ミンククジラの貴重な生態シーンを激写! ~グレートバリアリーフ魅惑のミンキークルーズ~
ミンキークルーズに10年間
乗船している水中カメラマンでさえ、
一度も見たことがない
貴重な生態シーンのレポートです!
去年に引き続き、Dive7SeasがチャーターするMIKE BALLのGBR(グレートバリアリーフ)ミンキークルーズに乗船した。
昨年はMIKE BALLのスポイルスポート号の他、TUSAのSOF(スピリットオブフリーダム)号、DEEP SEA DIVERS DENのTAKA号の3隻に立て続けに乗船して、現地ガイドたちが豪語する、「ミンキーベストシーズンの遭遇率100%は本当なのか?」を検証した。
もちろん、野生の海洋生物だから、ベストシーズンのズレや、海のコンディションなども考えると、100%は有りえない確率であることを前置きしながらも、4回目のクルーズとなる今回も、見事遭遇。
自分自身も遭遇率100%を維持している。
ちなみに、ミンキーとは、ミンククジラのことで、ヒゲクジラの中でも最小のクジラ。
そのミンククジラも、ミナミミンククジラとキタミンククジラ、そして、ドワーフミンククジラの3種に分類される。
ここ、グレートバリアリーフ(GBR)で遭遇できるのは、この中でも最小のドワーフミンククジラ。
通常、観られるのが4m〜7m、最大でも8mほどにしかならない世界最小のヒゲクジラだ。
特徴は体にある複雑な模様。
この模様や傷のパーターンによって、個体識別を行っていて、現在この海域では約300個体が識別されている。
昨年は、ミンキーメインのポイント、GBRのリボンリーフNo10のライトハウスボミーで、一度に7頭を目撃したり、自分自身、とにかく初乗船で大当たりしたと思っていたのだが、「今年は、良かった去年よりも、さらに多くのミンキーに遭遇できている感じ」と、クルーたちが口々に言うくらい、ミンキーの当たり年のようだ。
多くのミンキーに遭遇する中で、昨年も水中ではなかなか見ることのできないと言われている親子のクジラを撮影したり、ブリーチングシーンを撮影した。
そして、今年。
マーメイドロープ(ミンキーを見るのは、クルーズ船から流す2本の長いロープに捕まってみるというルールがある。このロープをマーメイドロープと呼んでいる)につかまって、一緒にスノーケリングでミンキーを撮影していた、水中カメラマンのジュリアが、「過去10年間で一度も見たことがない!」という貴重な生態シーンを目撃、いや、激写してしまった。
その写真がこれ
一見、何の変哲も無い、2頭のミンキーの写真のように見えるけど、何が貴重なのか分かりますか?
右奥の個体の腹部から、何やら白い突起物が飛び出しているのが見える。
そう、これ、ミンキーのペニス(生殖器)。
つまり、このオスのミンキーは、おそらくメスである左手前のミンキーをペニスを出して、激しく追い回していたのだ。
フィッシュアイレンズで撮影していたので、自分は確認していなかったのだけど、側で撮影していた、水中カメラマンのジュリアが、直後に水面に顔をあげろと指示するので、何かなと思って顔を上げた。
「タカ! 見た!? 今ペニス出してたわよ! 10年間乗船していて、初めて見た! 写真撮った? あんなシーン、研究者もまともな写真持っていないくらい貴重なシーンよ!」と興奮気味に叫んだ。
自分は、確認できていなかったので、「そうなの?」と慌ててモニターを拡大して確認すると、確かにペニスが写っていた。
「あ、撮れてる、撮れてる、12カットくらい。そのうち半分は、君と一緒に写っているけど(笑)」と言ってお互い笑った。
狙って撮影したわけでも、気付いて撮影したわけでも無いので、達成感は無く、ただただ、「ラッキー」と思っただけだけど。
この貴重なシーン、他の人たちは、皆ダイビングに出かけていて、誰も見ていない。
ミンキークルーズでは、ポイントでミンキーが出ていると、ダイビングをするか、ダイビングをスキップして、スノーケルでミンキーを狙うかの選択は自分でする。
ロープに捕まっていた方が断然ミンキーとの遭遇率は高くなるのだけど、ダイビング中に遭遇っていうのも、なかなか魅力的。
悩んだ挙句ダイビングをスキップした選択が吉と出た結果だった。
この日は、ライトハウスボミーで6頭、ピクシーピナクルで4頭、最低でも計10頭に遭遇することができた。