海の中で音楽が聴ける!? 水中MP3プレイヤーがダイビングをより安全にする可能性
皆さんはダイビングのどこに魅力を感じていますか?
珍しい生物を探す宝探しの様な感覚。
無重力のような浮遊感。
などがよく挙げられるかと思いますが、自分の呼吸音しか聞こえない、無音に近い環境も魅力のひとつなのではないでしょうか。
そんな魅力とは逆行しますが、立て続けに興味深い商品が発表されました。
それは、防水骨伝導MP3プレイヤー。
それぞれ耳の中にイヤホンを入れることなく、骨伝導で音を聞くというもの。
水中トランシーバーのロゴシーズで音を聞く仕組みと同じですね!
今回発表された2つの商品は、防水性能等級は最高のIPX8、水面下での使用を保障するものです。
通常の防水イヤホンと違って外耳道を塞ぐこともないので、耳抜きへの影響も心配ありません。
これはダイビング中に音楽を聴くことが可能になる!?
と、言いたいところですが、それは少々早合点。
商品説明を見てみると、『コツコツロック』はIPX8(10m)ということで、水深10mまでの使用を保障しているようです。
しかしながら、商品紹介を読む限りは、海での使用を想定していない様なので、水深10m以浅だとしても海でのご使用は自己責任でお願いします……。
また、『DN-913991』は、海での使用は想定されているものの、保障水深を3mとしています。
つまり、どちらもダイビングでの使用を念頭に置いた商品ではないということですね。
技術的には可能!?
活用方法まで考えてみる
今回発表された2つの製品がダイビングでの使用を想定していない様ですが、ロゴシーズという前例があり、中身をMP3プレイヤーにすればよいことを考えると、技術的にはダイビング用MP3プレイヤーの開発も十分可能なように思います。
実際に開発されるかどうかは、ターゲットがダイバーというニッチな層となってしまうことから難しいかもしれませんが……。
それでは面白くないので、ここではもし開発されたときに備えて、活用方法を考えてみたいと思います!
その活用方法とはズバリ、
時間管理
日々ガイドを行っているインストラクターともなると、潜水時間やダイブプロフィールが身体に染みついています。
もちろん時と場合に合わせて長くしたり、短くしたりはしますが、筆者の場合、何も考えずに潜ると自分でも驚くぐらいにピッタリ42分。
しかし、例えばバディダイビングを初めて行う場合など、楽しさの余り時間を忘れてしまったり、思ったよりも時間が経っていなかったり、そんな事態はよくあることです。
そこで、MP3プレイヤーにその日の潜水時間ピッタリに合わせたプレイリストを入れておくのはいかがでしょうか?
もっと言うと、●曲目のあの曲が流れてきたら▲▲分だから、水深■m付近に居るようにする、などといったダイブプロフィール管理にも使えますね!
ピンポイントでの時間管理にも使えます。
推奨される安全停止は5mで3分間。
3分程度の曲を入れておくことで、安全停止開始と同時に再生。
曲が終わったら浮上開始、というのもよいですね!
多くの曲は3分~5分なので、ちょうど3分で無くても、お気に入りの曲を1曲聞いてから浮上するぐらいでもよいでしょう。
ちなみに1曲が約3分の曲の例としては
東京事変『能動的三分間』
THE BLUE HEARTS『情熱の薔薇』
BEN E.KING『Stand By Me』
などが挙げられます。
また、浮上速度の管理にもよいかもしれません。
BPM120で4分の4拍子の曲なら1小節が約2秒。
推奨される浮上速度は1分間に9m~18mなので秒速15cm~30cm。
5m浮上するのに17~34秒程度かける必要があるので、9~17小節。
曲のメロディーの区切りは8小節や16小節の場合が多いので、ひと節歌ってちょうど右手の指先が水面に出るぐらいがよいですね(笑)。
冒頭でお伝えした通り、ダイビングで使用可能な水中MP3プレイヤーは未開発ですが、頭の中で歌うことでも同じことが実現できるはずなので、特にダイブコンピューターを持っていない方、一度お試しを!
(ライター/細谷 拓)