サイドマウント・ダイビングを始めるのに必要な器材と講習とは

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先日、オーシャナ読者の方にお会いしました。
その時に開口一番「ああ、バレンタインの人ですね!」と言われました。

当連載はサイドマウントダイビングの魅力をお伝えする記事であって、バレンタインデーの私的な愚痴をこぼす記事では無いはず。
何故でしょう? 謝った認識が広がっています。

サイドマウントでのダイビング

さて、前回まではレクリエーション環境でのサイドマウント・ダイビングのメリット・デメリットについてお話しさせていただきました。

サイドマウントのメリットはいかがだったでしょうか?
ちょっとサイドマウント・ダイビングに興味がでてきましたか?

デメリットの部分もいかがでしょうか?
ちょっと嫌になっちゃいましたか?(笑)

でも、全てのダイビングにデメリットはつきものだと思います。
マイナス思考ではなく、ぜひプラス思考で考えてみてください。

今回からは、「サイドマウント・ダイビングを始めるにはどうすればいいのか?」についてお話させていただきます。

とは言っても、サイドマウント・ダイビング自体にそもそも資格はありません。
(レックやケーブ等の特殊なダイビングは除きます)

誰でも今すぐに始める事ができます。
器材を購入し、自分で組み立てて、後はタンクを脇に着けてエントリー!

簡単でしょ?
…でも、実際はそう簡単にいきません。

どんな器材を買えば良いのか?
どんな風に組み立てるの?
なんでレギュレーターが2個必要?
ブラダーって何?
バンジーってただのゴム?

等々、様々な疑問にぶつかるでしょう。

それらを一つ一つ解決していかなければ、サイドマウント・ダイビングを楽しむ事はできません。
サイドマウント・ダイビングは器材に依存する部分が多いからです。

もちろん、器材以外にもサイドマウント特有のスキルも重要となります。
それらを十分理解し、必要なスキルを身につける為にも、サイドマウント・ダイビングの講習は必要だと思います。

サイドマウントに対し豊富な知識と経験を持ったインストラクターに教わる事は、サイドマウントを理解する上で重要な意味がある事になります。

サイドマウントでのダイビング器材

では実際に講習内容に触れてみましょう。

サイドマウントの講習は様々です。
レクリエーションからテクニカルダイビングのケーブまで数種類あります。

サイドマウントの講習はレクリエーションよりもテクニカルダイビングの方が充実していますね。

そして、テクニカルダイビング系のトレーニングはスキルレベルが高く、様々な知識を身につける事ができます。

ですが、レクリエーションダイバーの方が進めるにはちょっと敷居が高すぎますよね。
そこで、PADIのレクリエーション用サイドマウント講習を例にお話をさせていただきたいと思います。

PADIのレクリエーション対象サイドマウントはサイドマウントSPと呼ばれ、オープンウォーター以上の方が受講できます。
お手軽に始められそうですよね。

ですが、私は少なくともアドバンス資格を持ち、中性浮力が出来る方を対象にすべきだと思っています。

何故なら、サイドマウントSP講習では中性浮力を維持しながらのスキルが多々あるからです。
そして、サイドマウントSPの講習はテクニカルダイビングの講習に似ており、ちゃんとスキルを取得できないと先に進めません。

これらは全てインストラクター判断になります。
つまり、インストラクターがサイドマウントダイバーとして認定できないと、講習は永遠に続きます。

その為、サイドマウントSPを提供するショップによっては講習費と海洋実習費を分けるパターンと、実習費を含む講習費を提示し、追加実習が発生した場合、海洋実習費を後から請求するパターンの2種類に大きく振り分けられていると思います。

私はこういった講習内容の背景からも、レクリエーション用のサイドマウント講習とはいえ、テクニカルダイビング講習の一部と考えています。
テクニカルダイビングの講習も同様の料金体系になっているからです。

サイドマウントでのダイビング

さて、講習内容ですが、学科と限定水域実習、海洋実習に分けられます。
PADIの場合、限定水域実習は1dive、海洋実習は3diveになります。

内容は基本的な姿勢やタンク脱着、レギュレーター交換を含むガスマネージメント、バックアップ空気源の供給と確保等々、レクリエーションダイビングではやらなかった事がたくさん出てきます。

私は正直、限定水域実習1diveでは、海洋実習で行なう為のスキルを全て満たせるとは思えません。
もし満たせる方がいたらその人はテクニカルダイバーとして経験豊富な方か天才ダイバーでしょう。

それぐらい、初めての方にはやるべきスキルは複雑で、初めての事が多いからです。

そしてなにより、講習以前に器材を理解しなければなりません。
この連載でもお伝えしているコンフィグレーション(器材構成)、これが一番重要でコンフィグの理解にレクリエーションから始める方は戸惑う事が多いと思うからです。

おそらく限定水域実習の始めの時間は、器材の取り扱いやセッティングに大きく時間を取られる事でしょう。

そして基本的な器材の取り扱いを理解してから、実際にスキル講習に進むと思います。
私はそれらを1diveで習得できるレクリエーションダイバーの方は少ないと思います。

