ボートの種類によって異なる、サイドマウントダイビングの楽しみ方
寒い日が続きますね。
私はこの記事が掲載される頃はメキシコのセノーテにいます。
今や9割以上がサイドマウントダイバーという、サイドマウントの聖地ともいえる所です。
思う存分、狭い所をくぐりたいと思います(笑)
さて、メキシコといえばメキシコのバレンタインデー。
メキシコでも主に男性が女性に会いを告白するそうですが、それとは別に「友情の日」ともいわれているそうです。
いい習慣ですね。
でも、人によっては愛情と友情の違いに悩むかもしれませんね。
「これって愛情、それとも友情??」なんて……。
ボートのタイプによって異なるダイビングスタイル
さて、今回も具体的なサイドマウントダイビングの楽しみ方として、日本でのボートダイビングについてお話しさせて頂きます。
前にもお話しましたが、サイドマウントはボートダイビングに非常に向いています。
エントリーでは、BC、フィン、マスクなどを装着したらそのまま海へドボン。
あとは船上スタッフからタンクを受け取るだけです。
タンクの装着ができたらそのまま潜水。
エキジットも先にタンクを外して船上のスタッフへ。
あとはそのままはしごを上がるだけです。
非常に楽ちんです。
ところが、日本ですと、なかなかこうはいきません。
日本の多くの船は地元の漁師さんと協力し合って漁船を使う事が多いからです。
また、環境などもまだサイドマウントにあまり適していません。
船上のスタッフ(主に漁師さん)もタンクの扱いに慣れていません。
タンクの種類も問題になります。
そこで、いくつかの具体的な例を上げてお話しさせて頂きます。
ダイビング専用ボートの場合
ダイビング専用ボートもいくつかの種類があります。
よく一般的なのは後ろがデッキになっていて、そこからジャイアントスライドエントリーで海に飛び込みます。
これだと、ダイバーが先にエントリーして後からタンクを受け取る事が可能です。
エントリーするダイバーに十分注意しながら、水面でタンクを装着できます。
エキジットも先に渡せるでしょう。
次に、伊豆で多いと思いますが、平舟タイプ。
主にバックロールでのエントリーになると思います。
舟の種類にもよりますが、船のヘリが水面に近い場合は、後からタンクを受け取る事が可能です。
エキジットもデッキタイプと同様にタンクを先に外す事ができます。
ただ、どちらのタイプも海況によります。
例えば、流れが強かったり、波が高かったりしてエントリーしたら、すぐに海中6mに集合、なんて事もよくあると思います。
その場合は船上でタンクを装着しなければなりません。
タンクを船上で装着する場合、船が揺れたりして不安定になる場合があります。
バックマウントに比べて、比較的重心の安定は良いですが、それでもタンクが振られる場合があります。
状況によってはタンク上部をバンジーに加え、スナップ等で固定する必要があります。
(スナップは水中に入ってから外します)
そうすると、バンジーの伸縮によるタンクの振られは抑える事ができます。
次に神子元などで見られる、船後部がリフト式になっているタイプ。
流れやすい海況では、ダイバーがチーム毎にエントリーする必要があります。
その際は他のダイバーと同様のタイミングでエントリー、潜降しなければなりません。
前記同様にタンクをクリップで止め、ジャイアントストライドでエントリーします。
エキジットも他のダイバーと一緒にエキジットしますので、浮上時にスナップで再びタンクを固定します。
ちょっと大変ですが、大きな問題は無いと思います。
漁船タイプの場合
よく伊豆で見られる漁船タイプでのダイビング。
漁船も大きさによって様々ですが、多くが船縁の一部を開けて、そこからジャイアントストライドエントリーするタイプでしょう。
そのため、前記したタンクをスナップで止めてエントリーします。
ただ、エキジットは梯子を登るケースが多いため、先にタンクを外さなければなりません。
そこで、可能であれば船上スタッフに「浮上したらタンクを外し渡します。タンクのバルブを持って引き上げて下さい」とお願いします。
これ、結構大事です。
船上スタッフの余計な力作業をさせてしまう心情に対する気配りと、レギュレーターの損傷を回避するためです。
何も説明せずに、タンクの引き上げをお願いすると、1stステージを持って引き上げてくれるのはまだ良いですが、中には中圧ホースやゲージを持って引き上げられる場合があります。
ホースに大きなダメージがかかる恐れがあります。
十分注意が必要です。
また漁船のタイプや状況によってはバックロールでエントリーしなければいけない場合があります。
前にも記述しましたが、私はサイドマウントの時、バックロールでのエントリーはあまり好きではありません。
背中や後頭部に衝撃が直接くるからです(笑)
もちろん、怪我する事はありませんが、心理的に嫌でした。
そこで、私が実施したエントリー方法はサイドロール(フロントロール?)エントリーです。
これは船縁に膝を置き、左手でタンクをホールド、右手はマスクとレギュ、タンクのある左肩から廻るように(柔道の受け身のような感じ)エントリーします。
船縁の高さにもよりますが、バックエントリーの時はそんなに高い位置からエントリーしないと思います。
この方法だと、衝撃も緩和されますし、慣れれば非常に楽です。
ご興味のある方は一度試してみて下さい。
もちろん、バックマウントでも非常に有効です。
他のダイバーの行動に合わせることが大事
さて、ボートダイビングのいくつかをご紹介させていただきました。
私がいつも気をつけている事は、他のダイバーに行動を合わせる事。
サイドマウントはセッティングや準備などで通常のダイバーとタイミングが異なります。
ボートダイビングの場合、海況などで時間が重視される事が多いと思います。
状況によってはエントリーして直ぐに水中で集合という事も多いでしょう。
その際、もし水面でのタンクの装着に慣れていなければ、どの船やどのシチュエーションでも船上でタンクを装着するのが良いでしょう。
水面でのタンク装着に手間取り、エントリータイミングがズレ、チームからはぐれてしまう可能性もありますから。
また、今回ご紹介させていただいたのは、シングルタンクでのサイドマウントを想定しています。
タンクを2本使うサイドマウントの場合、海況やチームの構成、ダイビング内容に大きく影響します。
時間も大きく影響するでしょう。
サイドマウントダイバーだけでしたら、チームでの行動に問題はないと思いますが、通常のダイバーと一緒の場合、複雑になります。
エントリー/エキジットの明確な手順、周りのサポート/理解などが解決できない場合は、タンクが2本で潜るより、1本で潜る事をお勧めします。
※
さて、サイドマウントでのボートダイビングについていかがだったでしょうか?
サイドマウントはボートの種類、ダイビングスタイル、提供されるタンクの種類などを考慮しなければなりません。
以前もお話させていただきましたが、もし、その環境にそぐわない、またはその環境で潜る自信が無い場合は、無理してサイドマウントで潜らない方が良いでしょう。
(または事前に手順などを練習してから潜る事をお勧めします)
次回は実際のファンダイビングでのサイドマウントの注意事項についてお話させていただきたいと思います。
冒頭ネタにも書きましたが、メキシコはセノーテに行きます!
とても楽しみなのですが、美しい鍾乳石を見ても、狭い所を無理矢理くぐっても、恐らく頭の中はバレンタインネタを考える事で一杯になるでしょう…。
自業自得です。
連載も残す所あと3回、最後まで頑張ります!
また次回!!