トンガ・ババウ諸島ホエールスイム、week1はクジラだらけ!

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トンガホエールスイムのザトウクジラ(撮影:越智隆治)

今年もトンガのババウ諸島でのホエールスイミングが始まった。

今年は、ここ数年間よりも個体数が多く、あちこちでブローが上がっていたり、ブリーチングなどが頻繁に見れるので、クジラを探すのが楽だ。
もちろん、一緒に泳げる、僕らにとっての“良いクジラ”を探すのは、また別の話だけど。

ここ数年と比べて個体数が多い原因が何なのかはわからないけど、水温は明らかに24℃か、あるいはそれを下回り、去年より1度くらい低い。気候も涼しい感じ。

3ミリのロングジョンだけで入ってても、まったく寒さを感じなかった去年に比べて、今年はその中にフードベストとラッシュガードを重ね着していても、背中に流れ込んでくる海水が冷たいと感じる。
時には、3ミリフルスーツでフードベストとラッシュガードを着込んでいる。

この水温の違いが、ここにやってくるクジラの個体数に確実に影響しているかは定かではないけど、こういう海水の冷たさを感じていた10年程前は、今年みたいにあちこちでブローが上がるのが見えていた。

お盆休みからのスタートで、例年ならクジラのベストには少しだけ早はずなのだけど、今年は、まったくそんなことはなくて、まさに今がベストという感じ。
おまけに、島々の奥の方にまで入り込んできて、子育てをしている肝っ玉の座ったお母さんクジラがかなりいて、遠出しなくても、親子クジラに沢山遭遇できる。

Week1初日も、前日に飛行機がキャンセルして、初日の朝に到着したゲストを待ち、通常は朝7時出発のところを、12時過ぎてから海に出ることになってしまった。
他の船はすでに出ているから、良いクジラはすでにキープされてしまっているかもと思いながらも、フライトキャンセルのことを考えると、海に出られただけでもラッキーな日ではあった。

ところが、港を出て、10分もたたないうちに、内湾の穏やかなポイントで、親子クジラに遭遇した。
他に船が着いていたが、泳げないので譲ると連絡を受けた。

透明度は悪いのだけど、この際贅沢は言っていられない。
とにかく、まず皆に見せなくては。

親子は水面にとどまっておとなしくしていた。
しかし、ボートが近づいても動かなくても、人が入ると逃げてしまうことも多い。

最初に、「ゆっくり近づいていきますから、水面をフィンでばしゃばしゃしないように」とゲストに声をかけて僕を先頭に船尾から順番にエントリーする。

皆の泳いでいる様子を見ていると、「ばしゃばしゃしないで」とは言ったものの、体に力みが入っていて、慌てているのがわかる。
(これではまずいな〜)と思いながら、親子に接近すると、やはり逃げてしまった。

緊張もあるのだけど、気合いが入り過ぎてる感がある。

船に戻り、メンバーを交代して「何度も言いますけど、とにかく一直線に親子に近づかないように、静かに、穏やかに。うっすらとでも水中でクジラが見えたら、一度止まりますね」と伝えてまた水面でとどまった親子にゆっくりと近づいていく。

後ろを見ながら皆の様子を見ると、先ほどの緊張感と気負いは、あまり無い感じだ。
今度は時間がかかるけど、少し弧を描くようにして、クジラに接近してみた。

透明度が悪く、かなり近づかないと水中でクジラを確認できないし、撮影も当然難しい。
姿が見えてきた時点で、一度皆を止める。
しばらく様子を見て、まずは横斜め前から少しずつ距離をつめる。

今度は、親子は逃げる事も無く、僕らの接近を受け入れてくれた。

それどころか、母クジラの真正面に回って撮影を行っても、まったく気に留めない。
最初は警戒していた皆も、自分が真正面で撮影しているのを見て、徐々に距離を詰めて、前からクジラの親子を囲むような状態に。

トンガホエールスイムのザトウクジラ(撮影:越智隆治)

あまりに接近しすぎるとさすがにお母さんが嫌がって、少し移動するのだけど、また同じように水面に留まって、穏やかにしている。
おかげで、探すこともなく、2時間このクジラの親子と泳ぐことができた。

子クジラはメスで、まだ産まれて間もないのか、ずっと母親の顔の部分にくっついて、離れようとはしなかった。
まあ、得体の知れないダイバーにこれだけ取り囲まれたら当然か。

2時間泳ぎ、この親子を別のボートに譲って、別の親子を探す。
すでにこの海域に1週間くらい留まっている親子がいて、そちらに向かうことにした。

この親子の母親は、テール水面に出して、頭を下にして垂直に眠っていた。
子クジラは、その母親の畝の部分に顔を押し付けて休憩し、約5分間隔で浮上を繰り返し、ひとしきり僕らの周囲を泳ぎ回ってからまた母クジラの元に戻って行く。
僕らは、ただ、浮いてみていればいいだけだ。

