タイ・タオ島ダイビングに何度も通ってしまう6つの理由

写真/ビッグブルー 大村健さん

写真/ビッグブルー 大村健さん

ダイバー界隈では、「一度魅力を知ってしまったら、何度も通わずにはいられない」とウワサされる島があるらしい。それが、今回紹介するタイ南部にあるタオ島である。マレー半島の東側にあるタイランド湾に浮かぶこの島は、大物・魚影・マクロのすべてをビギナーから狙えるトンデモな海洋条件が整っている。さらに、ダイビングショップからビーチ、ホテル、飲食店まで徒歩圏内の近さでまとまっているとあって、陸での生活も快適。通うどころか入り浸って帰れなくなりそうなタオ島の魅力について、現地ダイビングショップ「ビッグブルー」のオーナー大村(たけし)さんに詳しく教えていただいた。

タオ島に通う理由1、ダイビング初心者でも
ビッグポイントにチャレンジできる!

初心者でも出会える圧巻のテルメアジの群れ 写真/ビッグブルー 大村健さん

初心者でも出会える圧巻のテルメアジの群れ 写真/ビッグブルー 大村健さん

どの島、どのエリアに行っても、このポイントだけは絶対に潜るべし! といわれる「ビッグポイント」は存在する。しかし、水深が深かったり、流れが速かったりで、テクニックとスキルが求められることは多いもの。そんな中、タオ島のビッグポイントといえば、比較的水深が浅く、流れも穏やかなので、初心者でもチャレンジしやすいのが魅力的。これなら、ベテランダイバーの前で生唾を飲み込むこともない。

タオ島を語るうえで欠かせないのが「3大ビッグポイント」の存在です。近くても大型ボートで40〜50分はかかりますが、視界を埋めつくすほどの魚群に出会えます。大昔、地球上の海水面が少なかったころ、タオ島周辺は陸地でした。氷河期後、水没して海となったため、平坦な地形が広がっています。そんな中、部分的に隆起しているところがタオ島となり、3大ビッグポイントと呼ばれる隠れ根になったので、周囲には多くの魚が集まってくるわけです。ビギナーでもチャレンジできる理由としては、タイランド湾の奥に位置していることから、外海のうねりや波の影響を受けにくいことと、ポイントの周囲に何もなく水深も浅いため、流れが生まれにくいことなどが挙げられます。現に、オープンウォーターの海洋実習3〜4本目は3大ビッグポイントで開催することもあります。

タオ島の3大ビッグポイント

「チュンポンピナクル」北西へ大型ボートで40~50分
「サウスウエストピナクル」南西へ大型ボートで50分
「セイルロック」南東へ大型ボートで2時間

タオ島に通う理由2、いつ来てもぐっちゃり魚影に巻かれる!

ツバメウオの群れが目の前を横切っていく 写真/ビッグブルー 大村健さん

ツバメウオの群れが目の前を横切っていく 写真/ビッグブルー 大村健さん

世界中の海で潜る目が肥えたダイバーたちでさえ、口を揃えて称賛するのが”魚影の濃さ”である。視界を遮るほどの魚の群れに巻かれたり、タワーのようにそびえ立つ魚の壁に見入ったりは日常茶飯事。息をのむほどの魚影は、唯一無二とうたっても遜色ない。

バラクーダとその周りの小魚たちが光に照らされて美しい  写真/ビッグブルー 大村健さん

バラクーダとその周りの小魚たちが光に照らされて美しい  写真/ビッグブルー 大村健さん

タオ島は、オープンウォーターの講習中に魚影に巻かれることもあるくらい魚が集まる海。これには、地理的条件が関係しています。タイランド湾内という閉鎖海域に、大陸由来のプランクトンをたくさん含んだ栄養たっぷりの河川が流れてきて留まるので、小魚がとても多いんです。いわば、いけすの中にエサがたくさん入った状態。そうなれば、プランクトンをエサとするジンベエザメにとっても、小魚を狙う中型、大型の魚にとっても絶好の食事処になるわけで、これらの集合体が一言で”魚影が濃い”と表現されています。地理的条件に助けられ、いつ来ても迫力のある魚影を楽しめるというわけです。

