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サイドマウントを安全に楽しむためのBCジャケットの知識と対策閲覧無制限

ちょっと肌寒い日が続きますね。
でも、海の中は段々水温も上がってきて、一年で一番快適な時期になりますね。

そうそう、9月といえば、9月14日はセプテンバーバレンタインといって、男性から女性に会いを告白するそうです。
なんでもセクシーな下着を送るとか、送らないとか。

…はい、そのとおり、今では使われていませんね。
寂しい時代です。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

今回はサイドマウントの楽しみ方のお話をしようと思ったのですが、先日パラオでサイドマウントがらみのトラブルがあったようです。

人から聞いた話しなので詳細はわかりませんが、なんでもサイドマウントのお客様がダウンカレントに巻き込まれたそうです。
編注:現地に確認したところそのような事故はなかったようですので、削除いたしました(2014.9.11 16:09)

そこで今回はBC等、浮力に関するサイドマウントの危険性について、ちょっとお話しさせていただきますね。

さて、このパラオのトラブルのように、サイドマウント専用BCをオープンウォーター環境で使用する際、注意が必要な事は以前から懸念されていました。

ケーブ等で使用されるようにデザインされた専用BCを、オープンウォーター環境で使用するには幾つか注意すべきポイントがあります。

そこで、今回はサイドマウントを安全に楽しむ上でのBCの知識とその対策についてお話しますね。

サイドマウント用BCジャケットの種類

まず、サイドマウント用BCには主に二つの種類があります。

一つはドーナッツ型のブラダー(空気袋)で浮力が多いもの。
このタイプはフロリダ等、スチールタンク(重いタンク)で潜るケーブダイバーに愛用されています。

重いタンクを何本も抱えても十分な浮力を得る事ができるからです。
ただ、その為BC自体は大きくなり、ペネトレーション(内部侵入)ダイビングには向かないモデルもあります。

そしてもう一つは主に三角形のブラダー、こちらは浮力は多くありません。
(レクリエーション用BCに比べて浮力が足りないです)
大きさも小さいものが多いです。

このタイプは主にメキシコ等アルミタンク(軽いタンク)で潜るケーブダイバーに愛用されています。
アルミタンクは水中では軽い為、複数のタンクを抱えても、十分浮力を確保する事ができます。

ただ、それは水が殆ど動かないペネトレーションダイビングでの事。

例えば、メキシコのセノーテ等時間によっては多少の流れは出るものの、激流ではありません。
また、レックでのペネトレーション(沈船への内部侵入)ダイビングも同様、内部は殆ど水の動きはありません。

これらの事から小さいサイドマウント用BCはペネトレーションには向いていますが、オープンウォーター環境での使用には注意が必要になります。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

サイドマウント用BCジャケットの注意点

さて、ではどのように注意したら良いのか?

まず、自分の使用するサイドマウント用BCの浮力を確認します。

例えば、レクリエーション用BCの平均的な浮力は約30~50ポンド(サイズにより異なります)
テクニカルダイビングで用いられるブラダーの浮力は45~94ポンド。
(編注:1ポンドは約0.45kg)

これに対してサイドマウント用BCでドーナッツ型の大きなタイプは40~50ポンド。
小型のタイプで23~36ポンドになります。

つまり、ドーナッツ型の大きなモデルはレクリエーションBCと浮力は大きく変わりません。
むしろ、サイズによってはサイドマウント用BCの方が十分浮力があります。

ところが小型のタイプになると最小で23ポンド、最大で36ポンドになります。
36ポンドあれば40ポンド前後の浮力を持つレクリエーション用BCとそんなに変わりませんが、30ポンド以下ですと注意が必要です。

では、浮力が少ないBCを使用する上での注意点とは?

それはダイビング内容とコンフィグレーション(器材構成)に意識を向けましょう。

まず、ダイビング内容についてですが、以下のような海況には注意した方が良いでしょう。

  • 海面の波が高い
  • ダウンカレントが発生しやすい海況
  • 激流の中のドリフトダイビング(またはコントロールできない流れ)
  • 水深20m以深

波が高い時、もし、緊急時等で海面で待機や浮上した時に、コンフィグレーション(器材構成)にもよりますが安全な浮力(または姿勢)を維持するのが難しい場合があります。

なぜならサイドマウント用BCは浮力体が背面にあります。
その為、レクリエーション用BCのように垂直姿勢を維持しようとすると、浮力体の中心位置が背面にある為、身体が前のめりになります。
これはレクリエーション用BCでもブラダータイプのモデルは同様でしょう。

そこで、空気は必要以上に入れずに、やや後ろにもたれるようにバランスをとって姿勢を維持します。
(これ、慣れるまでちょっとコツがいります(笑))

通常の海面であれば問題はありませんが、波が高い海況だとちょっとやっかい。
波によって身体が前のめり押され、身体が起こせずプチパニック、なんて事もありえます。

また、サイドマウントは首の廻りをレギュレーターホースが巻かれるため、スノーケルを着用しません。
これも、このような海況だとパニックに追い討ちをかけると思います。

ダウンカレントが発生しやすい海況はコンフィグレーションと合わせて対策は幾つかあります。

ですが、今回のパラオのようにサイドマウント(または普通のダイビング)に慣れないうちは、ダウンカレントのある状況ではダイビングはやめましょう。
激流のドリフトダイビングも同様です。

