奄美大島でおすすめのダイビングポイントまとめ【北部・南部】

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2021年に世界自然遺産に登録されてからさらに注目度が高まっている鹿児島県の離島「奄美大島」。実はLCCも通っていて、意外にも都市部からアクセスがしやすいって知っていましたか?

マングローブの原生林をはじめとした手付かずの大自然が多く残り、そこで独自の進化を遂げた固有種も数多く存在する。それだけでなく、山が豊かな奄美大島は海も豊か!「アマミブルー」と言われる美しい海が広がり、クジラが訪れ、今でも新種が発見されるほど生態系豊かな海峡が存在し、ダイビングも思う存分楽しめる、まさに日本が世界に誇れる素晴らしい島なのだ。

そこで今回は、気候や文化、アクセス方法などの奄美大島の基本情報と人気なダイビングポイントの情報を厳選して紹介していく。

奄美大島の基本情報

「奄美大島」という名前を聞いたことはあるけど、実際どこに位置するのか知らない人も少なくないはず。そこで、ダイビングスポットをご紹介する前に、まずは奄美大島の基本情報からご紹介。

奄美大島の地理

奄美大島は、沖縄県の離島と勘違いされていることが多いが、鹿児島県と沖縄の間に位置する鹿児島県の離島で、奄美群島の中で一番大きい島。北部は山岳地帯、中部と南部は丘陵地帯からなっている。広さを車の移動時間で表すと、最北端から最南端までは車で約2時間ほどの広さ。

奄美大島の海の特徴

島は周囲を美しい海に囲まれており、海底まで見える圧倒的に透きとおった綺麗な海は「アマミブルー」と呼ばれている。

奄美南部にある清水ビーチ

奄美南部にある清水ビーチ

奄美大島の気候

奄美大島は温暖な亜熱帯気候で、一年を通じて比較的温暖な気候。夏は高温多湿で、気温は平均27~28度程度だが30度を超えることもある。冬も比較的温かく、気温は15度から20度程度。朝と夜が冷え込むことが多い。年間を通じて降水量が多いので、雨具の持参がおすすめ。

奄美大島の自然

本島から独立した離島である奄美大島は、アマミノクロウサギ、アマミイシカワガエル、ルリカケスなど独自の進化を遂げた固有種がたくさん生息している。また、原生林やマングローブが数多く残っているのも奄美大島の特徴。中でも金作原(きんさくばる)は亜熱帯広葉樹が広がる人気観光スポット。これらのように、生態系が保たれていることが評価され、2021年7月に世界遺産に登録された。奄美はマリンアクティビティやカヌーだけでなく、トレッキングやバードウォッチング、などの陸遊びも人気の観光アクティビティとなっている。

金作原

ヒカゲヘゴというシダ植物が広がる金作原

奄美大島の文化

奄美大島は、豊かな伝統文化を持つ地域。シマ唄、三味線、踊りなどの伝統芸能が今でも受け継がれ、稲の収穫を祝う八月踊(はちがつおどり)は、各集落で行われる、夏の一大イベントの一つ。また、世界三大織物に数えられる泥染で染色された絹100%の織物である大島紬(おおしまつむぎ)、日本で唯一奄美群島だけに製造が認められている奄美黒糖焼酎など、島を代表する伝統的生産品も多数ある。さらに、第二次世界大戦時に建設された爆薬庫や砲台などの戦争遺跡が、奄美大島南部に多く残っているのも特徴だ。

八月踊りを踊る「八月踊り大会」の様子

各集落が集まって、大通りで一斉に八月踊りを踊る「八月踊り大会」の様子(奄美大島瀬戸内町の港まつりにて撮影)

奄美大島の伝統産業、大島紬(BLUE MAG「命を紡ぐ海 奄美大島 龍郷」より)

瀬戸内酒販

現地の酒販では、奄美黒糖焼酎がずらりと並んでいる(瀬戸内酒販)

西古見砲台跡

手安弾薬本庫跡てあんだんやくほんこあと

手安弾薬本庫跡

西古見砲台跡にしこみほうだいあと

交通情報

奄美大島までの移動(飛行機、フェリー)

日本国内から奄美大島への移動手段は主に飛行機とフェリーがある。

奄美大島へのアクセス方法

飛行機

東京、大阪、福岡、那覇(沖縄本島)、鹿児島から奄美大島への直行便が運航。名古屋、神戸からは、鹿児島経由で奄美大島へ行くことができる。飛行時間は出発地によって異なるが、国内では約2時間半から1時間ほどで移動することが可能だ。