タオ島に通う理由3、野生のジンベエザメに出会えるチャンス!
万単位でいるギンガメアジの群れも圧巻

運が良ければジンベエザメとギンガメアジのコラボに会えるかも 写真/ビッグブルー 大村健さん

運が良ければジンベエザメとギンガメアジのコラボに会えるかも 写真/ビッグブルー 大村健さん

世界を回遊するジンベエザメにとって、プランクトンたっぷりのタオ島の海は、ハズれなしの食事処なのだろう。タオ島周辺および3大ビッグポイントなどの隠れ根では、溜まったプランクトンを食べるために、グルグル泳ぎ回るジンベエザメの姿が確認されている。ギンガメアジの群れも壮観。万単位の群れが塊となって右へ左へ移動するさまは、まるでダンスショーのようで美しい。

ジンベエザメは野生生物なので、狙って見られることのほうが少ないのですが、現れたときのインパクトは強烈。ただでさえ濃い魚影を周りに引きつれる形でジンベエザメのパレードが楽しめます。ジンベエザメポイントといったら、3大ビッグポイントの一つ「チュンポンピナクル」が挙がりますが、「セイルロック」で見られる場合も。このポイントは、ギンガメアジの群れが魅力。巨大ジンベエと万単位のギンガメアジのコラボレーションは、ワイド好きにはたまらない光景でしょう。運がよければ、ダイビング中に隠れ根でじっとしていると、その上を何度もパレードが通り過ぎます。タイミングさえ合えば、正面から写真が撮れたり、かなり近くに寄れたりと、ほかの海ではできない贅沢な体験が待っています!

タオ島に通う理由4、定番の生物が少なかったりレア種が多かったり!?
ユニークな生態系が魅力

日本では珍しいツキチョウチョウウオの群れ 写真/ビッグブルー 大村健さん

日本では珍しいツキチョウチョウウオの群れ 写真/ビッグブルー 大村健さん

閉鎖海域にあるタオ島は、プランクトンに恵まれ魚影が濃いだけではないらしい。外洋とはまた違った生態系が構成されているところも特徴だという。たとえば、定番のクマノミは2種類しかいないし、アオヤガラやミノカサゴはほぼゼロ。一方で、ツキチョウチョウウオが大量に群れているなど、ユニークな海中風景が広がる。

もしタオ島が外洋の海にポツンと浮かぶような島であれば、黒潮などの海流に乗ってくる生物たちで溢れていたでしょう。しかし、閉鎖的な環境のため、生態系がかなり偏っているのが面白いところです。なかでも、ツキチョウチョウウオは 日本では珍しいと言われる魚種ですが、タオ島の南東にある「シャークアイランド」というポイントでは100匹くらいがぶわっと群れています。魚や海の生態に詳しい水中写真家さんが来島した際は、ジンベエザメそっちのけでリクエストされました。「世界でここだけしか撮れないと思う」と。ブルーの海にイエローの体色をもつツキチョウチョウウオが群れて泳ぐ姿は、幻想的でとても美しく、タオ島の海を象徴するシーンの一つだと思います。流れも穏やかなので、オープンウォーターレベルでもチャレンジ可能です。

