サイドマウントのトレーニングでは何を習うのか?
夏ですね!
台風も来ていますが、夏らしい日が続いています。
そうそう、ちょっと前の話しになりますが、7月7日は「サマーバレンタインデー」というらしいですよ。
日本記念日協会にもちゃんと認定されているみたいですが、今一定着していないですね。
もっと日本全国に正しく広まって欲しいものです!
さて、前回サイドマウントをより楽しむ為にはトレーニングが必要とお話しさせて頂きました。
スキルアップの楽しさを教えてくれるサイドマウントのダイビング | オーシャナ
でも、具体的に説明されないとイメージができにくいですよね。
それでは、どんなトレーニングをしているのでしょうか?
今回は私が所属するテクニカルダイビングセンタージャパン(TDCJ)のトレーニングプログラムを元にお話しさせて頂きます。
もちろん、各ショップさんも独自のトレーニングプログラムを実施していると思います。
あくまでもひとつの例としてお読みください。
まず、始めにTDCJでは以下の内容でサイドマウント講習を実施しています。
- サイドマウント体験ダイビング
- PADI サイドマウントSP講習
- サイドマウントトレーニングプログラム
今回は最後のサイドマウントトレーニングプログラムの中から幾つかご紹介させていただきますね。
コンフィグレーション(器材構成)
もう当連載をお読み続けて頂いている方にはお馴染みの言葉ですね。
トレーニング中は終始、自分にあったコンフィグの追求を実施します。
ハーネスの調整からDリングの位置、形状、バンジー(タンクをとめるゴム紐)の種類、長さ、位置、ブラダー(空気袋)の位置、レギュレーターの組み合わせ、セカンドステージの中圧ホースの長さ、各ホースをとめるポートの位置、ライトやフロート等の留める位置から方法など、様々です。
これらをインストラクターがその人にあった最善のコンフィグを一緒に組み立てていきます。
もちろん、一番大事なのは本人の快適性。
その快適さを求める為に1センチ刻み(あるいはミリ刻み!?)でハーネス等を調整していきます。
コンフィグの改善はダイビング1本毎に実施します。
例えばエントリーして水深2mぐらいのところでバランスを確認してみて、不具合があったらタンクをそのまま水中のロープ等に留めて、本人だけ陸上に上がり簡単な調整を済ませてから再エントリー、なんて事もサイドマウントなら簡単にできます。
おそらくこのコンフィグの追求は終わる事はないでしょう。
ただ、トレーニング終了までには、少なくともサイドマウントに対するストレスがある程度は軽減はされるでしょう。
あとは、普段のダイビングの中で気になるところを自分で考えて改善していきます。
もちろん、疑問や不明点はインストラクターに相談して解決していきます。
何よりコンフィグの面白さは自分で細かく調整し、自分のダイビングスタイルにあった器材を作り上げる事。
自分で組み立てた器材がフィットすると愛しくてたまらなくなりますよ(笑)。
タンクの種類
バックマウントですとタンクの種類によって変更するのは、おそらくウエイト量だけでしょう。
ところがサイドマウントだと、タンクの種類や大きさによってコンフィグを変更しなければなりません。
アルミニウムタンク、スチールタンク(メタリコン処理)、スチールタンク(メタリコンなし)が主なタンクの種類になります。
これらは重さもそうですが、大きさによっても浮力の変化があります。
特にアルミニウムタンクの場合、同じ容量でもタンクの製造方法等によって浮力の変化に差があります。
私が普段トレーニングに使用させていただいている西伊豆・獅子浜ダイビングサービスは3種類のタンクを選べますので、トレーニング期間中に色んなタンクを試す事が出来ます。
また、ヨークバルブの他にもDINバルブもありますので、トレーニング内容によってはDINバルブでのサイドマウントを体験することもできます。
例えば、ヨークバルブですとレギュレーターのファーストステージがバンジーを掛ける際等に非常に邪魔になります。
ところがDINバルブですと、余分なでっぱりが少ない為、バンジーがかけやすくなります。
DINバルブは日本国内ですとあまり目にしませんが、海外だとよく目にする(または言えばでてくる?)事がありますよ。
将来、本格的にテクニカルダイビングを始めたい方なら尚更です!