例えば、私が所属するテクニカルダイビングセンタージャパンではまず、講習に進む前に体験サイド・マウントダイビングをお勧めしています。

体験ダイビングで基本的な器材操作等を教え、サイドマウント・ダイビングに触れてもらいます。

■編集長が体験した時のレポート
サイドマウントでのダイビングのメリットとは?初めてのサイドマウント | オーシャナ

そして、その後受講生の方が「いや、これは俺無理だ」とか「面白い!講習を受けたい!」てな感じで判断していただいております。

そして限定水域講習も受講生の方と相談して2diveにする場合が多々もあります。
(またはもっと日数を必要とする場合も)

何故なら、スキルのボリュームが多いのと器材に慣れるのに時間が掛かるからです。

もちろん、サイドマウントSP講習を実施しているショップでは様々な趣向をこらして受講生に提示していると思います。
その辺は各お店にお問い合わせください。

サイドマウントでのダイビング

次に海洋実習ですが、こちらは限定水域講習よりいくらか楽になるかもしれません。
まずスキルのボリュームが限定水域で実施したものを3つに分けるからです。

さらに限定水域でコンフィグや器材の取り扱いを始められているので、本数を重ねるうちに慣れてくると思います。

実はサイドマウントSP自体、実施スキルの量はそんなに多くありません。
同じような事の繰り返しが多いです。

これも私の考えですが、器材に慣れる為に多く時間をとっている気がします。
つまり、スキルも重要ですが、器材を理解する事にも重点を置かれているのでしょう。

重ねて言いますが、まず器材に慣れる事。
少なくとも最低限自分の器材の扱い方を理解していないと、スキル講習はできません。

そして可能であれば見なくても手探りだけで自分の器材の状態を把握できる事。
これらが非常に重要になってきます。

レクリエーションダイビングでは一度セッティングした器材を水中で脱着する事はほぼありません。

ですが、サイドマウントの場合、レギュレーターの交換も含め、水中での器材セッティングの変更が多々あります。
この辺については次回、説明させて頂きますね。

さて、今回はここまでにさせていただきます。
次回はいよいよ講習の実施スキル内容についてお話させていただきますね。

どうでしょうか?
どんな講習内容か気になってきましたか?
ただ、そうはいってもスキル自体はそんなに難しくありません(たぶん(笑))

それよりも「しなければいけない事」をストレスなく行動する事の方が難しいでしょう。
ちょっと含みのある言い方ですね(笑)
詳しくは次回にお話しします!!

サイドマウントでのダイビング

さあ、本格的に冒頭のバレンタインネタが厳しくなってきました!
寺山編集長も助けてくれません。
(むしろ、まだやってたの?って感じです!)
果たして次回の冒頭ネタは何か? 続ける事ができるのか乞うご期待!!?

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writer
PROFILE
40近くになり、家族で行ったグアム旅行、そこで嫁さんに体験ダイビングを勧められ初ダイビング。
その時の担当インストラクターに「ダイビングうまいねぇ。始めてみれば?」と言われてその気になる。

帰国後、地元のダイビングショップの門を叩き、ダイバーとなる。
この時40歳。

その後、調子に乗ってインストラクターまで一気に取得、

大手ダイビングショップで非常勤インストラクターとして勤務するも、もっとダイビングは自由で良いのでは?と考え始め、そんな中テクニカルダイビングに出会う。

自分の求めていたのはこれかもしれないと勘違いし、IANTDの小さな巨人・豊田聡氏(現PADIテクニカルダイビングアドバイザー)からテクニカルダイビングを教わる。

近年、サイドマウントダイビングを知り、その自由なスタイルに魅了され、ドンドン妄想はエスカレート。

終いにはサイドマウントを極めたいと、これまた大きな勘違いをし、オーシャナ執筆でおなじみの夜の帝王・田原浩一氏に「サイドマウントがうまくなりたいから教えてください!」と無茶な要求でケーブ系のトレーニングを始め、現在に至る。

 そんな訳でダイビング経験年数は6年(2013年11月現在)、経験本数は1500本(2013年12月現在)のお調子者若輩ダイバーです。

私は他のオーシャナ執筆者の方々のような著名人ではありません。
一人のダイバーの目線でサイドマウントの魅力をお伝えできればと思っています。

より安全に、より自由に、より楽しく。
レクリエーションサイドマウントダイビングはその可能性を秘めていると信じています。

是非、皆様の生暖かい目で今後もご支援いただければ幸いです。

主な資格等
■IANTD Normoxic Trimix インストラクター
■IANTD Trimix CCR Diver
■IANTD Trimix Diver
■IANTD Technical Wreck Diver
■PADI OWSIインストラクター MSDT
■PADI テックサイドマウントインストラクター
■PADI テックディープインストラクター
■日本テレビ系「いのちのいろいろ」映像提供多数
■小田原ダイビングスクール非常勤インストラクター
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