Insta360を浮かせて撮影できる「STAYTHEE(ステイシー)」限定版発売開始!開発者へインタビュー

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7月に株式会社リコーから限定100台で発売された水中撮影アクセサリー「STAYTHEE(ステイシー)」。ハウジングに入った360度カメラ「RICOH(リコー) THETA(シータ)」に取り付けると、中性浮力を保ったり、水底に固定したりしたまま撮影ができるというものだ。

多くの反響を呼び限定販売は終了したものの、「RICOH THETA以外の360度カメラでも使用したい」というたくさんのリクエストを受け、なんと11月18日に「Insta 360 ONE X2」に対応したSTAYTHEEが台数限定で発売に!

Insta360ユーザーは待ちに待っていたであろうこの発表に合わせ、開発者である株式会社リコーの小関(こせき)和宏(かずひろ)氏に開発秘話や「おもしろい使い方」を伺った。RICOH THETA版を購入された方は、ちょうどお手元に届いた頃。どうやって使えるか予習しちゃおう。

STAYTHEEとは?

360度カメラに取り付け、浮力の調整ができる水中撮影用アクセサリー。本体の黒いグリップ部分をねじって伸ばしたり縮めたりすることで、内部の容積が変化し、浮力をコントロールできる。水深に応じて調整すれば、浮きも沈みもしない中性浮力の状態に。マクロ撮影キットを取り付ければマイナス浮力になるため、水底に固定しておくことも。
STAYTHEEプロモーションビデオなど

開発秘話に迫る!
ギリギリまで苦労した「20gの調整」

suika

他社製品のInsta360 ONE X2に対応したSTAYTHEEを今回発売されましたが、なぜ開発をしようと思ったのでしょうか?

小関

RICOH THETAには3機種対応で販売開始したところ、Insta360では使えないのかという意見を意外と多くいただいたんです。それでInsta360用にできるか実験して、できそうだというのが見えたので、ご意見をいただいた方たちに届けられればと思い、早急に開発を進めました。

suika

もともとGoProなど他社製品にも使用できるようにする予定で開発されていましたよね。それが特にInsta360で早まったという感じですね。結構な開発スピードだと思ったのですが、どのように進めていかれたんでしょうか?

小関

STAYTHEEで一番大事なのは、沈む重さと浮力のバランスです。カメラの機種ごとに重さが違うのでSTAYTHEE本体もそれに合わせて重さを調整しないと、中性浮力が保てないんです。ですので、地道に足し算引き算を繰り返し、STAYTHEE本体の重さをInsta360 ONE X2が中性浮力を保てるように調整していきました

suika

本体や装備によってウエイトの量が変わるのは、私たちがスキューバダイビングするときと同じですね。一番開発でご苦労されたのはどんなところでしょうか。

小関

Insta360とRICOH THETAでは、ハウジングの三脚などを取り付ける部分の仕様が違います。RICOH THETAは一般的なカメラの三脚に使用する1/4インチネジなのですが、Insta360はGoProと同じマウントです。そのため、RICOH THETA向けのSTAYTHEEにはなかったマウント部分が追加されるので、沈む重さも20g増えたんです。その20gをどうやって軽減するかの調整に苦労しました。実は、10月に沖縄でテストした時は浮力が足りなくて、急いで仙台の工場に戻って改良したんですよ。

suika

素晴らしい開発スピードですが、地道な微調整を繰り返されて完成したんですね。

小関

はい、安心して使っていただけるものになりました。ちなみに、STAYTHEE本体の底蓋にレーザー刻印が思った以上にきれいに入ったので、そこも見ていただきたいポイントです(笑)。

使い方は無限大
#staythee360でシェアしよう!

suika

一般販売に先立ち、先行予約発売された、RICOH THETA限定版を購入された方には商品が届き始めているということで、使い方のちょっとしたコツなどを教えていただけないでしょうか。

小関

まずはやはり中性浮力がとれた状態で、手放しで撮影してみていただきたいですね。自分と周りの人が映っている写真や動画って、なかなか自分たちで撮影できないので、STAYTHEEが最も得意とするシチュエーションなんです。撮影者がいないので、水面に向けて撮影する場合は撮影者の泡が入らず、クリアな映像が撮れるのも魅力だと思います。

小関

浮かせて離れて置いておくだけでも簡単にキレイな映像が撮影できますし、好きな場面を好きな画角で、写真としてカンタンに切り取ることもできるのも大きなメリットです。

撮影した動画を後から簡単に写真にできる

撮影した動画を後から簡単に写真にできる

小関

マクロ撮影は、近づけすぎてしまうと意外と画角が狭くなるので要注意です。ついつい生き物に近づけすぎてしまいますが、30~50cmくらい離すのが綺麗に撮影するコツです。

小関

紛失するのを心配される方も多いのですが、ストラップもついていますし、中性浮力に近くなると割とのんびりゆったり目の前に留まってくれるので、安心して使ってください。
あと、浮力とは関係なくなってしまいますが、ハンドグリップとしてもある程度の長さがあるので、持ったままムービー撮影モードにしておけば、カメラを覗かなくても自分自身がダイビングを楽しみながら撮影できているというのが最近気に入っています(笑)。

suika

それは良いですね(笑)。おもしろい活用事例などはありますか?