エントリーとエキジット
エントリーとエキジットはPADI サイドマウントSPでも実施スキルに入っています。
ですが、サイドマウントの自由なエントリー・エキジットには全て対応しきれていません。
特に日本のダイビングの海事情を考慮すると、ビーチエントリーやジャイアントストライドエントリー等の必要性が出てきます。
例えば、ジャイアントストライドエントリーは日本の場合、ボートダイビングで漁船を使う事が多いでしょう。
そして漁船からのエントリーはジャイアントストライドが多いと思います。
漁船だとエントリー口から水面まで高い場合がありますよね。
その場合だと、サイドマウント特有のダイバーが先にエントリーして後からタンクを船上スタッフから受け取る方法は、船上の高さがある為タンクの落下の可能性もあり非常に危険な場合があります。
イメージしてみてください。
重いタンクを船上から、あまりタンクの上げ下ろしに慣れていない方がやるのはちょっと大変ですよね。
また、神子元等のようなドリフトダイビングでチーム一緒にエントリーする場合も同様です。
エントリーが手間どったり、タンクを受け取るために船に近づくのが困難な場合もあります。
その為にもタンクを着けたままのエントリー方法を学ぶ必要があります。
これらの様々なエントリー方法をトレーニング毎に毎回違う方法で実施します。
特にビーチエントリーやエキジットの場合はコンフィグにもちょっと影響でてきますしね。
そして、水面でタンクを装着する場合も、以前もお話ししましたが、かなり苦戦すると思います。
これもコンフィグの改善も含めて数を重ねるしかありません。
もちろん、インストラクターはダイバーにあった装着方法を的確にアドバイスする必要があります。
自由潜降
オープンウォーター講習で実施したと思いますが、「指標のない潜降」のあれです。
よくボートダイビング等で体験なされた方も多いと思います。
通常のバックマウントのBCだとインフレーターホースが肩から出ていますので、垂直姿勢のまま潜降できます。
垂直姿勢で潜降すると、排気もそうですが急速に落下してもフィンキックでブレーキをかけられますし、もちろんインフレーターの給気で落下スピードをコントロールできます。
ところが、サイドマウント用BCは多くのモデルは腰からインフレーターホースが出ています。
そして、主な排気はおしり、またはインフレーターホースの反対側についています。
もちろん、サイドマウント用BCでも垂直姿勢のまま潜降はできます。
ですが、もし潜降中にBCに多く空気を入れ過ぎてしまいプラス浮力になり、余分な空気を抜こうとしても垂直姿勢のままだと空気が抜きにくく、そのまま浮上、なんて危険性があります。
ボートダイビングでの急速浮上は潜降するダイバーとの衝突や船底やプロペラ等の接触する危険性もあります。
その為、サイドマウントでの潜降はトリム(水平姿勢)をとったままの潜降が理想的です。
トリムがちゃんととれていると、BCの吸排気操作により潜降をコントロールできます。
潜降姿勢のイメージは映画「ミッションインポッシブル」のトムクルーズで!(コンピューター室に天井から忍び込むアレです!)
まだお話したい事がありますが今回はここまでにしたいと思います。
続きは次回にお話ししますね。
ただトレーニングとはいえ、楽しんで実行していただきたいです。
私は遊びやゲーム感覚でも良いと思っています。
(少なくとも私自身は楽しんでトレーニングしていますから(笑))
自分の大事なお金と時間を費やすのです。
楽しんで、しかもサイドマウントが上手くなるのであれば、それにこした事はありません。
次回はその楽しい部分もあわせてお話したいと思います。
しかしなんでしょう?
冒頭のバレンタインデーネタを考えている時に国生さゆりの「バレンタインデーキス」が頭の中でリフレインして消え去りません。
脳細胞の中にもバレンタインデーがしみ込んでしまったのでしょうか?
ではまた次回!!