世界一の透明度66.5mに挑戦! ロタの透明度を測ってみた
世界一との呼び声高いロタの透明度。
その透明度は、平均40~50m、良い時で70mとも言われていて、とにかくすごそうなことだけは確かですが、本当にそんなに見えるのでしょうか?
ダイバーの会話で交わされる透明度は結構あてになるようでなりません。
というのも、ダイバーの言う透明度とは、基本的には経験に基づく目測である場合がほとんど。
釣れた魚が40㎝だったはずが、人づてに伝えられるうちに1mになっていたり、初恋の相手はとても美人だったり、人の話には尾ひれがついたり思いが乗ったりしがち。
透明度も、「30mも見えた」が気づいたら「いや50mはいってたね、あれは」となっていることもよくあること。
実際に、ロタでは「100mはある」なんて言う人もいたりして、内心、嘘つけ! とつっこんでみても(笑)、言ったもの勝ち。
なので、伊豆半島などでガイドが15m前後といえば“まずます”で、10mを切れば“ちょっと濁っているな”、20mと言えば“結構見えている”、30mなら“とっても見えている”と、数値というより、感想の記号として聞いています。
ちなみに、沖縄や南の島だと、20mで“普通”、30mで“結構見えている”、40mで“すごく見えている”といった印象。
なので、ロタの50mオーバー!とか、70mとか、100m(笑)という証言は、数値が正しいかどうかより、きっとその人が見たこともなかったような透明度だったのかなと思ったりもします。
ということで、実際にロタの透明度を測ってみました!
世界一というからには、目指すは、透明度の最高値といわれる、メキシコのサルガッソ海の66.5m。
用意したのは、ロタ・スクーバセンターRUBIN(ルビン)山本博さんお手製の、10mごとにイカのルアーのついたテグス測りと音波計。
透明度とは、正確には、上から下を見た時に見える距離で、横の見える距離は“透視度”ですが、ダイバーの言う“透明度”はこの辺も曖昧。
今回は、50mを超えるようなポイントがないこともあり、主に横に直線で見える距離で測ってみることにします。
まずは砂地でチャレンジ!
「イマイチですね……」と山本さんが言うように、砂地のポイントにエントリーすると、やや濁っている印象。
それでも、30mは優に超えている印象です。
早速、測ってみると……。
この辺かな~。
結果は……43mくらい!
う~ん、たったの43mかぁ~。
イマイチだな……いやいやいや、43mでもスゴイですね。
期待値が高いだけに、43mでガッカリされるロタの海(笑)。
岩場でチャレンジ
ポイントや時間によって刻々と変わる透明度。
何本か潜っていると、とある岩場で「ここ、なんか見える!」。
砂地の43mより明らかに見えていて、目測で50mはあるような…。
ということで、実際にはかってみることに。
おお、50mまで来てもまだ見える!
60m過ぎてもまだ見える!
こうなれば、サルガッソ海の透明度66.5mを……う~ん、残念、そこまでは見えません。
それでも、およそ60m!
ロタの透明度(正確には透視度)、50mオーバーは本当でした!
ただ、年間潜る山本さんによれば、今回の透明度は70点くらいとのこと。
ということは、70mは現実的で、ひょっとして100mというのもあり得なくはないのかも……。
なんで、そんなに見えるの? ロタの透明度
それにしても、なぜ、ロタの透明度はこれほど良いのでしょうか?
マリアナの自然資源を守る政府機関DLNRのケビン氏にその理由を聞いてみました。
ケビン氏によれば、まず、石灰岩でできた島が濾過(ろか)装置の役割を果たしていて、海に流れるのがミネラルウオーターであること。
実際、ロタは下水も地下に流せば勝手に濾過してくれて、水道水が飲めるほど水がきれいです。
また、大きな川がないことも大きいのかもしれません。
そして、大海原に浮かぶ小さな島であることから、常に潮の流れにさらされ、水がよどまないことも理由とのこと。
山本さんによれば、特に東の風が安定すると、マリアナ海溝のきれいな水が絶えずやってきて、ダイビングポイントは常に透明度の良い状態になるようです。
年間通して平均気温が変わらない島としてギネスにも認定されているロタ島は、その透明度も風さえ安定すれば年間それほどのバラつきはないようです。
ということで、年間通して、常時50mオーバーの透明度、ぜひ、実際に体感してみてください。
きっと、今回同行のうみカメラマンむらいさちのように「上がりたくないよ~」となることでしょう。