飛行機
JAL
peach
SKYMARK

フェリー

鹿児島県鹿児島市と沖縄県那覇市を結ぶフェリーでも奄美大島に行くことができ、各目的地から1日1便運航されている。フェリーは、マルエーフェリーとマリックスラインの2社が1日交替で運航。フェリーの所要時間は鹿児島からが約11時間、那覇からが約13時間。那覇から奄美大島までは、与論島、沖永良部島、徳之島に寄港する。

※これらの移動手段の詳細なスケジュールや運賃、予約については、航空会社やフェリー会社の公式ウェブサイトや旅行代理店で最新情報が確認できる。

マルエーフェリー
マリックスライン

奄美大島内の移動(レンタカー、バス、タクシー)

レンタカー

奄美大島の広さを参考までにあげると、最北端から最南端まで車で約2時間。電車や地下鉄がなく、バスの運行頻度も都会ほど多くないため、レンタカーが主な移動手段。空港や港周辺にレンタカー会社が点在している。夏の時期は観光客が多く、早めの予約がおすすめ。

バス

奄美大島には路線バスが運行しており、主要な観光地や市街地を結んでいる。バスの本数は限られているため、時間に余裕を持って移動するとよい。

タクシー

観光地やホテル周辺にはタクシー乗り場があり、比較的利便性が高い。ただし、移動距離が長いと、料金が高くなることがあるため注意が必要。

海沿いの車道はアマミブルーの海を眺めることができる

奄美大島のダイビングのシーズナリティ

奄美のダイビングでは、透明度が高く、色鮮やかなサンゴ礁や、そこに群生するカラフルで美しい魚たちに年中出会えるのが奄美のダイビングの特徴。しかし、各ダイビングポイントにさらにフォーカスすると、春から冬まで四季折々な海の世界が楽しめる。春にはコブシメの産卵が、夏にはマダラトビエイやロウニンアジなどの大物や、ニシキテグリの産卵が、秋には砂地の共生ハゼの観察が、そして冬にはウミウシが海の中で活気づいている。また、今でも新種生物が発見される奄美の海は、研究者や自然愛好者も多く訪れており、水中生物や水中写真が好きな人には、たまらないダイビングポイントになるだろう。

春(3月〜5月)

気温は穏やかで徐々に暖かくなってくる頃で、水温も17度〜22度と上昇してくる。コブシメの繁殖行動やアマミホシゾラフグのミステリーサークルが見られる時期。

夏(6月〜8月)

平均気温約27度と高温で湿度が多く、水温は26~29度前後で適度に暖かい。夏は1年の中でも透明度が一番高まる時期。サンゴの産卵、ニシキテグリの産卵に遭遇することもある。また、北風が弱まり、東シナ海側の外洋ポイントで大物(マダラトビエイやロウニンアジなど)が楽しめる。

秋(9月〜11月)

夏から秋にかけては気温25度ぐらいで過ごしやすい気候。水温は19~23度と徐々に冷たくなっていく頃で、ウェットスーツからドライスーツに変わるタイミング。透明度が良好で、夏季同様にサンゴ礁や魚の魚群が観察できる。また、観光シーズンが終わり、少人数でゆっくりダイビングが楽しめるのも魅力的な時期。

冬(12月〜2月)

水温は20度ぐらいとなるため、ドライスーツやロクハンにフードベストなど、防寒対策をすることで快適にダイビングができる。繁殖や子育てで奄美大島を訪れるクジラや、ウミウシに出会える時期。

奄美大島のダイビングポイントの特徴(北部・南部)

奄美大島のダイビングポイントは、大きく分けて北部、中部、南部の3エリアに分かれている。その中でも、奄美空港近くでアクセスが良い北部エリア、今でも新種が発見される生態系豊かな南部エリアに絞り、それぞれの厳選おすすめスポットを3箇所ずつ紹介していく。

北部エリア(龍郷町)

奄美大島の北部のダイビングスポットの特徴は、洞窟や地形が豊富で美しいサンゴ礁や海洋生物に出会えるところ。北部の海域は比較的穏やかで、初心者から上級者まで幅広いレベルのダイバーが楽しめる。