自分のコンフィグ等を理解し、様々な状況に対処できるのであれば問題ありませんが、もし、自分のスキルやコンフィグに自信が持てなければするべきではありません。
レクリエーションダイビングと同じですね。

水深20mより深い海も要注意です。

もし、20m以深での緊急時に、BCが浮上に必要とする浮力を得れないかもしれません。
その為にも、深場でのダイビングには注意が必要です。

こちらも、自分自身の緊急時対策スキルに自信がなければするべきではありません。

そして、これらのダイビング内容に合わせたコンフィグレーションも、安全の為にはとても大事な要素になります。

サイドマウントでのダイビング器材(提供:石井隆)

サイドマウント用BCに関するコンフィグレーション

それでは、BCの浮力不足やトラブルに関するコンフィグを考えてみましょう。
もちろん、自分にあった適切なBCを使うのが一番です。

でも、それ以外にも注意する事は幾つかあります。
それらを紹介したいと思います。

まず、一番注意しなければならないのはウェイト量です。
この辺はレクリエーションと同じですね。
ダウンカレントや深場でもオーバーウェイトは厳禁です。

ある程度浮力に余裕のあるBC(レクリエーション、サイドマウント問わず)であれば、それほど深刻な問題にはなりませんが、最大浮力がシビアだと安全の確保が難しくなります。

海面での姿勢の維持も同様で、ウエイトが多いと空気を必要以上にBCに入れなければならなくなり、バランスをとるのがよりシビアになります。

私は以前、浮力23ポンドのBCにメタリコンのシングルタンク、ウエットスーツ、ウエイトは8kg(!!)で潜った事があります。
(何故8kgも使ったかはまた後日説明しますね)

その際、常にBCはパンパンに膨れました。
ダンプバルブから深度がちょっとでも浅くなると空気が漏れるくらいに。

それでもややマイナス浮力です。
海面で待機をする時も垂直姿勢の維持が非常に困難でした。(しかも半分沈みかけていましたし(笑))

次にフィンです。
フィンはとても重要な要素になります。

流れやダウンカレントが強い時に対応できる物を着用します。
これもレクリエーションと同じですよね。

もちろん、フィンを変えただけで全てが安全とまではいかないと思いますが、それでも「起こりうるトラブル」を想定し「トラブルに対する対策」は必要な考え方です。

流れが強い時に、それに逆らえるだけのフィンとフィンワークは必要でしょう。
そして、そのフィンワークを補助するに十分の浮力もです。

例えば私の場合、普段サイドマウントで潜る時はプラ製で浮力がやや中性のフィンを使っています。
水中ではバランスがいいからです。

ですが、神子元等流れが強い海でサイドマウントで潜る時は、ゴム製のフルフットフィンを使います。
ゴム製のフィンは重い為、前後のバランスは多少変わりますが、神子元で何もせずジッと中層にとどまる事はないでしょう(笑)

泳ぎまくるか、根待ちするか、流れに乗って流されるかの何れかになります。
中層に微動だもせずにとまっている事はありません。

つまり、私はこの海況では「バランス」よりも「推進力」を優先した訳です。
ダイビング内容、環境に合わせた器材構成の変更です。

そして、シグナルフロートと収納式スノーケルの所持。
シグナルフロートは緊急時の打ち上げもそうですが、それ以外にも緊急時の浮力の確保にも使えます。
(テクニカルダイビングを経験した方はトレーニングした事があると思います)

ただ、本当にこれは緊急時の対応で常時行なえるわけではありません。
それに、緊急時に水中で浮力体として使用するには、その為のトレーニングが必要です。

このスキルはトレーニングを必要とします。
収納式のスノーケルも、先に述べた高い波の時の呼吸方法の確保として、人によっては必要になるでしょう。

普段は水中ポーチやスーツのポケット(ポケットがある人は)等にしまっておけます。

このようにダイビング内容によって軽器材等も含めて対応する必要があります。
そしてなにより、注意してもらいたいのは、起こりうるトラブルに対する対策です。

これもサイドマウントだけでなく、レクリエーションダイビングにも言える事だと思います。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

ちょっとまとめますね。

  • 自分が使用するサイドマウント用BCを理解する(浮力の確認)
  • 自分のダイビングに使用するBCは適切か?
  • もし、トラブルが起こった場合、自分は対応できるか?

もし、上記の何れかに不安があるサイドマウントダイバーは是非インストラクターや先輩サイドマウントダイバーに相談してみてください。
また、これからサイドマウントを始めようとしている方も同様です。

そしてこれからの方で器材の購入を検討している方は、器材を選ぶ所から相談してみてください。
とても大事な事です。

サイドマウント用BCには小さくて使い勝手が良く、見た目がかっちょええのがたくさんあります。
でも、BC一つ一つにも個性があり、全てが万人に合う物ではありません。
身長、体重、ダイビング内容に自分自身の経験値。様々です。

でも「浮力の確保」はダイビング皆に共通している非常に大事な事ですよね。
自分にあった適切なBCでサイドマウントダイビングを楽しんでもらえる事を願います。

サイドマウントでのダイビング(提供:石井隆)

冒頭ネタももはや末期的な状況になってきました。
インターネット検索なしではこの連載の継続も非常に微妙になってきました。

この執筆を書き終えた瞬間に次の冒頭ネタ探しという、過酷であり、あまりにも無意味な孤独な戦いが始まっています!
頑張れ俺!
自業自得だ俺!

ではまた次回!!

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