残圧250はOKライン?タンクの圧はいくつまで正常に使えるのか

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海外のダイブサービスで働いていらっしゃる日本人の方より、タンクの圧とレギュレーターの関係性についてご質問をいただきました。

そのサービスでは、240~250BARといった高めの圧のタンクが多くみられます。
「レギュレーターの部品は、テストで300BARクリアーしているとしても、250BARもの空気を毎回使っていて、タンクのOリング、レギュレーターのファーストステージの中のパーツ、高圧ホースなどに問題は生じないのか?」といった疑問をお持ちになられたそうです。

日本人ゲストから「250BARも入っているタンクを使うと器材にも負担がかかるので改めて欲しい」という声が上がったことがあるものの、マネージャーの方針としては、“欧米人ダイバーは日本人に比べて身体が大きい分、エアー消費量も多い、少しでもエアーが少ないと苦情になる”という理由より、250BARのままでいくという話になっているそうです。

まず結論から申し上げますと、250BARのタンクを使用してもレギュレーターにトラブルは生じないと言えると思います。
(その理由は後ほど詳しくお話します)

レギュレーターのヨークにこのような表記があるのを目にされたことがありますでしょうか?
(機種により、表記があるもの、ないものがありますし、数値も異なります。)

レギュレーターのヨーク部分

“232BAR MAX”

これは、このレギュレーターが“最大232BARの圧を受けても耐えうる”という意味の表記です。

“レギュレーターが耐えうる=レギュレーターの部品が壊れない”

このときの“部品”とは、タンクとの接続部であるヨーク及びヨークリティナーのことを指します。
内部部品等は関係ありません。

過剰な力が加わると、ヨークが変形し、レギュレーターが壊れます。
この数値は、メーカーが実際にテストを行った上で設定されています。

今回ご質問をいただいたダイブサービスさんでは、250BARのタンクを使用されているということは、この画像のレギュレーターは使用できないということになりますよね。
232BARが最大なのだから、250BARのタンクは…。

ただこの数値、余力を持って設定されているはず。
実際のところ、どの位まで耐えられるのだろう(どの位で壊れるのだろう)と気になってきました。

ただそのようなことは当然のことながらどこのメーカーも公表されていないですよね。
そこでBOSSに聞いてもらいました。

某メーカーの方がお答えくださったのですが、テストしているのは表記の約3倍程度。
200BARと表記があるとすればその3倍の600BAR、約600キロの力が加わると破裂するそうです。

それだったら、250BARのタンクを使っても問題ないわけか…。
いや、メーカーが232BARと表記している以上、232BAR以内のタンクを使うべきです。

トラブルは生じない、とはいえ、圧の高めのタンクと低めのタンク、どちらがレギュレーターに優しいの?というと、もちろん低めのタンクであると言えると思います。
圧の影響を受けると考えられるのは、高圧ホースです。

以前、タンクのエアーを出す(バルブを開く)際、パージボタンを押してエアー(圧)の逃げ道をつくってから出してくださいね、そうすればホースの寿命が長持ちします、とご紹介したことがありますが、その理論からすれば、少しの差でも回数を積み重ねればホースにかかる負担の度合いは変わってくるのではないでしょうか。

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PROFILE
大学在学中、グアムで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、卒業と同時にダイビングの会社に就職。
その後、数店舗の都市型ダイビングショップで、スクールや器材販売、ツアーの企画・引率をし、2000年にインストラクターに。

数メーカーのメンテナンス講習を受けた後、ダイビング器材オーバーホール専門店「アイバディ」に10年間勤務。
現在はフリーインストラクターとして活動する傍ら、ダイビング器材・オーバーホールについて執筆活動中。

「器材の中身は見えない。だから伝えねばならない」がモットー。

ダイビング器材の中身は見えない。だから伝えねばならない~オーバーホールの現場から~ | オーシャナ
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