タオ島に通う理由5、目が合うくらい近づけるハゼやテッポウエビ

ギンガハゼ黄&黒とテッポウエビ 写真/ビッグブルー 大村健さん

ギンガハゼ黄&黒とテッポウエビ 写真/ビッグブルー 大村健さん

ここまでワイドの魅力に触れてきたが、実はマクロも楽しめるというからすごい。一般的には警戒心旺盛なハゼやテッポウエビにも目が合うほどに近づける。

ギンガハゼと見つめ合うことも 写真/ビッグブルー 大村健さん

ギンガハゼと見つめ合うことも 写真/ビッグブルー 大村健さん

マクロを楽しめるといっても、マクロに特化した海ではないことを前提にお話します。というのも、海洋環境を守るためにサンゴの上に着底禁止、海洋生物へのお触り禁止など厳しいルールがあるので、ゆっくり腰を据えてマクロ写真を撮る環境ではないんです。唯一、砂地は着底が認められていますので、マクロ撮影をする際はハゼや共生するテッポウエビを被写体にしています。見渡す限りハゼ、といっても大げさでないくらいいるうえに、近づいても逃げないのでビックリされるダイバーも多いです。これは推測なのですが、極端に偏った生態系の海域なので、ほかのエリアと比べてもハゼの天敵になる生物が圧倒的に少なく、警戒心が非常に低いのではないかと思います。コンデジでお気軽に撮りたいビギナーフォトダイバーでも、超近距離からマクロモードでハゼとテッポウエビの2ショットが狙えます。とにかく数が多いので、砂の下に引っ込んでしまったら、すぐ別の個体で仕切り直せるのもうれしいところ。上手に撮れる環境が整っているため、タオ島のハゼがきっかけでマクロにハマるダイバーも多いです。沖のほうで群れに巻かれてワイドを満喫した後は、砂地でのんびりマクロなフィッシュウォッチングを楽しむといったような遊び方もありです。

タオ島に通う理由6、ダイビングポイントまで好アクセス!
楽しい島の雰囲気に癒される

写真/ビッグブルー 大村健さん

写真/ビッグブルー 大村健さん

潜ってしまえば最高の海なのだが、宿やダイビングショップからダイビングポイントまでの道のりがえらく遠かったり、ちょっとした飲食店やレストランを利用しようにも、車がないと無理だったりする場所は結構あるもの。また、海以外には何もない…なんて場合もある。その点、タオ島は徒歩圏内ですべて片付く。ビーチから近い通りには、地元の屋台やタイマッサージ店などがびっしりと立ち並び、賑わいをみせているそうだ。これなら、ダイビング前後の時間も有意義に過ごせるだろう。

いままで訪れた場所の中で、タオ島と一番似ているなと思ったのが久米島のイーフビーチです。ビーチ沿いに一本道があって、その周りにレストランや売店、ホテル、ダイビングショップなどが点在しているイメージ。そこに行ってしまえば、あとは徒歩で完結できるような世界観です。来たことがない人は、びっくりするくらい発展しています。ダイビングポイントだって、遠い所でも大型ボートで1時間足らず。少し早起きして出港すれば、午前中に2ダイブして、お昼には港へ戻ってこられます。ダイバーによっては、午前中だけ、午後だけ、あるいはがっつり4本潜るというふうに複数の選択肢から自由に選べるのが魅力的。ポイントが近いところに複数あるため、オープンウォーターの講習も時間に余裕を持ってできます。たとえば、午前中に学科を終わらせてお昼を食べてから、午後から海洋実習を1〜2本。夕方までには港に戻り、5時くらいからは夕日を見ながらビールで乾杯…、なんて優雅なスケジューリングも可能です。ちなみに、夕方以降のスケジュールは、地元のグルメを楽しんだ後、本場のタイマッサージを受けるのが定番。相場は1時間あたり300バーツ。今のレートでは、日本円で1,200円くらいととてもお手頃に楽しめます。

最高のダイビング環境が揃うのがタオ島!

日本からタオ島までは直行便はないため、バンコクまたはシンガポール経由でサムイ島に降り立ってから、翌日にフェリーで移動する必要がある。なかなか骨が折れるアクセスではあるが、最高のダイビング環境が待っていることは間違いない。大村さんがオーナーを務めるビッグブルー タオ島店では、器材のレンタルは無料。使い慣れたマスクやフィン、ウエットスーツだけ持って行けば、お得にダイビングを楽しめる。ぜひ、積極的に利用してタオ島でのダイビングライフを満喫したい。

Special Thanks:ビッグブルータオ島店 大村健さん
ビッグブルーはタイの持つ二つの海、太平洋側のタオ島とインド洋側のカオラックを舞台に一年中ハイシーズンの海で潜ることができる日本人経営のショップ。ダイビング教材・魚図鑑・ダイビング雑誌まで完璧な日本語環境を揃え、アフターダイブの楽しみ方のご紹介についてもすべて日本語での対応が可能。経験豊富なスタッフが日本人ならではのきめ細やかなサービス&ガイディングで、タイの海の魅力を余すところなく見せてくれる。現在スタッフも絶賛募集中。

Sponsored by タイ国政府観光庁

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PROFILE
アウトドアレジャー予約サイトの取材ライター出身。いままでに取材した日本全国のアウトドアカンパニーは130社ほど。ネットワークを活かした記事作りが得意!?かもしれない。一番好きなアクティビティはダイビング!とは言い切れないかもしれない。
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