー最後に読者の方々に一言ずついただけますか。

宮里村長

私どもの座間味村は7年前に国立公園に指定され、それ以降多くの観光客の皆さまに足を運んでいただいています。コロナ禍ではリピーターの中には行きたいけど我慢しますというような方々もいて本当にありがたかったんですが、アフターコロナが見えてきましたので、ぜひまたいらして、ダイビングを楽しんでいただければと思っています。ドリフトなどいろいろなダイビングも楽しめますし、シュノーケリングやその他アクティビティがあり、一日楽しめますので、多くの皆さまに座間味村にお越しいただけることを心よりお待ちしております。

むらい氏

大使になった記念に、実際にお客さんと一緒に座間味に行くツアーなんかもできたらいいなと思います。ぜひ一緒に座間味に潜りにいきましょう。

むらい氏の原点ともいえる座間味の魅力を、観光大使としてこれからどのように伝えていくのか。むらい氏のますますの活躍から目が離せない。

むらいさち
むらいさち
沖縄県座間味村でのダイビングガイドを経て、写真の世界へ。雑誌や広告での撮影をメインに、エッセイの執筆、トークショー、メディアへの出演や、旅を楽しみながら撮り方を教えるワークショップ、町おこしを応援するフォトツアーの企画開催など、その活動は多岐に渡る。水中からオーロラまで地球全体をフィールドに、一年の多くを取材先で過ごし、「しあわせな瞬間」を追い求め撮影を続けている。描くように撮る独自の手法で、他にはない、やわらかく優しい色の世界を表現した作品は、癒やしを求める女性から、人気を博す。
著書:写真集「Life is Beautiful」(LiBbooks)、「ALOHEART」「LinoLi」(LifeDesignBooks)、「きせきのしま」(小学館)、FantaSea(BUNKADO)、「しあわせのとき」(LibroArte)写真絵本「よるのこどものあかるいゆめ」詩:谷川俊太郎(マイクロマガジン)

▶︎座間味村公式ホームページ
▶︎座間味村観光協会ホームページ

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