奄美大島北部ののダイビングポイントマップ

現地ショップにきいた!北部のおすすめダイビングポイント3選

①倉崎ビーチ

ホテル「ネイティブシー奄美」の目の前にある、超一級品のビーチポイント。湾の奥に位置する為、流れは一切ない。そのため、体験ダイビングの方でも安心してダイビングを行うことができる。水深10m以浅を泳ぐだけでも十分にお楽しみいただけるのも特徴。マクロ生物派やフォト派ダイバーにとってはNDLを気にせずにじっくり潜れるポイント。

レベル 初心者〜
最大水深 18m
流れ まったく無し
見どころ 水深3mからウミウシ、ハゼ、ハナヒゲウツボ、クマノミ各種、ギンポ等人気種が目白押し
代表的な生き物 クマノミ、ウミウシ、ハゼ、ハナヒゲウツボ
倉崎ビーチ

倉崎ビーチ(写真提供:ネイティブシー奄美)

マダライロウミウシ

2匹でくっつき移動をしているマダライロウミウシ(BLUE MAG「命を紡ぐ海 奄美大島 龍郷」)

ハナヒゲウツボ

ハナヒゲウツボ(写真提供:ネイティブシー奄美)

②大仏サンゴ

日本でも最大級のコモンシコロサンゴの群生が見所の奄美北部を代表する名物ポイント。高さ約8mの サンゴの上にはハナゴイの群れが乱舞している。 水深20mの砂地には、テッポウエビ類と同じ巣穴で暮らす特性をもつ共生ハゼが多く、ヤシャハゼ、ヒレナガネジリンボウ、ホタテツノハゼなど、ハゼだけで1ダイブ遊べる楽しい砂地もある。また、冬から春にかけてはシンデレラウミウシや、コンペイトウウミウシ等も多く観察できる。奄美大島に来たら1度は潜って頂きたいポイント。

レベル 初心者〜
最大水深 20m
流れ 稀にあり
見どころ 日本最大級のコモンシコロサンゴの群生と魚の群れ
代表的な生き物 ヤシャハゼ、ヒレナガネジリンボウ、ホタテツノハゼ、シンデレラウミウシ、コンペイトウウミウシ
コモンシコロサンゴの群生の周りを泳ぎ回る無数のハナゴイ

コモンシコロサンゴの群生の周りを泳ぎ回る無数のハナゴイが(BLUE MAG「命を紡ぐ海 奄美大島 龍郷」)

ヤシャハゼ

共生ハゼの一種であるヤシャハゼ(写真提供:ネイティブシー奄美)

③バベル

3月下旬〜7月上旬の期間は、世界でも奄美大島でしか見ることができない「アマミホシゾラフグ」が作る産卵床「ミステリーサークル」をこのポイントで観察できる。最大水深が30mになる為、アドバンスランク以上のライセンスは必須(またはオープンウォーター+ディープSP)。さらに、水中生物のストレスとなる砂の巻き上げと、深場でのエアー消費を抑えるため、確実な浮力調整スキルとフィンキックスキルを持っている方のみの案内となる。

※上記は安全管理及び生態系保持の観点から、バベルでミステリーサークルをご案内する龍郷ダイビング組合加盟全店の共通ルール。上記の期間の中でサークルが“完成する周期”がほぼ決まっているため、事前の問い合わせと予約が必要。

レベル 中級者〜
最大水深 30m
流れ 稀にあり
見どころ アマミホシゾラフグのミステリーサークル
代表的な生き物 スミレナガハナダイ、コブシメ、ジョーフィッシュ、ハタタテシノビハゼ、アオギハゼ、バブルコーラルシュリンプ、キスジカンテンウミウシ、ユキヤマウミウシ、ヒレナガネジリンボウ、ヤシャハゼ
アマミホシゾラフグ
アマミホシゾラフグのミステリーサークル

アマミホシゾラフグが作っている産卵床(BLUE MAG「命を紡ぐ海 奄美大島 龍郷」)

南部エリア(瀬戸内町(せとうちちょう)加計呂麻島(かけろまじま)

奄美大島の南部には、透明度の高い海と美しいサンゴ礁が広がっている。奄美大島と加計呂麻島の間に位置する大島海峡には、約200種ものサンゴが生息。世界で全800種あると言われるサンゴの4分の1が、ここで見られるのだ。南部の海域は比較的穏やかで、カラフルな魚やサンゴを観察することができる。また、南部にはダイビングポイントだけでなく、シュノーケリングスポットも多くある。

