トド11頭がグルングルン~北海道潜り歩き・トドに逢いたくて~

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いよいよ今日は本格的にトドダイビング。
結果から言うと、3本潜って3本ともトドがやって来てくれました!

北海道の海中のトド(撮影:越智隆治)

今日はコンディションもよく、トドが好む湾で潜ることができました。

港からマッカ岬を回り込んで、トドの通り道となる湾へ

港からマッカ岬を回り込んで、トドの通り道となる湾へ

1本目は、ゴロタと砂地の際でトド待ちしていると、どこからともなく次々にトドがやってきます。
2頭、3頭、3頭、1頭と、ヒットアンドウェイで、こちらの様子をうかがっては去っていくという繰り返し。
動きに興味を示すので、くるくる回っていると、興味を示したオスがこちらに近づいてきて、目が合ったところでプイッと踵を返して去って行きました。
いや~、正面顔のキュートさといったらもう。

圧巻は2本目。
今度はドリフトでトドの通り道を流していると、やはり砂地の奥からトドが。
今度は、なんと11頭の群れ!!!!

猛スピードでこちらへやって来て、僕の前でピタッと止まったので、こちらがクルンクルン回ってみると、全部の個体が真似して一斉にクルンクルン。
手を振ると、なんと手を振り返してくれます。なんですか、この可愛さは。
人間の真似をするのは、知能が高い証拠なのでしょう。

北海道でのダイビング(撮影:越智隆治)

こうなると、寒さも疲れもまったく気にならなくなって、2本目をエグジットした直後、すぐに次に行きたくてソワソワ。

とりあえず、ご飯をかきこみ3本目。
根待ちしていましたが、今回は1頭のみ。それでも、かなり近づけました。

って、“1頭のみ”などと、どんどん贅沢になっていますが、8年通っても一度も逢えない人がいることを考えれば、かなりの好運と言えるのかもしれません。

海獣はすべてそうですが、逢える逢えないには波があり、長期間、線で潜らないと高確率とはなりません。
短期間、点で潜りにきている取材班としては、正直なところ、興奮というより安堵感でいっぱいです。

こうなったら4本目……と思ったのですが、3本目エグジットしたら、晴天だった空がブリザード……。
北の天候の難しさ、厳しさを思い知りました。

さっきまでの晴天が嘘だったかのようなブリザード

さっきまでの晴天が嘘だったかのようなブリザード

さっきまでの晴天が嘘だったかのようなブリザード

今日わかったことは、トドはかなり好奇心旺盛だということ。
分類学上、犬の仲間とされるのも納得です。
北の海獣を追い続けてきたゼムハウスの藤田さんも、「アザラシやオットセイ、イルカ、ミンククジラ、シャチといろいろな海獣を見るけど、トドが一番友好的だよ」とおっしゃっています。

にもかかわらず、害獣として駆除も盛んに行なわれ、世界でも10万頭もいないと言われています。
アシカやアザラシなど、鰭脚類(ききゃくるい)と呼ばれる仲間の中でも絶滅が危ぶまれていて、今や準絶滅危惧種。

あまり可愛い・可愛くないなど情動的にはなりたくはないですが、保全という意味でも、ダイバーを幸せにしてくれるという意味でも、トドの本来の姿を啓蒙することは、特にダイバーとしては大事だと感じました。
その昔、イルカだって、ただの害獣でしたからね。

もっともっとトドを知りたい。

明日は天候的に厳しいという予報ですが、晴れや晴れろ。
一時的に出た星空と気象神社のお守りに願いを込めて……。

■気象神社とは……
「あんたが来ると天気が悪くなる!」と虐げられてきた方に朗報!?

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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