小関

モニターで使っていただいているガイドさんから聞いたのは、STAYTHEEをプラス浮力に設定して浮いている時に、上からカメラを下に押して沈めるというものでしたね。一度沈んでまた浮いてくるので、ちょっとおもしろい映像になるそうです。

suika

浮力を活用していろんな撮影方法にチャレンジできそうですね!

小関

はい。ぜひこれから使用する方にも自由に使ってもらって、Instagramで共有して欲しいですね。「#staythee360」というタグを作っているので、ぜひアップする時にはタグをつけてください。みんなでおもしろい撮影方法を共有して、もっともっと水中撮影を楽しんでいただけたら嬉しいです。

STAYTHEEでダイビングをもっと楽しく!

suika

最後に読者の方へメッセージをお願いします。

小関

ぜひSTAYTHEEを使って、ダイビングを楽しんでください。撮影ももちろん楽しいですが、ダイビングそのものを楽しみながらキレイな写真や映像が残せるということを感じていただきたいと思っています。私の場合はカメラを持つきっかけがダイビングを楽しんだという「証拠写真」を残したいというところだったのですが、カメラを持つとどうしても撮影に集中してしまって、せっかく目の前に美しい海の世界が広がっているのに上手に撮りたいという気持ちが先行し、どこか楽しめていないという「課題感」が強かったんです。

STAYTHEEの開発でファンダイビングに同行していると、ずっとカメラを覗いている方もたくさんいらっしゃいます。カメラを持つことが当たり前になっているからこそ、リアルな海中世界を「その場その時に感じる」という事をつい忘れてしまいがちになってはいないでしょうか。すべてのダイバーに新しい価値を提供するという意味でも、360°カメラとSTAYTHEEを通して皆さんの非日常的なダイビング体験をもっと楽しく素晴らしいものにできたらと思います

suika

ありがとうございました。

Insta360に対応したSTAYTHEEが発売され、ますます動画や写真の表現の幅が広がることに期待が高まる。ぜひ手にした方はダイビングそのものの楽しさも感じながら、さまざまな撮影方法にトライして見てほしい。そして#staythee360でシェアして、みんなでもっともっと水中映像を楽しもう。

Insta360 ONE X2対応STAYTHEE販売情報


◯価格:48,400円(税込)
◯耐圧水深:30m
◯浮力調整量:0〜20g
◯寸法:135.4mm(W)×130.0mm(H)×48.5mm(D)
◯重量:フラップ開時240g
◯付属品:マクロ撮影キット、リール付きストラップ(2m)、レンズカバー
※Insta360 ONE X2およびハウジングは含まれません
◯対応機種:Insta360 ONE X2
※ Insta360 ONE X3には対応しておりませんのでご注意ください

箱にもこだわりが!デザインはプロダクトデザイナーの久下玄(くげはじめ)氏が手掛けた。

箱にもこだわりが!デザインはプロダクトデザイナーの久下玄(くげはじめ)氏が手掛けた。

※下記リンクから購入が可能です。台数限定販売のため、在庫がなくなり次第販売終了となります。
▶︎https://STAYTHEE.ricoh/
※商品発送時期は12月中旬以降となります。

使い方や作例はSTAYTHEE公式Instagramから。公式以外にも「#staythee360」にたくさんの作品がアップされているので要チェック!

「おじさん達の挑戦物語」にも注目
STAYTHEEの発売にいたるまで、開発者である「おじさん」たちの想いや試行錯誤が詰まったnote。涙なしには読めない…かもしれない。
https://note.com/staythee

Sponsored by 株式会社リコー

リコーグループは、お客様のデジタル変革を支援し、そのビジネスを成功に導くデジタルサービス、印刷および画像ソリューションなどを世界約200の国と地域で提供しています(2022年3月期グループ連結売上高1兆7,585億円)。
imagine. change. 創業以来85年以上にわたり、お客様の“はたらく”に寄り添ってきた私たちは、これからもリーディングカンパニーとして、“はたらく”の未来を想像し、ワークプレイスの変革を通じて、人々の生活の質の向上、さらには持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。
https://jp.ricoh.com/

取材協力:アークダイブスキューバカンパニードルフィン

関連記事:360度カメラを水中でより使いやすく 浮力調整器「STAYTHEE」誕生

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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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