奄美大島南部のダイビングポイントマップ

現地ショップにきいた!南部のおすすめダイビングポイント3選

嘉鉄(かてつ)オアシス

南部を代表する人気ポイント。真っ白な砂地に大小の岩やサンゴの根が点在。根ごとに多くの魚が棲み着いている。水深も3〜5mの場所があるので体験レベルでも潜りやすく、メインの根も6〜8mにあるのでフォト派のダイバーにも人気。のんびりゆっくりフィッシュウォッチングや写真撮影をしたいダイバーにはおすすめ。

レベル 体験レベル〜
最大水深 およそ18m
流れ 潮汐によるが比較的穏やか
見どころ 綺麗な砂地、メインの根に住み着く魚の群れ
代表的な生き物 キンギョハナダイ、ケラマハナダイ、スカシテンジクダイ、キンメモドキ、リュウキュウハタンポ、クマノミ4種類(ハマクマノミ、クマノミ、ハナビラクマノミ、セジロクマノミ)、チンアナゴ
メインの根に住み着く魚の群れ

メインの根にはさまざまな魚が群れを成して住んでおり、遠くから見ても他の根よりも明らかに生き物の量が多い。この魚群は通年見ることができるが、特に夏が一番多くなる

スカシテンジクダイとキンメモドキの魚群

メインの根ではスカシテンジクダイとキンメモドキの魚群に出会える

ケラマハナダイの幼魚

ケラマハナダイの幼魚。尾ビレの先端に赤い点があるのがメス

安脚場(あんきゃば)

サンゴウォッチならここ。さまざまな種類のサンゴを見ることができ、そこに棲む魚の種類も豊富。どこまでも続くサンゴ畑がある。初心者ダイバーもサンゴウォッチを楽しめるポイント。

レベル 初級者〜
最大水深 およそ15m
流れ 穏やか
見どころ サンゴの群生
代表的な生き物 さまざまなサンゴ、春にはコブシメの産卵
キャベツサンゴ

キャベツの葉っぱのような見た目から名付けられたキャベツサンゴ

サンゴ礁の上をスイスイと泳ぐコブシメ

サンゴ礁の上をスイスイと泳ぐコブシメ

③奄美ホール

南部で代表的な地形ポイント。水深40m以深から突き出た岩に大小のアーチやホールがある。メインのホールの空間はとても広く、大きな穴が2箇所空いている。また、下から見上げると三つの穴が見える場所も人気。外洋のため、透明度も高く迫力あるドロップオフから地形の魅力が満喫できる。

レベル 上級者
最大水深 40m
流れ 潮汐による
見どころ メインホールのアーチや三つ穴
代表的な生き物 カスミチョウチョウウオの群れ、ハタタテハゼの群れ

サンゴ礁だけでなく、地形も楽しめる奄美南部のダイビング

下から海面を見上げた時の地形

奄美大島でのダイビング事故対策と安全性

奄美大島でのダイビングにおいて、流れの速いポイントでの漂流による溺死や水深20m付近での意識不明など、過去に事故が発生した例もある。奄美大島でのダイビングを楽しむ際には、以下の点に留意することが重要。

  • 1.無理な行動や無謀な行為は避け、安全に楽しむことを心掛ける。
  • 2.海の状況や天候の変化に注意し、海上での活動を行う場合は事前に情報を確認する。
  • 3.必要な装備や道具を持参し、事前に体調や水泳能力を確認しておく。
  • 4.事前に信頼できるガイドやショップを選ぶ。
  • 5.リゾート観光や連日ダイビングを行うことで、疲労が蓄積している可能性があるため、体調管理や自己申告をしっかりと行い、無理をしない。

終わりに

奄美のダイビングポイントのご紹介はいかがでしたか?
自然豊かな生態系が広がっている奄美のダイビングポイント。フォト派ダイバーから地形派ダイバーなど、さまざまなカテゴリーのダイバーが楽しめるポイントが島全体に散りばめられており、まさに「ダイビングアイランド」といえる場所ではないでしょうか?早速、ダイビングしたい場所リストに追加してみては。

情報提供
Zero Gravity
ネイティブシー奄美

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writer
PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
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