かなり慣れていて、接近しても大丈夫とのことだったが、遭遇初日でもあるし、テールに接近するのは危険なので、それだけは避けてもらいながら、この親子クジラとも1時間30分ほど泳いで、帰路についた。

トンガホエールスイムのザトウクジラ(撮影:越智隆治)

初日からまったく動かない親子2組に遭遇し、フライトキャンセルのマイナスは一気に取り戻せた感じ。

2日目は早朝にスタートして、初日の2組目の親子を探す。
やはりほぼ同じ海域にいたので、今回も2時間程一緒に泳ぎ、また別にボートに譲って、今度は新しい親子を捜索に出かけた。

少し南に移動したところで、親子に遭遇。
最初は逃げていたが、徐々に落ち着いてきて、最後には海底に留まり、皆の前に浮上してくるようになった。
子クジラはそれほどフレンドリーでは無く、あまり僕らには接近してこない感じ。

母クジラも浮上すると、激しくではないけど、移動してまた潜って留まる感じ。
前日の2組の親子ほどは近寄れないものの、それでも普通であれば大満足の遭遇だ。

この日はこの2組の親子と泳ぎ、スイムを終了した。

3日目から5日目は、どんなクジラに遭遇したかだけ記載する。

3日目、ペア1組目は、船上からのみ。
ペア2組目は、海中に留まっているところを、水面から2回ほど観察。

トンガホエールスイムのザトウクジラ(撮影:越智隆治)

4日目、ゲスト5名の最終日。
最初に内湾で親子と一回泳ぐ。

子クジラはフレンドリーだったが、透明度も悪く、母親が神経質そうだし、下に留まるので探しにくいから、一度のスイムで別の船に譲る。

2組目の親子、3組の親子はエスコート付き。
両方とも水中で遭遇。

5日目は、他に譲るボートも近くにいかったため、一組の親子とエスコートと1日中泳ぎ続ける。

そして、6日目。
この日は、最初に親子とエスコートを発見して、移動するけど、エスコートがブリーチングしてくれたり、子クジラも頻繁にブリーチングするので、追跡することに。
しばらくすると、別の親子が合流して、10分から15分ほど、この5頭で移動を続けた。

トンガホエールスイムのザトウクジラ(撮影:越智隆治) トンガホエールスイムのザトウクジラ(撮影:越智隆治)

2組の親子が一緒にいるのは、過去に2回程しか経験したことがない。
水中に入りたかったが、移動速度が早くてタイミングがつかめなかった。
エスコートがいなかったら、親子2組一緒の写真が撮影できたかもしれない。

その後別れた、後の親子の方をしばらく追跡するが、止まらないので、前に落としてもらい、撮影だけ行った。

その後、他のクジラを探すが、あまりよさそうなのがいないので、朝、内湾で見つけていた親子らしきブローがあった方に移動してみた。
すでに別のボートがついていたが、もう2時間経過していたので譲るとのこと。
かなり近寄れるくらい母クジラはフレンドリーとの連絡だった。

近づいてみると、2日目の2組目の親子だった。
背びれが特徴的だったので、すぐに認識できた。

2日目に遭遇したときよりも、母クジラがまったく動かなくなっていて、正直、何をしても大丈夫なんじゃないかという感じだった。
水面に留まり、子クジラは母クジラの下から様子を伺っている。

トンガホエールスイムのザトウクジラ(撮影:越智隆治)

目の前で撮影していると、母クジラのブローの水しぶきが、ぱらぱらとフードを被った頭の部分に何度もかかった。

しばらくすると、またも潜るのだが、その深さも水深10mくらいだったので、素潜りして撮影してみたが、まったく逃げるそぶりも無い。

この母クジラの側面は白い部分が多くて、南半球のクジラっぽくて写真映えした。

Week1最終日に超フレンドリーな親子クジラに遭遇して終了した。

2015年のトンガホエールスイムの日程

来年(2015年)も、お盆からシルバーウィークにかけての7週間、トンガにてホエールスイミングを開催します。
ご興味のある方は、お問い合わせください。

WEEK1 2015年8月8日(土)日本発〜8月16日(日)日本着
WEEK2 2015年8月15日(土)日本発〜8月23日(日)日本着
WEEK3 2015年8月22日(土)日本発〜8月30日(日)日本着
WEEK4 2015年8月29日(土)日本発〜9月6日(日)日本着
WEEK5 2015年9月5日(土)日本発〜9月13日(日)日本着
WEEK6 2015年9月12日(土)日本発〜9月20日(日)日本着
WEEK7 2015年9月19日(土)日本発〜9月27日(日)日本着

すべて現地、火曜日から金曜日の4日間のホエールスイムが基本ですが、日数を延長して、土曜日と月曜日で、計6日間のホエールスイムも可能です。

ボート乗船人数は基本最大6名、最小4名となります。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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