夏の田後×越智隆治~ベストシーズンの日本海でワイド撮影~(第2回)

ハマチの群れ遭遇率40%のポイント「ヤマダシ」で、取材時遭遇率100%だった理由

田後のハマチ(撮影:越智隆治)

鳥取・田後(たじり)での群れポイント「ヤマダシ」。

田後の沖にある、広範囲に広がる幾つかの隠れ根が点在するポイント。
流れが速いこともあり、ビギナー率の高い時には、なかなか潜りにいけないポイントでもある。

ここで見られるのは、イサキ(6月末〜7月)、ハマチ(5月〜8月)などの回遊魚の群れや、根に群がるスズメダイ。

特に小さな幼魚が群れるシーンは壮観だ。
年によって群れの大きさには差があるが、7月〜8月と、これからが見頃。

取材初日の1本目から潜ったのが、このヤマダシ。

今回は、「ワイドで魅せる田後」がテーマなので、ブルーライン田後の山崎さんとしては、早めにここでの群れをしっかり押さえておきたかったのだろう。

この日は、「地元の漁師さんからも、流れはかなり入っているけど、お前(山崎さん)なら大丈夫って言われました。なので、越智さんは大丈夫だと思うけど、ルコちゃん大丈夫?」と最初に言われたくらいの流れ。

「まあ、とにかく潜ってみないことには」ということで、エントリー。

確かに表層部分はかなり流れていて、船の横に流したロープにつかまって泳がないと、アンカーロープまでたどり着くまでの間に、流されてしまいそうな流れだった。
カメラハウジング2台も抱えていたし。

とは言っても、潜降するにつれて、流れも落ち着いて、アンカーのかかったボトムにたどり着く頃には、特に不安を感じる流れでも無くなった。

しかし、ここからがまたスキルレベル、経験本数によって、どう行動して群れを狙うかが違ってくる。

今回、3回このポイントを潜り、透視度は10m~13m程度のことが多く、決して良いとは言えなかった。
ただ、それくらいの方が、群れが様子見にダイバーの近くまで寄ってくることが多いのだとか。

1本目、流れのせいで、ヤマダテしてのアンカリングなので、いつもかける根から外れてしまい、水深27mと、少し深いポイントに。
そこから普段アンカーをかける根にたどり着くのが精一杯で、ハマチの群れ遭遇率の高い西の根までは行けなかった。

しかし、それでも、ハマチの群れが姿を現し、しばらくは、目の前で行ったり来たりを繰り返した。
ただ、いかんせん朝早かったこともあり、深度もあり、透視度も低くて、暗くて、撮影には至らなかった。

田後の海(撮影:越智隆治)

普段アンカーをかける根とは違うポイントにかかってしまったアンカーを固定する山崎さん

田後の海(撮影:越智隆治)

根に到着するも、曇りだし、朝早くて、海中は薄暗かった

船に戻ってから、「いや〜撮るのは難しかったでしょうけど、さすが越智さんですね。1本目から見れるなんて」と言われ気になったので、遭遇率を訪ねてみた。

「今回は、アンカーを上手く根にかけれなかったので、遭遇は正直無理かなと思いましたけど、普段の遭遇率は、アンカーをかけた根に止まっていた場合で4割、西に移動して、ハマチが回遊してくる可能性の高い根で待てれば5~6割ってところです。見れるのは、5月〜7月の3ヶ月くらい」

これだけ聞いていると、遭遇率はあまり高い方とは言えない。見れればラッキーだろう。最初にエントリーするときに、「流れが速いのであれば、ワイド一本でいいですかね?」と山崎さんに訪ねたときに、「いや〜出なかったときのことを考えるとマクロもあった方が・・・」と弱気な発言が出たのも、うなづけた。

しかし、2本目からは、「出なくても、あの水深で群れ待ちしているときに、しばらく出ないからとマクロに走るのは、一度でも群れの写真が撮れてからでないと難しい。マクロ撮影している間に出られても瞬時に対応できないから」ということで、それ以降はワイド1本で潜ることに。

2本目、今回は流れも緩く、アンカーはドンピシャでいつもの根に。そこから群れ遭遇率の高い、西の根に移動。着底して待とうとした瞬間に、ハマチの群れがわっと出現し、何度か目の前で急旋回してくれたので、撮影することができた。これで、抑えの群れの撮影はできた。

田後のハマチ(撮影:越智隆治)

根に到着するなり、ハマチが姿を見せた

田後のハマチ(撮影:越智隆治)

2本目で、ハマチの群れ撮影に成功

そして、3本目。今度は3人では無くて、他のゲストも一緒にエントリー。流れは、初日ほど早くはなく、2本目ほど緩くなく、って感じ。

田後の海(撮影:越智隆治)

アンカーロープを使って潜行。表層部から、少しの間は流れているけど、潜行するに従って、流れも弱くなっていった

それでも、根に潜行すると、ゲストチームは、アンカーした根周辺にとどまり、取材チームはまた西の根を目指す。と、その直後に、まずハマチの群れに遭遇。ひとしきり撮影を行うが、やはり根の下での群れだったので、少し暗め。

田後の海(撮影:越智隆治)

移動直後にハマチの群れを発見!

田後の海(撮影:越智隆治)

ルコちゃんは、群れに絡もうとするが、ハマチの群れに向かっていくと、ハマチが泳ぎ去ってしまうことがほとんどだった

そこから、西の根を目指した。到着し、しばらくすると、またもや、ハマチの群れが目の前まで迫ってきた。今度は、一発勝負と言うよりは、余裕を持って構図を考えることができるくらいの時間、群れに巻かれた。

ハマチだけで無く、ダイバーも一緒に絡めて撮影するには、どうするのがベストか、も考える余裕もあった。今回、モデルのルコちゃんは、群れに絡もうと一生懸命泳いでポジショニングしてくれようとしたけど、結論としては、モデルやガイドには、根で待っていてもらい、自分が根と群れが入る位置に移動して撮影する方が、ハマチが逃げにくかった。

田後のハマチ(撮影:越智隆治)

根にとどまってハマチの群れに見入る山崎さん

田後のハマチ(撮影:越智隆治)

ハマチの群れに巻かれて、至福の時間を過ごした

ということで、まあ、今回は3本しか潜っていないけど、遭遇率としては、100%。アンカーの根で待って40%、西の根まで移動して50~60%をはるかに上回る好成績だった。確かに、運もあるかもしれないけど、「田後=超マクロ(ダンゴウオとか)の海」と言う印象が強く、ゲストの多くも、カメラにワイコンよりテレコン装着してる率が高いし、基本着底してへばりつくダイビングしかしていないから、流れとかのストレスに弱いゲストが多いのかもしれない。

山崎さんとしては、そういう状況での遭遇率を言っていたのであって、本来は、この時期、潮の状況をしっかり確認して、もう少し攻められる状況で潜っていれば、遭遇率に関しては、70~80%には上がってもよさそうだ。

特に3本目のハマチの群れはかなりの個体数で、その群れに巻かれたときの爽快感は、マクロでは得られない。是非、運試し、スキルアップも合わせてヤマダシでの回遊魚狙いのダイビングにもチャレンジしてもらいたい。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。